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2006年6月25日 (日)

言文一致

塩谷菊美 (2006) 「法座の言葉―真宗史料から見た言文一致―」『文学』岩波書店, pp. 204-218

に、康楽寺(長野市)所蔵『康楽寺白鳥伝』(貞享年中〈1684-88〉成立カ)という絵解き本に、「~である」の用例が見える、との報告があります。

塩田雄大さん

いただきました。

塩田雄大 (2006) 「インターネットを用いた言語調査の一試論―公開型ウェブ調査の結果から―」『放送研究と調査』NHK放送文化研究所年報2006, 50, NHK放送文化研究所, pp. 93-123

さまざまなカテゴリーの言語調査が含まれていますが、存在動詞の用法に関する次のような調査がありました。

0508 Q2 次の文の「あります」についてどう思いますか。
「兄には子供が2人あります」
a. 聞いたことがあり、この言い方に問題はないと思う………17.6
b. 聞いたことはあるが、この言い方には問題があると思う………43.8
c. 聞いたことはないが、この言い方には問題はないと思う………3.4
d. 聞いたこともないし、この言い方には問題があると思う………35.2

0508 Q3 次の文の「あった」についてどう思いますか。
「きのう来客があった」
a. 聞いたことがあり、この言い方に問題はないと思う………81.1
b. 聞いたことはあるが、この言い方には問題があると思う………14.2
c. 聞いたことはないが、この言い方には問題はないと思う………2.2
d. 聞いたこともないし、この言い方には問題があると思う………2.4

0508 Q4 次の文の「あるか」についてどう思いますか。
「そんなことをする奴があるか」
a. 聞いたことがあり、この言い方に問題はないと思う………78.4
b. 聞いたことはあるが、この言い方には問題があると思う………18.9
c. 聞いたことはないが、この言い方には問題はないと思う………1.0
d. 聞いたこともないし、この言い方には問題があると思う………1.7

0508 Q5 次の文の「ありました」についてどう思いますか。
「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました」
a. 聞いたことがあり、この言い方に問題はないと思う………10.5
b. 聞いたことはあるが、この言い方には問題があると思う………21.5
c. 聞いたことはないが、この言い方には問題はないと思う………3.2
d. 聞いたこともないし、この言い方には問題があると思う………64.8

0508 Q6 次の文の「ありませんでした」についてどう思いますか。
「乗客の中に、けが人はありませんでした」
a. 聞いたことがあり、この言い方に問題はないと思う………52.2
b. 聞いたことはあるが、この言い方には問題があると思う………34.1
c. 聞いたことはないが、この言い方には問題はないと思う………2.0
d. 聞いたこともないし、この言い方には問題があると思う………11.7

Q2に関しては、世代別の分析もあって(p. 101)、20代を境にbとdが入れ替わっています。

安部清哉さん

いただきました。

安部清哉 (2005) 「アジアと日本列島における言語・文化境界線“気候線”(摂氏0度線)―言語地理学と文化地理学から―」『学習院大学文学部研究年報』52, pp. 39-90.

鈴木重幸さん

いただいております。

鈴木重幸 (2006) 「奥田靖雄の初期の言語学論文をよむ」『ことばの科学―奥田靖雄 追悼号―』言語学研究会の論文集・その11, むぎ書房, pp. 5-19.

荻野千砂子さん

いただきました。

荻野千砂子 (2006) 「クダサルの人称制約の成立に関して」筑紫国語学談話会(編)『筑紫言語学論叢II―日本語史と方言―』風間書房, pp. 256-273.

堂山英次郎さん

いただきました。

Doyama, Eijiro (2005) "A morophological study of the first person subjunctive in the Rigveda," 『待兼山論叢』39, 哲学篇, pp. 1-19.

