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2006年2月25日 (土)

胴切り

大阪大学と朝日カルチャーセンターが共同で実施している、「Handai-Asahi 中之島塾」の世話役を仰せつかっています。今日は、中川桂講師による「ライブ・おもしろ上方落語」という題目で、講師紹介をしたついでに、講義を聴かせていただきました。

中川さんは大阪大学大学院文学研究科を出られ、演劇学で博士号をお取りになっています。ご専門は、近世上方落語の歴史で、大阪大学でも授業を担当していただいています。ご自身でも落語をなさるということで、若手研究者ながら、たいへん巧みな話術をお持ちです。

そしてこの講座のお楽しみは、なんと、中川さんの実弟で本物の落語家、林家染左さんの実演がついているということです。会場の大阪大学・中之島センターの講義室には、即席の高座がしつらえられました。

染左さんは、林家染丸師匠のお弟子さんで、染左さんも阪大のご出身。なお、染左さんの兄弟弟子の染雀さんがやはり阪大出身、竹丸さんが神戸大出身と、実に高学歴の一門です。染左さんは、長身で実にイケメンの若者で、着物に着替える前にご挨拶した時は、「何かのアスリートか」と思ったくらいです。そして、お声がまた、よく通るいい声でした。

中川さんの講義は、笑話の祖・安楽庵策伝から始まり、露の五郎兵衛、米沢彦八と、落語がまだ大道芸だったころの歴史を、文献を丁寧に読みながら説明してくださいました。染左さんの実演コーナーでは、露の五郎兵衛のネタが現在に受け継がれた「胴切り」を披露してくださったのですが、その前に、上方落語の特徴である、見台とはり扇を使った芸として、「東の旅 発端」を聞かせてくださいました。噺家の入門の時に、口さばきの練習としてこの「東の旅 発端」を習うのだそうですが、高座や放送ではめったに演じられることがないものです。私も初めて聞きました。

(ちなみに、私の講座の学生の一人が、笑福亭福笑師匠のお嬢さんなのですが、彼女の記憶によれば福笑師匠はこの「東の旅 発端」のたたき技は習っていないそうです)

上方落語のお勉強と実演が両方楽しめる、大変充実した講座でありました。

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コメント

先生、初めてコメントさせていただきます。
確か、「東の旅 発端」は習っているのですが、あのバタンバタンという小拍子とはり扇のたたき技を習っていないのだと記憶しております。この話はテンポが良くて好きです。
「胴切り」、拝聴しに伺えばよかったと残念です。もう長いこと聴いておりません。中川先生のお話も、大変興味深いです。私はそのような歴史が全く分かりませんので、いつか御授業に出席できれば、と思います。
SKinsui's Blogは、毎日楽しみに拝見しております。今日は自分がでてきてびっくりいたしました。 少し前の話ですが、私も覚えたての頃に、お腹が減って母親に「らはがきたやま」とふざけて言ったことがございます。


投稿: たかしま | 2006年2月26日 (日) 00時36分

たかしまさま、コメントありがとうございます。不正確な引用で申し訳ございませんでした。本文の方を小修正しておきました(あとからご覧になったかた、本文とたかしまさんのコメントが少しずれているのはそのせいです)。

投稿: SKinsui | 2006年2月26日 (日) 09時11分

わざわざ直していただいたなんて、すみません、恐れ入ります。

投稿: | 2006年2月26日 (日) 22時32分

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