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2006年8月23日 (水)

16th J/K Linguistics Conference

毎年、アメリカのいろいろな大学で行われている Japanese/Korean Linguistics Conference が、今年は京都大学で開かれます。案内のホームページが出来ています。事前登録が9月10日までですので、参加されたい方はお急ぎ下さい。

We are writing to notify you that information on schedule,
registration, accommodation, and other announcements are available at the conference website.

http://www.hmn.bun.kyoto-u.ac.jp/langlogic/jk16/index.htm

Everyone who attends the conference must register. Please go to the conference website and follow the directions. The deadline for early registration is September 10th. We would appreciate your registering for the conference as soon as you can.

Yukinori Takubo

2006年8月20日 (日)

鳥瞰虫瞰

いただいております。

31621595 透徹した文献学の知識と言語史観に裏付けされた、名著であると思います。日本語史を学ぶすべての人に読んでいただきたいです。

今野真二 (2005) 『文献から読み解く日本語の歴史【鳥瞰虫瞰】』笠間書院, ISBN:4305703076

目次から摘記いたします。

第1章 『平家物語』 手書きによって成った中世期のテキストの場合
1 斯道文庫本の概観
2 天草版との比較
3 平松家本との比較

第2章 手書きから印刷へ 御伽草子『横笛瀧口草子』を資料として
1 『横笛草子』
2 二つの古活字版
3 古写本、古活字版、整版本をめぐって(係り結びを例として)

第3章 明治期のテキストの諸相
1 違式註違條例
2 『華盛頓軍記』
3 森鴎外『文づかひ』

石川洋子氏

いただきました。

石川洋子 (2006) 「鈴木朖『論語参解』の割注の言葉」『文莫』第28号, pp. 1-22.

近世の俗語が多用されている資料です。

パワーポイント・ビューア

ここの投稿で、「パワーポイントをお持ちでない方のためにPDFファイルも作った」と書きましたが、コメントにもあるとおり、くうざん氏がフリーのPPTファイルのビューアの存在をご教示下さいました。ご活用下さい。

パワーポイント・ビューワーがありまして、マイクロソフト純正ですので、表示が歪んだりせずに、表示が可能です。
http://www.microsoft.com/downloads/Browse.aspx?displaylang=ja&categoryid=9

準体助詞「の」

いただきました。私の現在の研究に直結するご論考です。

信太知子 (2006) 「衰退期の連体形準体法と準体助詞「の」―句構造の観点から―」『神女大国文』第17号, pp. 29-44.

長くなりますが、まとめの部分を引用します。

 準体法は、準体率から見て、中世末期にはかなり体言相当句を構成する力が衰退していたとはいえ、その点で準体助詞「の」が活用語承接機能を獲得する時期とのずれはないといえる。具体的には、内容節型において衰退傾向が著しく、また、主語、目的語成分の場合よりも、文末に位置し体言性を保持しにくい述語成分の場合に変化は急激であった。したがって、準体句に失われた体言性を保持するための「の」は、内容節型の述語成分で最も必要度が高かったといえる。「の」の出自からすると、「もの」等の意で、同一名詞型の主語、目的語成分などにまず出現することが予想されるが、初期の例にすでに内容節型述語成分の例も見られるのは右のような事情を反映したものといえ、この点でも準体法衰退とそれを補償する「の」という関係は十分に成立するものと言える。