2006年6月22日 (木)

書店情報

ダイレクトメールからの情報です。地方(新潟)の書店ですが、こういう商売もできる世の中なのですね。

亀田ブックサービスです。
当社は先生方の専門分野に合わせて
洋書の新刊情報をお送りすべく努めています。

※今後このメールがご不要の場合は、お手数ですが、このままご返信くだ
 さい。送信は中止されます。(別の分野をご希望の方はご連絡下さい)
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今回は以下の本をご案内いたします。

1.von Heusinger:Where Semantics Meets Pragmatics
  (Elsevier   2006)534 pp.(H)  10,500円

2.Robinson:Introducing Performative Pragmatics
  (Routledge 2005)272 pp.(H)  18,800円

3.Mackenzie:Studies in Functional Discourse Grammar
  (Peter Lang 2005)259 pp.(P)  9,000円

4.van Kemenade:The Handbook of the History of English
  (Blackwell Pub. 2006)655 pp.(H)  24,000円

5.Mufwene:Polymorphous Linguistics
  (MIT Press 2005)550 pp.(P)  7,300円

6.Alexander:Social Performance
  (Cambridge University Press 2006)374 pp.(P)  6,100円

詳しい本の内容は下記のアドレスを(1クリックして)ご覧下さい。
    http://www.kamedabook.com/course/438-23.html

前回の内容は下記のアドレスをご覧下さい。
    http://www.kamedabook.com/course/438-22.html

※このメールの『返信』を使って注文することもできます。
 (送料無料、お支払いは商品到着後お願いします)

*************************************************
(有) 亀田ブックサービス

新潟市五十嵐二の町8602-6
〒950-2102 TEL&FAX (025)263-5409
Mailto:kamesan@kamedabook.com(新規)
http://www.kamedabook.com/
*************************************************

2006年6月21日 (水)

言語学出版社フォーラムのHP

こんなメールをいただきました。

著者各位

前略

くろしお出版からのご連絡です。

小社が所属している言語学出版社フォーラムのウェブサイトで、このほど「リレーエッセー ことばと言語学を考える」というブログ風の連載をはじめました。

言語研究をされている研究者の先生方に、何故、今の研究を志したかとか、今、興味を持っている内容について、一般の方にもわかるような平易な文章で書いていただくという企画です。これから言語研究をしたいという大学生、高校生などに特に読んで欲しい内容です。

毎週、金曜日に1篇づつアップロードしていく予定です。是非、一度、ご覧下さい。

http://www.gengosf.com/

また、先生方の学生さんにも見ていただけるようにご推薦いただけるとありがたいですし、研究室などのホームぺージにリンクをはっていただくのも大歓迎です。

もう一つ、お願いがございます。毎週、1篇づつ出さなくてはいけないので、書き手を募集しております。1,000字程度の簡単なエッセーです。ご協力いただける先生は、岡野までご連絡いただけないでしょうか。毎週金曜日の掲載が途絶えてしまうのを我々出版社仲間では、一番心配しております。

メールアドレスは、
QZM10520@nifty.com
です。

色々とお願いばかりで申し訳ございませんが、ご協力何卒、よろしくお願い申し上げます。

                     早々

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   くろしお出版      岡野  秀夫
〒112-0002  東京都文京区小石川3-16-5
TEL:03-5684-3389   FAX:03-5684-4762
-------------------------------------------
 ことばと言語学を考える リレーエッセー掲載中!!
      http://www.gengosf.com/
-新刊紹介サイト-  ブックメール倶楽部 
        http://www.bookmailclub.com/
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2006年6月20日 (火)

音声データベース

国立情報学研究所 音声資源コンソーシアムのサイトです。音声コーパスについての情報が得られます。

http://research.nii.ac.jp/src/

2006年6月19日 (月)

青木博史さん

いただきものです。拙稿へのご批判も含まれているので、いずれ詳しく読んでいきたいと思います。

青木博史 (2006) 「原因主語他動文の歴史」筑紫国語学談話会(編)『筑紫語学論叢II―日本語史と方言―』pp. 274-293, 風間書房.

高山善行さん

科研費の報告書をいただきました。

平成16年度文部科学省科学研究費補助金(萌芽研究)
『平安時代語における名詞句の基礎的研究』
研究成果報告書(全一冊)
研究課題番号:14651076
発行日:平成17年3月10日
研究代表者:高山善行(福井大学教育地域科学部・助教授)
〒910-8507 福井市文京3-9-1  tel. 0776-23-0500

内容:
研究篇
I   研究の目的と方法………1-4
II 助動詞「む」の連体用法について………5-15
III 名詞の〈数〉概念をめぐって―古代語の複数性表示―………16-24
IV 「人々」「人ども」「人たち」の文法的性質………25-37

用例篇
『蜻蛉日記』………39-50
『枕草子』………51-66
『源氏物語』………67-88
「人々」「人ども」「人たち」………89-95
(以上)

抜き刷りもいただいています。

高山善行 (2005) 「名詞の〈数〉概念をめぐって―古代語の複数性表示―」『国語国文学会』44, pp. 13-20, 福井大学言語文化学会

高山善行 (2005) 「名詞の文法的側面をめぐって」『国語と国文学』82-11, pp. 138-146, 東京大学国語国文学会.

