ちょん切る
教師が、学生の答案を笑いのネタにするのは、決して趣味のいいことではないのですが、時々、思いがけない解答に脱力してしまうこともあるのです。
問題は、こんなんです。
やがて女歌舞伎が風紀上の理由から禁止され、男性による(18)歌舞伎へと取って代わり、これも同様の理由で禁止された。一六五三年(承応二)には役者の(19)を切ること、「(20)狂言づくし」をやることを条件に歌舞伎を許され、(21)歌舞伎となった。
答えは、18「若衆」、19「前髪」、20「物真似」、21「野良(野郎)」です。それで、ある答案の19の答えに、くっきりと力強く、
性器
と書かれていました。……司馬遷とか、カストラートとかを思い出したんでしょうか。歌舞伎を、ニューハーフ・ショーみたいなものと思っているのか……しばらく、ぷるぷる笑ってしまいました。
(ちなみに、同じ答えが二人いました。二人とも女子)
一応解説しておきますと、前髪を付けた少年による「若衆歌舞伎」は、当時「衆道」と呼ばれた同性愛の売春と結びつきがちであったので禁止され、役者は前髪を落とし、成人男性であることを示す必要があった訳です。だから「野良(やろう)歌舞伎」と呼ばれたのですね。
この答案を書いたキミ、一生懸命チエを振り絞って答案を書いた努力は認めますが、ちゃんと授業中に説明したし、プリントにも書いてあるからね!
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コメント
笑えますね。でもカストラートのことを思うと、そう奇抜でもないかも。ところで「野郎」というのも陰間の別称ですし、野郎歌舞伎になってからも女形は売春をしていましたよね。なのでいつもこの説明には疑問を感じるのですが。
投稿: 小谷野敦 | 2006年1月25日 (水) 00時54分
「野郎」についてのご説明、ありがとうございました。何事につけ、規制には必ず抜け道、裏側があるということでしょうか。勉強になりました。
投稿: SKinsui | 2006年1月25日 (水) 07時40分