現代語において【準体】はすべて【連体】あるいは【の】に変わったわけではない。述語との関係から体言性の強い主語、目的語成分の場合はともかく、体言性のさほど強くない格助詞「に」などが下接する連用成分では準体句のまま慣用句として残ったものも多い。これは「の」が「無色、無内容」とはいえ、「もの、人、こと」等の意味で使用される場合が多く、そのことが関係するものであろう。このことは主語、目的語以外の連用成分、特に古代語で【準体】の多用された「時、所」を示す準体句で「の」が用いられる例が少ないことの説明にもなりうる。その結果体系的すきまのようなものができ、接続助詞「に」「で」の場合には「のに」「ので」という形式に変化したと考えられそうである。また、同一名詞型より内容節型の句の方が陳述性が高いことはすでに指摘されており、例えば近藤(一九九二)では「作用性準体(筆者注 内容節準体)は文がそのまま抽象的に名詞化された従属節」と捉えられている。内容節型準体が述語成分となる場合、いったんは「の」を含んだ形をとるが、それでも文末あるいは節末では陳述性の高まりを阻止することは難しく、その結果「のだ(んだ)」という形で文末詞に変化することも多いといえる。逆に「だろう」「なら」など「の」確立以前に一語の助動詞、助詞と化していたと考えられる場合には体言相当句である必要はなく、終助詞が下接する場合同様【準体】を文相当句として受け入れ、「の」を介さない形が一般的で、「の」を加えると別のニュアンスが付加するようになると考えられる。

 内容節型における体言相当句が、準体法衰退により文相当句という方が適切なものになった時、それを「句」としてまとめるには文を引用できる「と」が最も適切な形式であったのであろう。すでに記したように現代語では内容節型において「という」「との」が必須の場合があることは周知の事実であるが、これらのつなぎ」の語を用いる傾向が時代とともに高まっていったことは信太(二〇〇四)で指摘したところである。九州方言において「の」ではなく「と」が選択されたのもこのあたりの事情が何らかの形で関係しているように思われる。

 では、同じ連体助詞の「が」、あるいは「こと」「もの」などの形式名詞でも準体法を補償することは可能であったのに、なぜ中央語で「の」が定着したのか。形式体言では不十分であったことについては前稿で指摘したところであるが、「の」が選択されたことに関しては、「の」と「が」の尊卑表現との関わりを指摘する説もあるが、中央語において「が」、連体格「の」という機能分担が行われたこと、「が」は主格の他に活用語に直接する接続助詞の機能も有したことが大きな要因と思われる。

 最後に準体法衰退の原因にも簡単に触れておきたい。すでに度々指摘したが、やはり終止形連体形同形化という現象が関係すると考えられる。活用語の終止形連体形同形化が中世末までには完了し、その結果、準体句そのままでは体言相当句と文相当句との区別が困難な状況が特に文末で生じたと考えられる。【準体】が文末で不安定ということからすると、逆に、準体法の衰退が同形化につながったという考え方も可能ではあるが、両者には時間的なずれがあり、たとえば【準体】がかなり認められる『天草本伊曽保物語』の文終止はほとんど連体形であるというように、同形化は少なくとも口頭語では中世末期には完了していたとみられ、同形化すなわち準体法の衰退という可能性は小さいと現段階では考える。準体法衰退の原因、連体形終止形同形化については、今後の検討課題としたい。(pp. 39-40)

あわせて、同論文に引用されている信太氏の先行文献を挙げておきます。

信太知子 (1976) 「準体助詞「の」の活用語承接について―連体形準体法の消滅との関連―」『立正女子大国文』第5号
信太知子 (1992) 「『枕草子』における連体形準体法―構文的な特質を中心に―」『神女大国文』第3号
信太知子 (2004) 「古代語における「といふ」型名詞節について―付「絶えむの心」―」『神女大国文』第15号

2006年8月19日 (土)

Classical Japanese: A Grammar

コロンビア大学のHaruo Shirane先生にいただきました。アメリカで古典日本語を教えるための、実践的な教科書です。日本の学校文法を基盤とした体系になっています。続編として、例文集がもうすぐ出るとのことです。

Shirane, Haruo (2005) Cassical Japanese: A Grammar, Columbia University Press, New York. ISBN: 023113526

Situated Meaning

ニューヨークで、チャールズ・クイン先生にいただきました。「内・外」をキーワードとして見た、日本文化、日本社会、日本語論についての論文集です。

Bachnik, Jane M. and Quinn, Charles J., Jr (eds.) (1994) Situated Meaning: Inside and Outside in Japanese Self, Society, and Language, Prinston University Press, Prinston. ISBN: 0691015384

Part One: Indexing Self and Social Context

Chapter One
Introduction: uni/soto: Challenging Our Conceptualzations of Self, Scial Order, and Language
  Jane M. Bachnik

Chapter Two
The Terms uchi and soto as Windows on a World
  Charles J. Quinn, Jr.

