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2006年7月22日 (土)

「蝶々夫人」の続編

4180411101_20060512100907 兵庫県立芸術文化センターに、「蝶々夫人」を見に行きました。前回のゲルギエフに続いて、3回目です。(兵庫県立芸術文化センターの「蝶々夫人」のページはここ。リンク切れご容赦)

プロデュースと指揮は、芸文センターの芸術監督である佐渡裕氏、オーケストラも芸文センターの専属オケであるPACオーケストラです。出演者は、特に華のある歌手はいませんでしたが、それなりに力量があり、演奏も熱がこもっていて、充分楽しめました。装置は簡素なりに工夫がありました。

芸文センターでは、目玉公演として力を入れており、異例の8回公演を打っています。西宮北口駅周辺にも「ある晴れた日に」と書かれたのぼりを角ごとに掲げて、街をあげてのお祭り騒ぎです。

このオペラ、通してみたのは初めてでした。西洋人の目から見たジャポニズム、オリエンタリズムがぷんぷん匂い、ちょっと辟易するところもありますが、まあましな方だろうと思います(オペラ「ミカド」なんかもっとひどいらしい)。音楽が、甘ったるくて通俗的ではありますが、よく書けているので、盛り上がります。

物語は、明治時代の長崎が舞台。武士の娘であった蝶々さんは、アメリカ海軍の将校ピンカートンの現地妻として囲われますが、自分ではピンカートンに愛された正式な妻だと信じ込んでいます。ピンカートンが長崎を去って三年目、蝶々さんと小間使いのスズキ、そしてピンカートンが去った後に生まれた息子のもとに、ピンカートンを載せた船は戻ってきました。しかし彼は、アメリカでめとった本妻を伴っていました。ピンカートンは、彼を信じて待ち続けていた蝶々さんの純真さを知って、恥ずかしさのあまり会うことができません。真相を知った蝶々さんは、息子をピンカートンの妻に託し、自分は短剣を喉に突き立てて自害します。

つまり、蝶々さんはあまりにお馬鹿さんなのですね。西洋人に買われたいわゆる「らしゃめん」さんは、西洋人の旦那が帰っていくと、さっさと別の旦那を探すものなのです(オペラにも、蝶々さんに言い寄るヤマドリという侯爵が登場します)。つまり、西洋人から見て、「あり得ない純粋な心を持った娼婦」が、東洋なら存在しそうだという、オリエンタリズム丸出しのストーリーなのです。でも、子別れのシーンとか、やっぱり洋の東西を問わず涙を誘う要素はしっかり描き込んであるので、それなりに満腹してしまうのでありました。

オペラを見ながら、この物語はぜひ続編が書かれるべきだ、と思いました。つまり蝶々さんの息子の物語です。

継母に連れられてアメリカに帰る船路で、船が海賊に襲われ、乗員は全員殺されるのですが、息子だけは実は海賊のアジトに連れ去られます。息子は海賊の頭領に育てられ、18歳で船長を任されるほどに成長します。彼は、日本語の「蝶々」ということばを頭の片隅に覚えていて、腕に蝶々の入れ墨を施しています。海域を通る船員たちから、「パピヨン」と呼ばれて恐れられる海賊になっているのですね(なぜかフランス語)。パピヨン退治に、各国の海軍が乗り出し、東郷平八郎もバルチック艦隊も参戦して海の冒険大活劇が繰り広げられます。そしてアメリカが送り出した船団と対決し、船長同士の一騎打ちとなりますが、そのアメリカの提督がなんとピンカートンだったのです(!)。パピヨンを見たピンカートンは、彼が息子であることを確信しますが、果たして対決の結末は……?

ね、ラストが知りたいでしょ?だれか映画権買ってくれないかな。

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