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2005年12月10日 (土)

これも九州方言?

今日、とあるシンポジウムで発表をなさった、英語学のFさんに、「Fさん、九州のご出身でしょう」と聞いたら、「鹿児島です。どうして分かったんですか」と言われました。

どうして分かったかというと、不定の内容を表す「何々」を、「ナニナニ」ではなく「ナンナン」と話されたからです。

この「方言」について最初に気づいたのは、以前指導していた宮崎出身の大学院生が、演習の発表で「ナンナン」といったときです。最初、個人的な誤りとおもって「それはナニナニだろう」と指摘したのに、ぜんぜん直さなかったので、「これは方言かもしれない」と思ったのでした。そのあと、何人も「ナンナン」を使う人に会いましたが、すべて九州人でした。宮崎、福岡、鹿児島までは確かですが、その他の県に該当者があったかどうかはよく覚えていません。

なお、この現象について、方言として指摘した文献を見たことがありません。

あと確かめるべき事は、

  1. 九州のどの地域まで分布しているか。
  2. 九州以外に分布はないか。
  3. 「ナンナン」の使用に、個人差、世代差などはないか

といったことかと思います。情報をお持ちの方、お知らせ下さい。

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コメント

 初めまして。Kiyottiと申します。よくブログを拝見しております。
 今回、九州方言についての記事に目が留まりました。少しでも参考になればと思い、コメントさせていただきます。
 私は熊本県北部に住む22歳ですが、確かに何々を「ナンナン」と言います。九州出身の友人も同様です。私は「何」を「ナン」と呼ぶ地域が、九州全体に広がっている印象を持っています。ちなみに「何かある?」の「何か」も、くだけた場面では「ナンカ」と言います。また、用件を知らされないまま人に呼ばれた際に聞く「何?」を「ナン?(長音が入り「ナーン?」となることも多いです)」と言います。
 祖父・祖母も日常的に使っていますので、年配者も使っていると思われます。そのため、あまり世代差はみられない気がいたします。

投稿: Kiyotti | 2005年12月11日 (日) 03時10分

Kiyotti様、コメントありがとうございます。
私も、単独の「何」を九州で「ナン」と発音する傾向のあることは気づいておりました。その延長上に「ナンナン」があるのでしょうが、「ナーン」とか「ナンガ」とか「ナンバ」とかの単独用法は、方言的な文脈でしか用いられないのに対し、「ナンナン」の方は、学会発表や教室など、公的な話し言葉でも、方言と気づかずに使ってしまっているのではないか、と思った次第です。

投稿: SKinsui | 2005年12月11日 (日) 07時57分

初めて書き込みさせていただきます。
「ナンナン」について、私もずっと気になっていて、たまたまこのブログでとり上げられていたので、少ない情報ですがご報告させていただきます。

私の友人(福岡県出身・女性・30代半ば)がいつもこれを使います。指摘しても、「え?方言?うそー」という反応でした。やはり彼女も、公式の場で目上の人相手に用いています。
このほか、上でも触れられている「ナンバ」も、「ナンバシヨート?(「なにしてるの」に当るのでしょうか)」の形で使っています。こちらは目上の人には使っていないような気がしますが。でも、標準語の干渉か、「ナニ」を普通に使っていることもあるような気がします。

まだよく分からないので、彼女の発話をもっと詳しく聞いてみようと思います。

投稿: TP119 | 2005年12月12日 (月) 23時55分

 再び書き込ませていただきます。Kiyottiと申します。
 「何」の単独用法について「方言的な文脈でしか用いられない」とのご指摘に対し、興味を持ちました。失礼とは思いますが、この場をお借りしてご教示ください。
 私は「何でもいいよ」と言う場合の「何」は、共通語としても「ナン」と発音すると思うのですが、この場合はどう解釈すればよいのでしょうか?これもまた方言的な文脈となるのでしょうか?それともこの場合は撥音便として捉えればこと足りることなのでしょうか?お願いいたします。

投稿: Kiyotti | 2005年12月13日 (火) 01時57分

TP119さま>コメントありがとうございます。さらなるご報告をお待ちしています。
Kiyottiさま>おっしゃるとおりです。共通語でも「何」を「なに」と読むときと「なん」と読むときとありますが、文脈によってかなり固定されていますね。正確には、ナンの分布・用法が九州方言と共通語とでは異なる、ということでしょう。共通語では「何で」「何でも」「何だ(か)」「何と(言う)」「何て」「何に」「何人・何回・何本」等のような場合に「ナン」と読むわけですが、「何と何を食べる?」のような場合は「なに」ですし、「何人(なにじん)」の場合も「ナニジン」ですよね。漢文風に「何人たりとも」というときは「ナンピト」ですが。共通語の「ナン」の分布は結構複雑です。しかし、九州方言の「ナン」の分布は明らかに違っていますよね。例えば格助詞「が」に続く場合など。九州方言の「ナン」の分布については、ネイティブの方のご意見が伺えればと思います。