Chapter Three
A Movable Self: The Linguistic Indexing of uchi and soto
  Patricia J. Wetzel

Chapter Four
Indexing Hierarchy through Japanese Gender Relations
  Nancy R. Rosenberger

Chapter Five
Uchi/soto: Choices in Directive Speech Acts in Japanese
  Robert J. Sukle

Chapter Six
Indexing Self and Society in Japanese Family Organization
  Jane M. Bachnik

Part Two: Failure to Index: Boundary Disintegration and Social Breakdown

Chapter Seven
Uchi no kaisha: Company as Family?
  Dorinne K. Kondo

Chapter Eight
The Battle to Belong: Self-Sacrifice and Self-Fulfillment in the Japanese Family Enterprize
  Matthews M. Hamabata

Chapter Nine
When uchi and soto Fell Silent in the Night: Shifting Boundaries in Shiga Naoya's "The Razor"
  Michael S. Molasky

Chapter Ten
Uni/soto: Authority and Intimacy, Hierarchy and Solidarity in Japan
  Jane M. Bachnik

Part Three: Language as a Form of Life: Clines of Knowledge as Clines of Person

Chapter Eleven
Uchi/soto: Tip of a Semiotic Iceberg? 'Inside' and 'Outside' Knowledge in the Grammar of Japanese
  Charles J. Quinn, Jr.

2006年8月18日 (金)

文語文法・動詞活用早わかり

前期の授業で使った、文語文法を説明するためのパワーポイント・ファイルをアップしておきます。

パワーポイントのアプリケーションをお持ちでない方のために、PDF化したファイルもアップしておきますが、アニメーションが表示できません。アニメーションがあった方が、このスライドは分かりやすいです。

「katuyo_slide.ppt」をダウンロード

「katuyo_slide.pdf」をダウンロード

現代に生きる古典日本語

2006年8月5日に、「2006日本語教育国際研究大会」で発表した時の、論文原稿(当日のハンドアウトと同じ)および、パワーポイントのスライドをPDF化したものを、アップしておきます。発表のデータは以下の通りです。

発表者:金水 敏
発表日:2006年8月5日
場所:コロンビア大学、米国ニューヨーク市
学会等:2006日本語教育国際研究大会
セクション等:招待パネル "Classical Japanese," Chair: Haruo Shirane
主催者等:The Association of Teachers of Japanese/National Council of Japanese Launguage Teachers

「CIJLE2006paper.pdf」をダウンロード

「CIJLE2006slide.pdf」をダウンロード

2006年8月17日 (木)

アカデミック・ジャパニーズ

ひつじ書房さまからいただきました。

4894762757 門倉正美・筒井洋一・三宅和子(編) (2006) 『アカデミック・ジャパニーズの挑戦』ひつじ書房, ISBN:4894762757

ひつじ書房のサイトへ

「国家」を背景とする日本語(外国語)教育から、市民のための外国語教育への転換を図るという意図が、「アカデミック・ジャパニーズ」という用語に込められているようです。

2006年8月16日 (水)

Grammaticalization as Ecconomy

既に購入済みの本ですが、記録しておきたいと思います。

Elly van Gelderen (2004) Grammaticalization as Ecconomy, John Benjamins Publishing Company, Amsterdam/Philadelphia. ISBN:9027227950

Part I

Chapter 1
Introduction
1. Layers and clauses
2. Grammaticalization across clauses
3. Grammaticalization in a Generative Framework
4. Economy
5. Outline and methodological points

