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2005年12月 5日 (月)

オケラ語

オーケストラ部員のことを、大学教師は侮蔑の念を込めて

オケラ

と呼ぶのです。授業はさぼるし、課題はやってこないし、ろくな奴らではありません。30年前の私ですが。オーケストラに入れあげて、身を持ち崩したオケラを、私は何人も見ています。

オーケストラ部員の符丁というのは、バンドマン、ジャズマンなんかと共通している面があります。数字の呼び方などがそうです。ドイツ語の音名で数字を表します。

B(ベー)またはH(ハー)=7
A(アー)=6
G(ゲー)=5
F(エフ)=4
E(エー)=3
D(デー)=2
C(ツェー)=1

「ゲー万」というと5万(円)のことです。8,9,10の呼び方は忘れました。

あと、曲名の略称。

チャイコン<チャイコフスキーののコンチェルト。バイオリン協奏曲の場合とピアノ協奏曲の場合とある。
メンコン<メンデルスゾーンのコンチェルト。もちろん、バイオリン協奏曲。
モツレク<モーツァルトのレクイエム
ブライチ<ブラームスの1番。交響曲第1番。
マラゴ<マーラーの5番。交響曲第5番。
オケコン<オーケストラ・コンチェルト。バルトークのオーケストラのための協奏曲。

「トリセツ<取扱説明書」のような、一般的な省略語と同じやり方で、窪薗晴夫さんの『新語はこうして作られる』に詳しく解説が載っています。

ところで、こういう省略語の場合、長音「ー」は削除される場合と削除されない場合があります。ベートーベンの略し方ですが、私の経験では、西日本と東日本では長音の扱いが違ってました。東京では「ベトシチ」(ベートーベンの交響曲第7番)と言うのですが、関西では「ベーヒチ」と言うわけです。

東京風に言えば、「ベートーベンのコンチェルト」は「ベトコン」となりますが、密かに連帯の思いを込めていたのかもしれません。

略称じゃなくても、曲名に殊更外国語を使うなど、プロっぽい感じを気取ることが多かったですね。例えば、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」は「ヘルデン・レーベン」、ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」は「ブルー・ダニューブ」と言ってました。

本番前の通し練習は、ゲネプロ。これはドイツ語ですね。ゲネラルプローベの略 《 【独】 Generalprobe 》 General probe 〔 劇 ・楽 〕。でも和製ドイツ語らしいです。

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コメント

私の居た合唱団では、略される曲名はモツレクぐらいしかありませんでしたが、ゲネプロは使っていました。
ベートーベンの長音で思い出したのですが、パートリーダーのことを、九大では「パーリー」と呼んでいたのですが、神奈川の高校から来た人が、「パトリ」と呼んでいて、面白く思ったことがありました。

投稿: くうざん | 2006年9月 4日 (月) 23時48分

コメントありがとうございます。「パトリ」はわれわれも使っていました。

投稿: SKinsui | 2006年9月 5日 (火) 08時54分

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