すべて適切でない
2月18日付、毎日新聞の見出しです。
病気腎移植:すべて適切でない 宇和島徳洲会病院調査委
この文には、二つの解釈があり得ます。
- (万波医師らの病気腎移植は)すべて不適切であった。
- (万波医師らの病気腎移植は)すべてが適切であったというわけではなく、不適切な手術もあった。
これらの解釈の違いは、数量詞「すべて」と否定辞「ない」の作用域の広狭関係によります。
- [すべて [適切でない]]
- [ [ すべて 適切で] ない]
つまり、1では「すべて」の作用域が「ない」の作用域より広く、2では逆になります。これは、次のように表せます。
- すべて > ない
- すべて < ない
論理的には、1は狭く、2は広く、1のケースは2に含まれます。1例でも適切な手術があれば1は偽となりますが、2は真となります。
問題は、報道の言葉として、このような曖昧な表現を使うべきではないということです。私は、記事を読んでも、1、2のどちらを意図しているか、よく分かりませんでした。
皆さんは、どちらの解釈が意図されていると思いますか。
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コメント
他の報道によると、「11例の手術全てが不適切であった」ということのようです。
投稿: SKinsui | 2007年2月19日 (月) 16時15分