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2007年10月 6日 (土)

モスラの精神史

31921523モスラの精神史
小野俊太郎 (2007.7.20)
講談社現代新書
ISBN978-4-06-287901-9

帯コピー:

なぜ蛾の姿なのか?
あの歌の意味はなにか?
ゴジラとどこが違うのか?

多くの謎が、いま解き明かされる!

内容:

プロローグ―モスラの飛んだ日
第一章……三人の原作者たち
第二章……モスラはなぜ蛾なのか
第三章……主人公はいったい誰か
第四章……インファント島と南方幻想
第五章……モスラ神話と安保条約
第六章……見世物にされた小美人と悪徳興行師
第七章……『モスラ』とインドネシア
第八章……小河内ダムから出現したわけ
第九章……国会議事堂か、東京タワーか
第十章……同盟国を襲うモスラ
第十一章…平和主義と大阪万博
第十二章…後継者としての王蟲
エピローグ…「もうひとつの主題歌」

「モスラ」(1961、東宝)は、私が劇場で見たことを記憶している、最も古い映画です(当時5歳)。大変大きなショックを受けて、未だにいくつかのシーンが脳裏に焼き付いています。特に、今でも東京タワーを見るたび、巨大な繭がかかってへし折れたタワーの姿を幻視してしまうのです。

この本は、そんな私にとって、出会うべくして出会った惠みの書でありました。膨大な資料を縦横に駆使し、映画の成り立ちを当時の社会情勢の中にくっきりと浮かび上がらせています。思いもしなかった知識もありますし、何となく気にかかっていたことがはっきりと示され、胸の空く思いがした部分もあります。例えば、東京のミニチュアの見事さに比べて、ラストのロリシカ国ニュー・カーク・シティー(アメリカのニューヨークが重ね合わされている)のミニチュアが妙に出来が悪く、ずっと残念に思っていたのですが、これは一旦撮られたラストシーンが共同制作のコロンビア映画のクレームにより廃棄され、急遽撮り直されたことによるものだったのです。

文化的、社会的、政治的視点をバランスよく配した、良質なサブカルチャー分析で、この種の仕事のなかではお手本となるべき書のように思われました。映画「モスラ」をもう一度見直したくなりました。

D0030942

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コメント

いまだにチョココロネを見るとモスラの幼虫を思い出すほど、「モスラ」から深甚なる影響をこうむった身としましては、見逃すことのできない本ですね!是非読んで見たいと思います。
 
ところで「モスラ」の≪小杉義男伝説≫というのをご存知でしょうか(ご存知でしたら、お許しください)。第一作「モスラ」の中で、インファント島近海で遭難する第二玄洋丸の船長を演じたのが小杉義男ですが(黒澤の「姿三四郎」や「七人の侍」で有名な鬼瓦みたいな顔をした役者)、その彼が、次作の「モスラ対ゴジラ」ではいきなりインファント島の酋長として登場します。ただ単に、ほかにふさわしい役者がいなかったという東宝の家庭事情かと思いきや、一部怪獣おたくの間では、遭難した船長がインファント島に流れ着き、そのまま居ついて酋長にまで上り詰めたという解釈が定説となっているようです。ばかばかしいと思われる向きもあるかもしれませんが、なんと「モスラ」で救助された第二玄洋丸の乗組員の中に、小杉船長の姿だけがないという証拠も挙がっているそうです・・・。

投稿: マストルナ | 2007年10月 8日 (月) 18時00分

マストルナさま、ありがとうございます。
「小杉義男伝説」知りませんでした!『モスラの精神史』にも記載がありません。
ぜひDVDを入手して、確認しようと思います。

投稿: SKinsui | 2007年10月 8日 (月) 18時12分

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