ズージャ語
トラックバックの練習を兼ねて。
空山さんのブログで、「キッズケータイはNTTコドモにすればいいのに、あるいはジャズ用語風にNTTドモコか」という話題が出ています。
「子どもコドモ>ドモコ」のような、1~2モーラ単位の転倒による符丁の作成を、空山さんは「ジャズ用語風」とおっしゃっていますが、音韻学者、形態論学者は「ズージャ語」と読んでいるようです。
久薗晴夫 (2002) 『新語はこうして作られる』(岩波書店、ISBN4-00-006821-0)の46-47頁に「「ズージャ語」と呼ばれるジャズ音楽家たちのことば遊び」として取り上げられていますが、要点を整理すると次の通りです。
- (4モーラの語の場合)単語の最後の2モーラを最初の2モーラと結合して新しい語を作り出す。
例:抜群>グンバツ おっぱい>パイオツ そっくり>クリソツ いけばな>バナイケ - (4モーラ以上の場合の例)
マネージャー>ジャーマネ - 単語が短い場合には、最後の部分と最初の部分を組み合わせて3~4モーラの長さの新語が造られる。
例:ジャズ>ズージャ 飯>シーメ キー>イーキ
元の語が3モーラの場合、「女>ナオン」という例を聞いたことがあります。*1
私がテレビで聞いた例では、「コーヒーを飲む」は「ヒーコ、ミーノする」、「すしを食う」は「シース、イークする」となるらしいです。
タモリがズージャ語のことを話しているのを聞いたことがありますが、彼は山下洋介など、ジャズ音楽家と親交があるので、その影響で使い出したのでしょう。そもそもタモリという芸名は、「森田一義」という本名の「もりた」をズージャ化したものです。
こういったモーラ転倒は江戸時代からあるようで、「だらしがない」とうのは「しだらがない」から転倒によって生じた語、と説明されます。
以上、ことばの一口豆知識でした。
*1 一つ、大事な例を忘れてました。「うまい>マイウー」
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