高山善行 (2005) 「助動詞「む」の連体用法について」『日本語の研究』1-4, pp. 1-14, 日本語学会.

高山善行 (2005) 「〔書評〕山口堯二『助動詞史を探る』」『日本語の研究』1-2, pp. 92-97, 日本語学会.

虎明本

清文堂出版から、大塚光信(編)で、『大蔵虎明 能狂言集 翻刻 註解』(全二冊)が発行されるそうです(7月20日発行)。小林賢次先生、柳田征司先生も註解に参加されているとのことです。豪華メンバーですね!

虎明本狂言は、室町末期口頭語資料としては、キリシタン本と並んで基礎資料中の基礎資料です。これまでに翻刻(池田廣司・北原保雄著)が出ていますが、20年以上たっているし、最新の研究成果が盛り込まれた翻刻が、満を持して出版されるわけで、大変すばらしいと思います。楽しみに待ちましょう。

Construction Grammar

日本言語学会で仕入れた情報です。

The Fourth International Conference on Construction Grammar (ICCG4)

2006年6月14日 (水)

『日本語存在表現の歴史』正誤表

拙著『日本語存在表現の歴史』についてご紹介していますが、正誤表をこちらに置いております。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/%7Ekinsui/seigohyo.html

日々、成長する正誤表で、お読みいただいている方々にはまことに申し訳ないことと、恥じ入っております。

2006年6月12日 (月)

日本語の助詞と機能範疇

著者からいただきました。

日本語の助詞と機能範疇 青柳宏著 ひつじ書房
2006年3月
6000円+消費税 ISBN4-89476-286-2

要約
 本書は、語彙を「詞」と「辞」、つまり、内容語(content word)と機能語(function word)に分けた場合、「辞=機能語」に相当するものに焦点を当てたものである。生成文法理論では語彙を語彙範疇(lexical category)と機能範疇(functional category)に分けている。言語をその意味伝達機能から見れば、前者が圧倒的に重く、後者は軽い。しかし、一般言語理論の立場から、Borer (1980)やFukui (1986)は、言語間の差異は機能範疇の差異に求められるべきだと主張した。本書はこれを継承、発展させたもので、いかに多くの日本語の現象が、この「辞」のはたらきによってもたらされているかを描き出すことが目的である。特に日本語を特徴づける「とりたて詞」を中心とした助詞や接辞がどのように仕組みで実現し、また解釈されるのかを、生成文法理論の立場から論じる。

目次

第1章 助詞、接辞と膠着………1
  第1章注………6

第2章 とりたて詞と機能範疇………7
  2.1 助詞のパラドックス………8
   2.1.1 投射するように見える現象:su挿入……9
   2.1.2 投射しないと考えるべき根拠:選択制限………11
  2.2 接語的付加詞仮説………15
   2.2.1 裸句構造理論と接語………16
   2.2.2 とりたて詞=接語的付加詞………22
  2.3 日本語の機能範疇………24
   2.3.1 日本語に機能範疇は存在するのか………24
   2.3.2 日本語の機能範疇の形態的特性………29
   2.3.3 動詞と機能範疇の膠着………31
  2.4 パラドックスの解法………35
   2.4.1 su挿入について………35
   2.4..2 統語的選択………41
  第2章注………42