Chapter 2
Economy
1. Spec to Head
2. Late Merge
3. Conclusion

Part II

Chapter 3
The structure of CP and the Layer Parameter
1. The Structure of CPs
2. Cross-linguistic differences in the split CP
3. No split in the embedded OE clause
4. Syntax and semantics
5. Verb classes in the history of English
6. The frequent absence of (embedded) CP in Indo-European and Germanic
7. Conclusion

Chapter 4
Spec to Head: The rise of the (embedded) CP
1. Relativesin ModE: From Spec to Head
2. From Spec to Head in OE relatives
3. Complementizer that: From Spec to Head
4. The complementizer Whether: Between Spec and Head
5. Other relatives
6. Conclusion

Chapter 5
Late Merge: The rise of the split CP
1. Finte complementizers in ME
2. Nonfinite complementizers in ME
3. The left periphery
4. Topic incorporation
5. Conclusion

Chapter 6
More Late Merge: Heads to higher Heads and Specs to higher Specs
1. From lexical to grammatical head
2. From grammatical to grammatical head
3. From Spec to Spec
4. Conclusion

Chapter 7
The IP, VP-shell, and thier layers
1. The structure of IP and the VP-shell
2. Cross-linguistic differences regarding the IP
3. IPs as reduced CPs; VPs as reduced IP
4. Patterns of gramaticalization
5. Conclusion

Chapter 8
Changes in modals and have: Competition for ASP-hood
1. ModE Analysis
2. Double modals
3. From V to ASP: Competition with ge
4. Modals and have: Taking over th eASP position
5. Late Merge and concluding remarks

Chapter 9
Perception verbs and ASPect
1. PV complements and aspect
2. PVs in ModE and Dutch: ASP and v
3. OE and ME
4. Conclusion

Chapter 10
Aspect: The Tense Aspect Parameter and innter to outer aspect
1. The simple present and the progressive: The Tense Aspect
2. Changes in ASP
3. Other aspectual markers: do?
4. Inner aspect The E(xtent) Phrase
5. Giorgi & Pianesi: The demise of the infinitival ending and aspect
6. Conclusion and further research

Chapter 11
Late Merge Heads to higher Heads
1. From lexical to gramatical
2. From grammatical to grammatical: From (P to) ASP to M to C
3. Conclusion

Part IV

Chapter 12
The Layer Parameter and Pronominal Argument Languages
1. The Layer Parameter
2. Characteristics of PAL/Polysinthetic Language
3. OE as (partial) PAL
4. The switch to Middle Nd Modern English
5. Conclusion

Chapter 13
Conclusion
1. Grammaticalization as Ecconomy
2. Apparent counterexamples to uni0directionality
3. Principles and Parameters

Historical Pragmatics

西光書店で購入しました。

Jucker, A. H. (ed) (1995) Historical Pragmatics: Pragmatic Developments in the History of English, Pragmatics & Beyond New Series, 35, John Benjamin, Publishing, Amsterdam.

Introduction
The Historical Perspective in Pragmatics
    Andreas Jacobs and Andreas H. Jucker

Part I: Pragmaphilology
The Openness of Medieval Texts
    Heinz Bergner
They Had Their Points: Punctuation and Interpretation in English Renaissance Literature
    Gert Ronberg
Punctuation: And - 'Pragmatics'
    John Lennard
A Close Reading of William Caxton's Dialogues: "... to lerne Shortly frenssh and englyssh"
    Werner Hullen (u に ウムラウト)
Wills and Will-Making in 16th and 17th Century England: Some Pragmatic Aspects
    Ulrich Bach
Communicative Clues in Sir Gawain and the Green Knight
    Ma Pilar Naverro-Errasti