投稿: | 2005年12月13日 (火) 08時35分

初めて書き込ませていただきます。H.K.と申します。
私は熊本県(熊本市内)出身の者(二十四歳)で、熊本在住ではありませんが、現在も家族内では熊本弁で会話をしております。
団塊世代の父も、母も、「ナンナン」を使用しておりますし、私もしばしば使います。伯父(叔父)や伯母(叔母)もこれを使っていたと記憶しています。
やはり「方言」という意識は全くなく、友人などと話す場合には、「ナンナン」をつい使ってしまいますが、どこかくだけた印象があるので、フォーマルな場では、出来る限り「ナニナニ」と改めるように心がけておりました。

投稿: H.K. | 2005年12月15日 (木) 01時51分

H.K.様、コメントありがとうございました。方言という意識がないというのはだいたい使用者の意識として、共通しているようですね。

投稿: SKinsui | 2005年12月15日 (木) 07時55分

連日失礼します。前回書き込ませていただいたことが、当人に確認をとると、やや不正確だったので、ここまでのご指摘と重複しますが、補足修正させていただきます。
例の友人(福岡県出身・女性・30代半ば)は、H.K.さんのご感覚と同様、「ナンナン」が『カジュアルである』という意識はあるとのことでした。でも、彼女の場合、フォーマルな場でも「思わず使ってしまう」のだそうです。ただ、やはり、『方言である』という意識はないそうです。

投稿: TP119 | 2005年12月16日 (金) 02時30分

Kinsuiさま
長崎出身のLionbass(52Cb)です。
Mailいただいて、早速拝読しに参りました。
長崎では「何をしているんだ?」というのを、「なんばしよっとね?」というのはご存じの通りです。「何何」が「なんなん」になるかどうかは、記憶が定かではありませんが、確かに、学校の先生とかが、そう言っていたような気もします。
「カジュアル」かどうかまで、よく思い出せなくて恐縮ですが…。

投稿: Lionbass | 2006年1月 3日 (火) 10時43分

ちなみに、小生Mac使用ですが、書き込みは問題なかったようです。
OSXで、ブラウザはFirefoxです。

投稿: Lionbass | 2006年1月 3日 (火) 10時44分

LIonbassさま、早速の書き込み、ありがとうございます。Macについてのご報告もありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: SKinsui | 2006年1月 3日 (火) 11時28分

何度も書き込んでおります、Kiyottiです。先日ご教示願いながら、そのお礼の言葉が遅くなりまして、大変失礼致しました。申し訳ございません。ありがとうございました。
SKinsui様のおっしゃられる通り、共通語と九州弁では異なるようです。
その中で、最近気づいた事ですが、「何食べる?」を、熊本では「ナン食べる?」と言いますが、その「ナン」は頭高型のアクセントです。しかし関西での「ナニ食べる?」の「ナニ」はそうではない気がいたします。このことは何らかの方言的な影響があるのでしょうか。単に「ン」と「ニ」の違いだけからくるものなのかどうか、興味をもっております。

投稿: Kiyotti | 2006年1月28日 (土) 14時22分

Kiyotti様、ご教示ありがとうございます。多分九州方言の「何」は頭高型、関西弁の「何」は低起式無格アクセントで、メロディが違います。九州弁の場合、「なに」の「に」が下がるので弱まりやすい、ということはあるのかもしれません。ただアクセント的には東京方言も一緒ですから、アクセントだけに要因を求めることはできないでしょうね。

投稿: SKinsui | 2006年1月29日 (日) 10時01分

Skinsui様、何度も丁寧なご教示ありがとうございます。アクセントだけに要因を求められないとしたら、複合的な要因があるのでしょうか。普通に話している言葉なだけに、体系化できるのかどうか、謎が深まります。

投稿: Kiyotti | 2006年1月30日 (月) 13時19分

方言調べてたら、ここに辿り着きました
だいぶ前の記事に返信すみません(゚∀゚;)

なんなん 
佐賀ではおんぶを意味する方言です

投稿: にゃこたん | 2021年3月26日 (金) 16時10分

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SKinsui’s blogの「これも九州方言?」*で、「〜〜」を「ナンナン」と読むのは九州方言という指摘がある。 確かに私も使い、高校時代の英語の先生((現在七〇歳を超えているだろうと思われる世代))もよく使っていたと思う。「ノットオンリーなんなんバットオールソーなんなん」てな具合に。 コメント欄に、「なん」が使われるのが共通語よりも多い、ともある。 共通語的にどの程度、ナニがナンになるのかを知らないので比較しにくいのだが、ちょっとメモ。私は福岡市と北九州市を転々としながら言語傾城したでありんす... [続きを読む]

受信: 2005年12月14日 (水) 23時59分

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