第3章 とりたて詞と格助詞………49
  3.1 係助詞と副助詞………50
  3.2 助詞の連結順序………52
   3.2.1 とりたて詞と格助詞………52
   3.2.2 係助詞と副助詞………54
   3.2.3 副助詞の名詞性………54
  3.3 日本語の格と格助詞………56
   3.3.1 抽象格の理論の問題点………56
     3.3.1.1 日本語の格配列………56
     3.3.1.2 理論的余剰性………60
   3.3.2 形態格の理論………60
     3.3.2.1 形態格素性………62
     3.3.2.2 格付与規則………64
     3.3.2.3 「多重主語」構文………69
     3.3.2.4 スクランブリングと可視条件………71
     3.3.2.5 二重対格制約………73
   3.3.3 格付与と線形化………79
  3.4 助詞の連結順序の派生………85
   3.4.1 とりたて詞と格助詞
     3.4.1.1 取り立て詞と与格のni………87
     3.4.1.2 とりたて詞と対格のo………89
     3.4.1.3 とりたて詞と主格のga………90
     3.4.1.4 対格のoが付与されない場合………92
   3.4.2 係助詞と副助詞………94
   3.4.3 とりたて詞と後置詞………99
  3.5 格助詞脱落………104
  3.6 格付与と述語範疇………107
  第3章注………108

第4章 とりたて詞と焦点………119
  4.1 焦点と取り立て………120
   4.1.1 焦点副詞ととりたて詞………120
   4.1.2 「広い焦点」………122
   4.1.3 Kurodaの添加変形………124
  4.2 とりたて詞の作用域………126
   4.2.1 量化詞とLF上昇………126
   4.2.2 係助詞と副助詞………127
   4.2.3 LF表示………132
  4.3 焦点と関連づけ………135
   4.3.1 焦点の広狭………136
   4.3.2 焦点の拡張………138
   4.3.3 [+focus]素性の一致………140
     4.3.3.1 「狭い焦点」の場合………140
     4.3.3.2 「広い焦点」の場合………143
     4.3.3.3 副助詞………145
   4.3.4 関係保存の制約………146
  4.4 とりたて詞の移動………149
  第4章注………152

第5章 動詞・形容詞と機能範疇………157
  5.1 動詞上昇の証拠………157
   5.1.1 Koizumi (1995, 2000) が挙げた証拠………159
   5.1.2 Koizumi の問題点………161
  5.2 形態的併合の優位性………166
   5.2.1 Takano (2005) の主張………166
   5.2.2 とりたて詞と付加詞………168
  5.3 形容詞の屈折………172
  5.4 da縮約………178
  第5章注………182

おわりに………187
参考文献………191
索引………199

(以上)

