キリシタン資料を見る
Hertford Collogeの真向かいにあるボドリアン図書館は、イギリスで2番目に大きい図書館ですが、キリシタン資料が収められていることで国語学者に知られています。
Bjarke先生に図書館を案内してもらったとき、「キリシタン資料がありますよね」と言ったら、「見たいなら手続きしてあげます」ということになりました。
準備として、月曜日、一週間有効な利用者カードを作ってもらいました。「本を持ち出さない、汚さない、火気を持ち込まない」という趣旨の宣誓を、その場でさせられました。宣誓は母国語でやるのが原則だそうで、ちゃんと日本語の宣誓文が用意されてありました。
火曜日の午後、貴重書の閲覧室にBjarke先生といっしょに行きました。先生はすでに申し込みをされていて、すぐに『日本大文典』と『日葡辞書』が出てきました。貴重書専用の、ウレタンで出来た書見台に載せ、パチンコ玉のようなものを布で編み込んで数珠のようにした文鎮を置いて読みます。
両方とも、思ったより小ぶりな本であることにまず驚きました。読むといっても、ローマ字の部分しか理解できませんが、ページをめくっているといろいろな感慨がわいてきます。紙の質が優れていて、薄くて強いことに感心しました。印刷機と一緒に、上質の紙を船でかなり大量に運び込んだのでしょう。およそ400年前の本なのに、いまでも完璧に読めます。不揃いの活字が、かえって、極東の地で1頁1頁組んでは手作業で印刷していった、キリシタンたちの苦労を思い起こさせます。
1時間ほどの閲覧でしたが、非常な充実感が得られました。土井忠生先生もこの図書館に通って翻訳作業をされたということで、時の流れを越えてことばを探求する人々とつながっていくような思いがしました。
(写真はもちろん撮れないので、画像なしです)
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