Part II: Diachronic form-to function mapping
Pragmatic Maxims in Explanations of Language Change?
    Jose Pinto de Lima (Jose の e にアクサン)
Pragmatic Constraints to Word Order, and Word-Order Change in English
    Enrique Bernardez and Paloma Tejada (Bernandez の a にアクサン)
On Doing as You Please
    Cynthia L. Allen
Your Average Generalizations: A Case-Study in Historical Pragmatics
    Katie Wales
Demonstratives in Early Modern English Letters
    Barbara Kryk-Kastovsky
The Ambiguous Adverbial/Conjunctions pa and ponne in Middle English: A Discourse-Pragmatic Study of then and when in Early English Saints' Lives
    Brita Warvik (Warvik の a の上に○)
Middle English po and other Narrative Discourse Markers
    Monika Fludernik
Diachronic Analysis of Japanese Discourse Markers
    Noriko Okada Onodera
Interjections in Early Modern English: From Imitation of Spoken to Converntions of Written Language
    Irma Taavitsainen

Part III: Diachronic function-to-form mapping
Topics in the History of Dialogue Forms
    Gerd Fritz
"Then I saw to antique heddes": Discourse Strategies in Early Modern English Travelogues
    Tuija Virtanen
Linguistic Politeness Strategies in Shakespere's Plays
    Roman Kopytko
Constraints on Politeness: The Pragmatics of Address Formulae in Early English Correspondence
    Terttu Nevalainen and Helena Raumolin-Brungerg

Lexicalization and Language Change

ここにご紹介した東泉さんに勧めていただいた本です。

Brinton, Laurel J., and Traugott, Elizabeth Closs (2005) Lexicalization and Language Change, Cambridge University Press, Cambridge. ISBN:0521540631

目次の抜き書きです。

1 Theoretical contexts for the study of lexicalization and grammaticalization
1.0 Purpose of the present study
1.1 Debates concerning grammar and language change
1.2 Concepts of the lixicon
1.3 Lexicalization
1.4 Grammaticalization
1.5 Conclusion

2 Lexicalization: definitions and viewpoints
2.0 Introduction
2.1 Ordinary processes of word formation
2.2 Institutionalization
2.3 Lexicalization as fusion
2.4 Lexicalization as increase in autonomy
2.5 Conclusion

3 Views on the relation of lexicalization to grammaticalization
3.0 Introduction
3.1 Some examples of fusion and coalescence treated as either lexicalization or grammaticalization
3.2 Similarities between lexicalization and grammaticalization
3.3 Differences between lexicalization and grammaticalization
3.4 Status of derivation
3.5 Conclusion

4 Toward and integrated approach to lexicalization and grammaticalization
4.0 Introduction
4.1 Basic assumptions
4.2 Definitions revisited
4.3 "Reversals" of lexicalization and grammaticalization
4.4 Degrees of parallelism between lexicalization and grammaticalization
4.5 Conclusion

5 Case studies
5.0 Introduction
5.1 Present participles
5.2 Multi-word verbs
5.3 Composite predicates
5.4 Adverbs formed with -ly
5.5 Discourse markers

6 Conclusion and research questions
6.0 Introduction
6.1 Summary
6.2 Research questions

Subordinate Clause

いただいております。

4894762692 Higashiizumi, Yuko (東泉裕子) (2006) From a Subordinate Clause to an Independent Clause: A History of English because-clause and Japanese kara-clause, ひつじ書房, ISBN:4-89476-269-2

目次を抜き書きします。

Chapter 1 Introduction
1.1 Aim of the present study
1.2 Functional diversity and grammaticalization
1.3 Organization of the present study

Chapter 2 Foundations
2.1 Introduction
2.2 Grammaticalization
2.3 Some relevant studies
2.4 A note on the methodology and sources of the present study

Chapter 3 Development of English because-clause
3.1 Introduction
3.2 Because-clauses in present-day English
3.3 History of because-clauses
3.4 Developmental path of because-clauses
3.5 Discussion

Chapter 4 Development of Japanese kara-clause
4.1 Introduction
4.2 Kara-clause in present-day Japanese
4.3 History of kara-clause
4.4 Developmental path of kara-clauses
4.5 Discussion

