耐えうる
今日の「ちちんぷいぷい」という情報バラエティ番組(MBSテレビ)で、兵庫県三田市にあるレンゴー(株)という段ボール箱のトップシェアを誇る会社の工場長が、段ボール箱の強度について説明する談話の中で、
「車一台載ってもたえうります」
と言っていました。これは、「耐え得る」という下二段活用の表現を、ラ行五段活用風に活用させた表現と考えられます。規範的には、単に「耐えます」と言えばいいし、敢えて「得る」を用いるなら「耐え得ます」でしょう。
この地方であれば、命令表現で「見れ」「見り」等の形式が用いられることがあるかと思いますが、二段活用の連体形を四段活用化する例は始めて出会いました。
もう一つおもしろかったのは、発話で規範からの逸脱があっても、字幕では訂正されるということがあるのに、この場面では字幕にはっきり「たえうります」と出ていたことです。字幕に起こした人がよく分かっていなかったのかもしれません。あるいは、逆によく分かってしまったのか。
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コメント
>たえうります
私の会社の後輩は「ありえます」を「ありうります」と言います。ちなみに彼の出身地は愛知県ですが、他の愛知県出身者が同じようにいってるのを聞いたことがないので、ただの覚え違いの疑いが強いですね。
けっこう小説を読んでいるとのことですが、読書量と言葉遣いの正確さは比例しないこともあるようです。
投稿: matsumu_2005 | 2006年2月 2日 (木) 22時59分
さっそくのご報告ありがとうございます。方言的な現象なのか、その方個人のくせなのか、知りたいところです。
「うる」「えます」のような二段活用自体が、現代語としては滅びかけているので、四段活用化することは自然な方向です。しかし「ありうらない」のような未然形が現れるかどうか、報告をまちたいですね。
投稿: Skinsui | 2006年2月 2日 (木) 23時22分