日本の多言語社会

真田信治・庄司博史(編)『日本の多言語社会』(岩波書店, 2005)が出ました。

わたしの「役割語」の項目も含まれています(282-284頁)。

日本語に関わる社会言語学的な知識が網羅されていて、大変ありがたい本です。役割語の研究の際にも、つねに座右に置いておきたい本だと思います。

日本学・敦煌学・漢文訓読の新展開

一年くらい前に出た本ですが、内容が多彩でありながら、なかなか人の目に触れない種類の出版物であるように思いますので、内容をご紹介しておきたいと思います。

石塚晴通教授退職記念会(編)(2005.5)『日本学・敦煌学・漢文訓読の新展開』汲古書院, ISBN: 4762935247

序……池田証寿
石塚晴通教授略年譜・研究業績目録

訓点資料として見た漢文文献の諸相―陀羅尼部の訓点を手掛かりとして……沼本克明
訓読と翻訳―日本書紀の古訓―……木田章義
古語拾遺の古訓点について―その年代性をめぐって―……月本雅幸
蘇磨呼童子請問経における注釈と訓読……松本光隆
尚書正義との関係から見た古文尚書平安中期点の問題……小助川貞次
金剛寺一切経の古訓点本―『維摩経』を中心に―……金水 敏
辞書と材料―和訓の収集―……大槻 信
高山寺蔵新訳華厳経音義と宮内庁書陵部蔵宋版華厳経……池田証寿
高野山性厳房宥快の講説とその聞書類について
  ―金剛三昧院蔵大日経疏伝授抄に見える古辞書逸文を中心に―……土井光祐
僧侶の書記用漢字―接続詞「これによりて」の用字から―……山本真吾
中世における「心身不調」表現の諸相……伊原信一
「すまひ(住)」用字考―宛字“住居”の慣用に至るまで―……漆崎正人
あらすじ過去と別人格―『法華百座聞書抄』のキ・ケリ―……福沢将樹
新漢語の産出と近代漢文訓読……陳 力衛
文字番号および部首番号の起源と応用―『大字典』と華英字典とRose-Innes―……高田智和
標準語形使用率と鉄道距離重心……井上史雄
談話における発話の相互関係とまとまり……野村真木夫
受身文の動作主マーカーについて……劉 笑明
日本文学(古典)の精神病理学……林 美朗
明治前期における中日漢詩文の交流……王 宝平
敦煌写本の書誌学的研究―近年の動向を踏まえて―……赤尾栄慶
唐代楷書事態研究に果たした敦煌出土スタイン三八八番写本の役割
  ―『正名要録』と『群書新定字様』―……西原一幸
「無」・「无」字の問題系―『唐開成石経周易』における二字体―……紅林幸子
    *
ロシア所蔵ウイグル文「金剛般若経」断片一葉について……庄垣内正弘
敦煌石窟におけるペン描き壁画―粛北五個廟第4窟を中心に―……劉 永増
敦煌文献によって展開された六朝隋唐注釈学―『毛詩音隠』を例に―……鄭 阿財
敦煌写本真偽弁別示例
  ―法成の講じた『瑜伽師地論』の学生による筆記を中心として―……栄新江・余欣
敦煌仏教の50巻『華厳経』を探して……李 丞宰
日本の敦煌文学研究の成果と方法の考察……朱 鳳玉
閻崇〓(玉偏に「劇」の左側)『敦煌変文詞語匯釈』の検討および補……方 一新
《遊仙窟》俗語詞君釈……黄 征
韻律と附加式二音節語についての試論……王 雲路
敦煌学への自然科学的分析の導入……加藤雅人
『大宋重修広韻』における掲出字と注内異体字との関わり……工藤祐嗣
日本書紀における中国口語起源漢語の受容……唐 〓(火偏に「偉」の右側)
『源氏物語』における儒家思想―第一部を中心にして―……陳 明姿
訓点資料としてみた「長恨歌伝」「長恨歌」の訓読に関する一考察
   ―金沢文庫本『白氏文集』巻十二所収の場合―……渡辺さゆり
バレト著「葡羅辞書」のキリシタン語学に於ける意義……岸本恵実・豊島正之
キリシタン版前期国字版本の平仮名活字について……白井 純
酒田市光丘文庫所蔵慶応四年「土人共江申渡書」のアイヌ語について……佐藤知己
英和兵語辞書について……朴 均轍
『飲氷室合集』にある日本借用語の性格……李 運博
広辞苑の漢字……小野芳彦
「どうせ」の用法の分析……菊地康人
日本語の主題文の形成原理と情報構造……陳 訪澤
慣用句の翻訳による意味伝達の問題について……ボトーエフ・イーゴリ
日韓推量表現形式の対応関係分析……尹 相実
「言語接触」の観点から見た日本語と朝鮮語……門脇誠一
韓国漢字の表音字と表意字……朴 盛鍾
韓国の口訣……鄭 在永
漢字・漢文の韓国的受容……初期吏読と釈読口訣資料を中心に……金 永旭
周本『華厳経』巻第六における点吐の重複表記と符号……朴 鎮浩
『瑜伽師地論』点吐口訣に関する一考察
   ―口訣点の懸吐位置の細分と位置変異現象について―……張 景俊
韓国の角筆符号口訣と日本の訓点において存する華厳経の不読字について……尹 幸舜
16世紀韓日両国の論語理解……呉 美寧

(以上)

言外と言内の交流分野

026774050000 私も寄稿した、論文集のご紹介をします。

上田 功・野田 尚史(編)『言外と言内の交流分野』小泉保博士傘寿記念論文集
税込価格 : \10,500 (本体 : \10,000)
出版 : 大学書林
サイズ : A5判 / 624p
ISBN : 4-475-01875-7
発行年月 : 2006.4
【内容】

