折り紙
たまたまチケットを譲ってもらって、「第3回 浪花花形歌舞伎」の昼の部を見てきました。演目は、「伊勢音頭恋寝刃(こいのねたば)」です。ずっと以前、東京で一度見た覚えがあります(演者は忘れた)。若手中心の舞台で、印象はまあまあですが、坂東薪車の料理人喜助がいい男ぶりだったのと、上村吉弥の仲居万野の意地悪ぶりが光ってました。
さて、この「伊勢音頭」もそうですし、見なかったけど第2部の「於染久松色読売(おそめひさまつうきなのよみうり)」もそうなのですが、歌舞伎にはたびたび、「重宝である名刀とその折り紙の紛失・探索」というストーリーを含むものが、とても多いです。折り紙というのはつまり鑑定書ですね。近世に実際そういう事件があったのかどうか、よく知りませんが、これはおそらく「権力の継承」の象徴的な表現なのでしょうね。
それで、そういう真剣な探偵のお仕事と、色恋沙汰が歌舞伎の中ではしばごっちゃに進行していくわけで、現代人の目から見るとひどい公私混同、奇妙な物語に見えてしまいます。演劇的に見ると、刀や折り紙の探索は脇筋というか、物語を形成する外枠にしか過ぎず、本当におもしろいのは色恋沙汰の人間模様なんですけどね。
(劇を見終わったあと、同じ企画で来られていた、関西在住の女流作家T. K. さんと、歌舞伎研究者T. A. 先生に紹介してもらいました。T. K. さんはテレビのコメンテーターとしても活躍している人です)
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