風邪の歌を聞け
柳風子さまのブログを拝見していて、
風邪薬のコマーシャルはともかく、
風邪を歌った歌、というのは、案外、ないのでしょうか。
「心が風邪を引いたようで」という歌は、
比喩としての風邪ですし。
…と書きましたが、
あくまでタイトルの問題として、です。
内容に風邪を歌った歌など、たくさんあるような気もしてきました。
とあるのを読み、一つ思い出したことがありました。globe の DEPARTURES という歌に、次のような歌詞があります。
前髪が伸びたね 同じくらいになった
左利きも慣れたし 風邪も治った
随分流行った歌ですが、この歌詞を見て、「何と詩的緊張感のない言葉の羅列だ!」と憤りを覚えたことを記憶しています。作詞はもちろん、小室哲哉です。(全歌詞はこちら)
さて、uta-net の歌詞全文検索で「風邪」を読み込んだ流行歌を検索したところ、174曲ありましたが、ポップス・ロック・フォーク系と演歌系で扱いが異なるようです。前者では、概ね比喩的に用いられているのに対し、後者では、パートナーや家族に「風邪を引くな」などと気遣う、情愛の表現として使われる傾向があると見えました。
前者の例:
※ナポレオンが 風邪をひいた夏
そっと 唇に キスしてごらん
※治(なお)っちゃうから
(ナポレオンのくしゃみ
歌:少女隊
作詞:秋元康
作曲:後藤次利)始発を待つ駅のホーム
雨が吹きこむよ
クシャミひとつ カッコつけ過ぎて
風邪をひきそうさ
(辛口
歌:陣内孝則
作詞:松本隆
作曲:織田哲郎)Sea side blues風邪でもひきたいね
Sea side blues フラレタ記念にさ
Sea side blues 今夜の この俺は
(センチメンタルに首ったけ
歌:TUBE
作詞:三浦徳子
作曲:鈴木キサブロー)
後者の例です。
今日はお前の 花嫁姿
贈る言葉は ないけれど
風邪をひかずに 達者で暮せ
(娘よ
歌:芦屋雁之助
作詞:鳥井実
作曲:松浦考之)馴れぬ暮らしの 冷たい部屋で
風邪などひかずに ねえあなた
(ふたりの絆
歌:川中美幸
作詞:鳥井実
作曲:聖川湧)
さらなる詳しい分析は時間の都合で断念いたしますが、それにしても小室の歌詞のだらしなさは目を覆うものがありますね。
| 固定リンク
« パッチギ! | トップページ | 日本文学 二重の顔 »
コメント
ご教示ありがとうございました。
お陰で風邪も吹き飛びました。
引用された、小室哲哉の「前髪」に、ちょっと関心を抱きました。
投稿: 柳風子 | 2007年5月19日 (土) 21時27分
柳風子さま、いらっしゃいませ。ありがとうございます。
この項目のタイトルを考えていて、柳風子さまの「風邪の歌」にヒントを得、「風邪の歌を聞け」を思いついた時、「やった」と思いました。私としては、それだけで満足しております。安い満足ですが……
投稿: SKinsui | 2007年5月19日 (土) 23時58分
>>左利きも慣れたし 風邪も治った
>この歌詞を見て、「何と詩的緊張感のない言葉の羅列だ!」と憤りを覚えたことを記憶しています。
サビの部分に惹かれてCD買いました。当時この部分を聴いてひどく違和感を持ったことを覚えています。ずいぶん練れていない歌詞だなぁ、と。せめて「心の傷も癒えたし」ぐらいなことは書けんのか、と。それでも陳腐ではありますが。きっと想を練る時間がなかったんでしょう。
投稿: Do | 2007年5月20日 (日) 21時37分
Do さま、ありがとうございます。
最近のJpop系の曲は、どうも詞がだらしなくて、なじめないのですが、それはもう私(我々?)の感覚が古いせいなのかもしれません。小室の詞も、そういう意味では時代の先端を行っており、若い人には、リアリティがあっていいのかも、という気がします。
投稿: SKinsui | 2007年5月20日 (日) 21時52分