Chapter 5 Comparison of English because-clause and Japanese kara-clauses
5.1 Introduction
5.2 Comparison
5.3 Implication

Chapter 6 Conclusion

明治スタンダードと言文一致

いただいております。大変興味深いです。

野村剛史 (2006) 「明治スタンダードと言文一致―スタンダードを中心に―」『言語・情報・テクスト』Vol. 13, pp. 1-25, 東京大学大学院総合文化研究科・言語情報科学専攻

結びの部分を引用します。

 本稿は明治7年における南郷家の混乱から始めて、江戸後期から明治期にかけて、「通語」とも言える言語が現実に存在していたであろうことを指摘してきた。それを単なる「通語」ではなくスタンダードと称するのは、それが改まった場における規範言語として、人生の早い時期にせよ遅い時期にせよ、学び直さなければならない言語であったからである。明治以降の多くの人々にとってその学習見本は、小学校の国語教科書であったかも知れない。「標準語」がいかにも詰まらない言語でもあるのは、元来それが改まった場におけるパブリックな言語であったからであり、教科書も学校もまたそうなのだ。「通語」は地域的には江戸・東京の山の手に吹き溜まった。そこが全国教養層の掃き溜めでもあったからである。一方、明治7年の南郷家の混乱の如き事態は、決して有り得ない話ではない。その時点では多くの人が、方言、ないし方言と文語体だけの言語生活を送っていたからである。また、南郷清之輔に「全国共通話し言葉」の作成が命じられたとしても、決しておかしくはない。それが、当時意識というものなのである。
 それにしても何故、上田萬年などは明治も30年代の時代になって、標準語の確立の必要性をあれほど声高に叫ばなければならなかったのだろうか。「国家語」としての標準語は、社会の通語とは異なる。上田萬年は「国家語」としての標準語を意識していたのであろう。もう一つ、事柄はしばしば事後的にのみ判然とする。上田萬年の標準語は幸福の青い鳥のようなものであった。それは石ころのように、彼の足元に転がっていたに違いないのである。(p. 23)

引用文中の「南郷清之輔」とは、井上ひさしのシナリオ「國語元年」の登場人物です。

疑問語疑問文の転変

いただいております。私にとって、大変有用です。

野村剛史 (2006) 「疑問語疑問文の転変」『国語学研究』45, pp. 13-25

キーワード:疑問語疑問文、カ付き・カ無し、係り結び、主格ノ・ガ、終止形

要旨
 上代のカ無し疑問語疑問文では、文末活用形の確例は終止形である。ところがその数が少ないので、特異例のように考えられがちであった。連体形述語の前には主格のノ・ガがあらわれ、終止形述語の前には現れない。カ無しで終止・連体同形の疑問語疑問文の中に、主格のノ・ガは1例も現れない。文末連体形を仮定すると、この現象の説明は困難である。また一人称主格のワガ・ワレに限って考えると、カ付きではワガ主格だけが、カ無しではワレ主格だけが現れる。この現象は、疑問語疑問文におけるカ付き・カ無しの相補性の強さを示唆する。以上から、上代のカ無しの疑問語疑問文の文末活用形は、終止形であると考えられる。さすれば、疑問語疑問文は、「カ無し・終止形」→「カ付き・連体形」→「カ無し・連体形」→「カ無し・終止形」のように変遷したことになる。

