アリマス型ピジン
衣畑智秀氏(京都大学大学院文学研究科・研究員)がご教示くださった、ピジン日本語の例を2つ掲示しておきます。ともに、外国人が使用するアリマス型ピジンに属します。
一つは、1866年(慶応2)5月発行 Japan Punch からの例で、"An incident at the French School"というタイトルが付いています。フランス人の教官と思われる人物が、
フタツ、フタツ、ヨッツ アリマス ワカリマス?
(2×2は4,分かりますか)
と聞くと、ちょんまげを結った日本人の生徒が
Nous ne wakarimasans pas
と答えています。これは、フランス語の中に日本語「分かりません」を混ぜ込んだピジンで、先生も生徒もともにピジンでやりとりしているところに滑稽味があります。ただし、生徒の答えの方は「(私は)分かりません」と言いたいのなら、文頭の代名詞は nous ではなく、je とあるべきでしょう。これも、作者はわざと誤らせたのでしょうか?
二つめは、1877年(明治10)9月22日付けの『団々珍聞(まるまるちんぶん)』で、私利私欲のために亡国的な貿易を続ける商人たちを批判するポンチ絵の中に、ピジンが書き込まれています。外国人商人が、
日本生糸茶みなみな為になる好物(よいもの)あります 目方ありませぬ 私の物皆々玩弄物(おもちや)目方重いあります 娘に遣るありましても 私ドロ沢山(たいさん)もつて帰ります 誠宜しい
と話している部分です。「たいさん」「~よろしい」等の横浜ピジンに特徴的な語彙が用いられています。
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