傘寿の辞……小泉 保
小泉保博士履歴・学会活動・研究業績
定住外国人対象の日本語教育の枠組みに関する一考察……足立祐子
「どうせ」の意味と規定性……有田節子
日本語の思惟方法から見た動詞のしくみ……池田哲郎
接続文構造の習得方法……伊藤克敏
ウラル基語属格考……稲葉信史
「派生時代」の音韻獲得制約再考……上田 功
得意な指示詞「あれ」再考――日本語会話コーパスによる分析……上村隆一
ハンガリー語の副動詞構文について……大島 一
面白い言語現象……何自然・劉小珊
「XはYがP」構文における「Yが」の解釈について……甲斐ますみ
直喩と諺―語用論の視点から―……鍵村和子
スリランカ手話のネームサインにおける位置と生起制約……加納 満
日本語「VNする」と韓国語「VN Hada/doeda」―基礎的語彙を中心に―……金 良宣
役割語としてのピジン日本語の歴史素描……金水 敏
わきまえの言語行為研究のための課題探求「遠慮」の言語行為をめぐって……久保 進
ビジネストークの語用論……黒田史彦
20世紀の言語学:分析対象の縮小とその結果……児玉徳美
異文化間の誤解……小林純子
情動自動詞に見られる使役性と他動性……小牧千里
フィンランド語の離格の用法について……佐久間淳一
「はおろか」構文・「どころか」構文に関する意味論的・語用論的考察……澤田 治
ヴォイスの観点から見た日本語の受益構文……澤田 淳
日本語の自発文をめぐって……澤田治美
とりたて動詞と条件・否定の相互作用……澤田美恵子
Kalevala と古事記の距離……清水義夫
いわゆる日本語の助詞に関する覚え書き……庄司育子
普遍性仮説と類似性……杉本孝司
「~てもらっていいですか」という言い方―指示・依頼と許可求めの言語行為―……砂川有里子
「で」の「格解釈のゆれ」再考―「道具」と「原因・理由」を中心に―……宗田安巳
「~ている」形の解釈と非能格/非対格動詞……高見健一
Triant lo Blanc の難解な箇所と Albert Hauf 版について……田沢 耕
埋め込み文の推意について……田中廣明
条件文の意味論……田中美和子
サミュエル・ベケットの演劇―混沌からグレート・マザーへ―……谷上れい子
「は」と「が」の意味について……陳 訪澤
雑談における評価の共有―映画を見たあとの雑談の分析―……筒井佐代
会話における「異文化性」のダイナミズム―相互行為分析の視点から―……徳井厚子
ハンガリー語の様格-kent が語順に現れる位置について……野瀬昌彦
新聞の見出し末における格助詞・とりたて助詞の特徴……野田春美
日本語の打ち間違いの言語学的な分析―パソコンのローマ字入力の場合―……野田尚史
譲歩の談話と認識的モダリティ―「のではないか」はなぜ譲歩文と共起しないのか―……蓮沼昭子
「認知語用論」の展開―参照点能力と推論―……林 宅男
ディスコースメタファーの構築:シロ色がジェンダーの意味を獲得する瞬間……林 礼子
英語のジョークと川柳の笑いについて:関連性理論による分析……東森 勲
日本語の名詞述語文の連続性と「ハ」「ガ」の選択……樋口 功
トルコ語とウイグル語における現在形と過去形の人称を示す形式……藤家洋昭
Perceived Competence in Prononciation: Change During a Phonetics Course……Emi Matsumoto
理系日本語論文における緒言部と結論部の呼応的関係―専門日本語教育のための文章研究として―……村岡貴子
ポルトガル語の中舌母音……村松英理子
語法研究に潜む暗黙の前提……山口治彦
認知プロセスと構文の分布関係……山梨正明
日本語教育における「場面」概念の意義……由井紀久子
時間直示に関する日中対照語用論研究的研究……余 維
執筆者一覧
編集後記

日本のフィールド言語学

いただいたご本の紹介をいたします。「桂書房」は富山県にある出版社です(〒930-0103 富山市北代3683-11 電話 076-434-4600 FAX 076-434-4617)。

発売月:2006/05/ ジャンル:専門/単行本/語学総記
日本のフィールド言語学(ニホンノフィールドゲンゴガク) ―新たな楽の創造にむけた富山からの提言―

日本海総合研究プロジェクト研究報告4

判型:A5判 頁:335 定価:3150円(本体価格:3000円)