この説に従うとき、「上代日本語にはWH移動があり、移動に付随して文末の連体形化が起こった」とする説がどう生き残れるか、興味を引かれます。

筑紫語学論叢II

81575 ありがたいことに、編者から、下記のご著書をいただきました。

筑紫国語学談話会 編 (2006) 『筑紫語学論叢 II―日本語史と方言―』風間書房, ISBN:4-7599-1575-3

以下に、概要と目次を示します。

概要:「日本語史と方言」というテーマのもと、音韻・表記、文法、語彙、文献、方言などについてまとめた、迫野虔徳先生の退官と筑紫国語学談話会25周年記念の論文集。

上代日本語母音調和覚書(早田輝洋) pp. 1-16
“たまげる” と “たまぎる”(前田富祺) pp. 17-38
「夜の衣を返してぞ着る」の意味ー『古今集』五五四番歌考ー(山口佳紀) pp. 39-54
高野山宝寿院蔵『蒙求抄』について(柳田征司) pp. 55-70
時刻名の転義用法(鈴木丹士郎) pp. 71-86
『交隣須知』の成立存疑(迫野虔徳) pp. 87-112

1 音韻・表記
萬葉集における非単独母音性の字余りの性格ーA群とB群の関わりからー(佐野宏) pp. 115-139
鎌倉時代擬音擬態語と特殊拍(江口泰生) pp. 140-157
四つ仮名と前鼻音(高山倫明) pp. 158-174
近松浄瑠璃におけるハ行四段動詞音便形について―時代物と世話物の言葉ー(奥村和子) pp. 175-188
藍庭晋瓶(晋米)浄書 草双紙類の仮名遣の実態  ー『敵討余世波善津多』及び『正本製 五編 難波家土産』ー(矢野準) pp. 189-207

2 文法
「(さ)せらる」(尊敬)の成立をめぐつて(堀畑正臣) pp.211-237
タリからテアルヘ(山下和弘)pp.238-255
クダサルの人称制約の成立に関して(荻野千砂子)pp. 256-273
原因主語他動文の歴史(青木博史) pp. 274-293

3 語彙
「けしき」をめぐつて(二)―古代の「気色」の特色―(辛島美絵) pp. 297-313
真福寺本将門記における「合戦(カフセン)ス」と「合戦(アヒタタカ)フ」(山本秀人) pp. 314-331
「いいかげん」の意味・用法の変遷(前田桂子) pp. 332-345
「よほど」の使用条件の変化(播磨桂子) pp. 346-363
“返り討ち”の意味変化について(新野直哉) pp. 364-378
外来語成分の造語をめぐつて―《気づかない意味変化》の一例としてー(林慧君) pp. 379-396

4 文献
『物類称呼』巻二「動物」の典拠について(田籠博) pp. 399-421
肥後近世文献に見る方言ー『嶋屋日記』と『上田宜珍日記』ー(藤本憲信) pp. 422-437
江戸語資料としての『はまおき』(山県浩) pp. 437-462
『俚言集覧』『増補俚言集覧』における『今昔物語』からの引用について(岡島昭浩) pp. 463-479
明治期対訳辞書『英語節用集』所載カタカナ表記英語語形をめぐつて
 ー『薩摩辞書』との比較対照調査報告―(坂本浩一)pp. 480-500

5 方言
九州方言の可能形式「キル」についてー外的条件可能を表す「キル」ー(木部暢子) pp.3-19 (横組み、以下同)
福岡方言と朝鮮語釜山方言の疑問詞疑問文の音調(久保智之) pp. 20-36
対馬方言の敬語ー『交隣須知』を資料にしてー(高橋敬一) pp. 37-58
沖縄首里方言における複合名詞音調規則について(﨑村弘文) pp. 59-86
来間島方言の格助詞(杉村孝夫)pp. 87-99

2006年8月14日 (月)

野村剛史氏「が」「の」論文

ある方から問い合わせがありましたので、標記の件について挙げておきます。

野村剛史 (1993) 「上代語のノとガについて(上)」『国語国文』62-2, pp. 1-17.

野村剛史 (1993) 「上代語のノとガについて(下)」『国語国文』62-3, pp. 30-49.

野村剛史 (1993) 「古代から中世の「の」と「が」」『日本語学』12-10, pp. 23-33.

野村剛史 (1996) 「ガ・終止形へ」『国語国文』65-5, pp. 524-541.

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