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2007年2月19日 (月)

すべて適切でない

2月18日付、毎日新聞の見出しです。

病気腎移植:すべて適切でない 宇和島徳洲会病院調査委

この文には、二つの解釈があり得ます。

  1. (万波医師らの病気腎移植は)すべて不適切であった。
  2. (万波医師らの病気腎移植は)すべてが適切であったというわけではなく、不適切な手術もあった。

これらの解釈の違いは、数量詞「すべて」と否定辞「ない」の作用域の広狭関係によります。

  1. [すべて [適切でない]]
  2. [ [ すべて 適切で] ない]

つまり、1では「すべて」の作用域が「ない」の作用域より広く、2では逆になります。これは、次のように表せます。

  1. すべて > ない
  2. すべて < ない

論理的には、1は狭く、2は広く、1のケースは2に含まれます。1例でも適切な手術があれば1は偽となりますが、2は真となります。

問題は、報道の言葉として、このような曖昧な表現を使うべきではないということです。私は、記事を読んでも、1、2のどちらを意図しているか、よく分かりませんでした。

皆さんは、どちらの解釈が意図されていると思いますか。

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