編著:真田 信治 監修 中井 精一・ダニエル ロング 編
発行・発売:桂書房
ISBN:4-903351-09-2 C3080

【内容】

変異理論と日本のフィールド言語学……松田謙次郎

日本の非母語話者を研究対象にした新しい社会言語学の可能性……ダニエル・ロング

景観・感性・言語……中井精一

言語変化への一視点……金沢裕之

「社会」をもとめる社会言語学……太田一郎

言語地理学の再起動……大西拓一郎

京阪式アクセントは東京式アクセントより本当に古いのか……岸江信介

山陰・山陽から関西における方言の分布と動態について……都染直也

方言に見られる生き物名に付く接尾辞「メ」……新田哲夫

談話資料・コーパス資料による文法研究……二階堂整

方言談話の中の地域差・世代差・場面差……井上文子・三井はるみ

近畿における方言と共通語の使い分け意識の特徴……田原広史

GISを用いた既存言語地図データベースの試み……鳥谷善史

秋田方言の親族語彙の体系変化に見られる非対称性……日高水穂

地域社会の変容と社会言語学……村上敬一

社会言語学の学際的特徴を生かした発展の可能性……余 健

地域社会内部の言語層を素描する……西尾純二

社会言語学における方言接触研究のこれから……朝日祥之

方言における確認要求表現の対照研究にむけて……松丸真大

個人のことばを捉える視点……阿部貴人

関西における幼児期・児童期の方言習得……高木千恵

現代日本語の地域方言とその評価……市島佑起子

『社会言語学の展望』他

去る3月20日、同僚の真田信治先生の還暦記念パーティが行われました。私は出張で出られなかったわけですが、そのとき配られた二冊の本を後ほどいただきました。

一冊は、

真田信治教授還暦記念論集編纂委員会(編)(2005)
『日本語研究の前衛―真田信治教授還暦記念論集―』
時事日本語社、ISBN:8940205944 93730

です。還暦記念論集自体は、大学ではよくあることですが、この本の特色は、20人の著者全員が韓国人であり、本も韓国で出版されたということです。なおかつ、言語は日本語です。永年、留学生の指導にあたり、国際的なネットワーク作りに貢献されてきた真田先生ならではの快挙であると思いました。

もう一冊は、

026610560000 真田信治(編)(2006)
『社会言語学の展望』
くろしお出版、ISBN:4874243452

です。これは、真田先生の薫陶を受けてきた卒業生や同僚の先生により執筆・編集された、社会言語学の教科書です。日本語で書かれたものとして、この分野での一つのスタンダードが生まれたと思います。

東アジア国際フォーラムプロジェクト

Taiwan 大阪大学大学院文学研究科東アジア国際フォーラムプロジェクト(編)(2005, 3)『2004-2005年大阪大学大学院文学研究科共同研究報告書 台湾における日本文学国語学の新たな可能性〔2004年度〕 アジアの表象/日本の表象〔2005年度〕 』(大阪大学大学院文学研究科)という報告書ができました。2年度分の国際フォーラムの成果をまとめたものです。2004年度分の目次はこちらにあります。入手したい方、コメントでお問い合わせ下さい(メールアドレスをお願いします)。

2005年度分の目次を挙げておきます。

活動報告………(098)
参加報告………同志社大学教授 佐伯純子 (101)
研究報告抄録
大江健三郎『われらの時代』における女性像―女性の問題―
  ………チュラロンコーン大学講師 ドゥアンテム・クリサダターノン (103)
英語で書かれた想像の日本語―カズオ・イシグロと翻訳
  ………京都外国語大学短期大学部講師 荘中孝之 (111)
「声の文学」としての語り物―近代における浪花節の変貌
  ………大阪大学大学院助手 真鍋昌賢 (118)
浄瑠璃『壺坂霊験記』における「貞節」と「愛」
  ………別府大学講師 細田明宏 (122)

日本語存在表現の歴史

book_2309 私の書いた新しい本が手元に届きました。『日本語存在表現の歴史』(ひつじ書房、ISBN:489476265X)と言います。日本語史の専門書なので、読み通すのはちょっと根性がいるかと思いますが、ご興味のある方、ぜひお手にとってみて下さい。

本書「あとがき」を下記に引いておきます。ご献本した方のお返事で、「内容はまだ見てないがあとがきに感動した」と書いてきた方がいらっしゃいました。

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本書のルーツは、一九七九年、在学していた東京大学大学院人文科学研究科での山口明穂先生の演習「あゆひ抄読解」において、私が「有倫(ありとも)」の項を担当したことに発します。古典語の「たり」を、里言(口語訳)においては「内外」(有生・無生)の区別に従って、「~ている」「~てある」と使い分ける、という記述(本書14・4・2節参照)に興味を引かれ、同時代の本居宣長の「古今集遠鏡」で例証を試み、その事実を確認しました。それをきっかけとして、「いる」と「ある」の使い分けと歴史的変化への関心が高まり、同じく山口先生の学部時代の演習(一九七七年)で取り上げられた「天草版平家物語」を使って、原拠本との対照により、変化の断面を切り取ることを思いつきました。この調査は、一九八一年三月に提出した修士論文「文の意味構造と〈有情・非情〉」へと結実しました。そして修士論文の成果をもとに、私の最初期の公刊論文である金水(一九八三a、一九八三b、一九八四)が生まれ、それが本書の基盤となった訳です。本書を生み出す重要な契機を与えてくださった山口明穂先生に、まずお礼を申し上げなければなりません。またもう一人の恩師・築島裕先生は、私を漢文訓読文の世界に導いてくださいましたが、そこから「ゐたり」と「をり」の文体的な対立という概念が導かれたわけです。そのアイディアはまず金水(一九八三b)で言及され、やがて本書第2部の大きなテーマとなりました。築島裕先生、山口明穂先生、ありがとうございました。

併せて、その当時演習や普段の学習においてさまざまなご意見を賜った諸先輩・後輩の皆様にも心よりお礼を申し上げます。特に、七七年の「天草版平家物語」演習でご一緒させていただいた工藤真由美氏には、当時ご研究中だった宇和島方言のアスペクトなどのお話から、アスペクトに対する関心を開いていただきました。言うまでもなく工藤氏のご研究は工藤(一九九五)に代表されるように、その後の日本語におけるアスペクト・テンス研究を牽引する立場に立たれたわけで、本書においても多大な学恩を賜っております。記して深く感謝いたします。

その後、一九九二年頃、仁田義雄先生より、ひつじ書房の「日本語研究叢書」第二期へ寄稿せよとのお誘いをいただき、存在動詞の歴史なら書けると思ってお引き受けしましたが、これが思いの外の難産となってしまいました。今思えば、私自身の研究の興味がさまざまな方向へと広がっていった時期でもあり、一冊の本をまとめるという集中力を欠いていたことが最大の原因であったかと思います。執筆作業に手を付けられないまま時間が過ぎ、その間に九五年の阪神・淡路大震災での被災、九八年の本務校の移動などが重なり、なお出版が遅れることとなりました。この度、二〇〇五年度の日本学術振興会の出版助成を得たことを弾みとして、ついに出版にこぎ着けましたが、それもこれも、ひつじ書房房主松本功氏が我慢強くねばり強く執筆を促されてきたからこそのことであります。松本氏には、心からのお詫びとお礼を申し上げます。また、最後の追い込みに担当者として伴走してくださった、ひつじ書房の編集担当の松原梓さんにもお礼を申し上げます。

さて、いささか言い訳めきますが、本書の執筆を思い立ってから今日までの回り道は、決して無駄であったわけではなく、この間に学んできた日本語史、意味論、統語論、語用論、計算言語学、社会言語学等の知識は本書にそれなりに反映されているのではないかと思います。予定通り書き上げていたら成っていたであろう本書の姿と、今日の現実の本書の姿とは、かなり異なっていたはずです。本書は、その意味で、私のこれまでの研究生活の集大成であると言えます(「役割語」も、実は本書で扱った「おる」の研究の中から生まれた概念であることを付け加えておきます)。私の満五〇歳の年に刊行がなったことも、単なる偶然を越えた意味を持つのでしょう。ここで、私が研究の道に進むことを許してくれた両親と、私の生活を支え、生き甲斐と張りを与えてくれた妻と二人の子供たちにも改めてお礼を申したいと思います。そしてここに名前を記すことができなかった方々も含め、貴重なご教示を賜り、私の研究を助けてくださった皆々様、本当にありがとうございました。

ともあれ、やっと本書を書き終え、私は今、積年の負債を返済し終えたような思いでいます。本書を足がかりとし、いざ、研究生活の後半戦へと旅立つことといたしましょう。

二〇〇六年二月 西宮の自宅にて

                                                             金水 敏記

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