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2008年10月 4日 (土)

十七条憲法

一個前の投稿で、和語・漢語の話題を取り上げたので、連想でもう一題。

漢字文化圏ではどこでも固有の数詞の他に字音読みの数詞が用いられます。日本では、固有の数詞(和語)の「ひ、ふ、み……」に対し、字音(漢語)の「いち、に、さん……」が存在します。ところが字音の数詞の中に、四について「シ」の代わりに「ヨン」が、七について「シチ」の代わりに「ナナ」が用いられることが多くなっています。「ヨン」「ナナ」とも、日本語固有の数詞(和数詞)です。

四(ヨン)は、「死」に通じることから「シ」の音が忌避されて、代わりに和語が採用されたものでしょう。Wikipedia 「四の字」の項が、やたらと詳しくてびっくりしました。七(なな)は、音の近い「四(シ)」「一(イチ)」と聞き紛れることを避けるためでしょう。

この「ヨン」と「ナナ」、時代が下るほど、使用率が増えている気がします。これも、和語と漢語の感覚が鈍くなってきたせいではないかと疑っています。

例えば、数字を一から数え上げるときは、

いち、に、さん、、ご、ろく、しち、はち、……

と字音が用いられることが多いのに、逆に数え下げる(カウントダウン)時は、なぜか

じゅう、きゅう、はち、なな、ろく、ご、よん、さん、……

と、和語の方が用いられることがずっと多くなるのです(私の発見ではなく、かなり以前にテレビから得た知識です)。これは、数え上げることは昔からあるけれど、数え下げるという行動は、最近になって増えてきたせいではないか、という仮説を私は持っています。まだ実証には至っていませんが。

なお、「四十七士の討ち入り」のような歴史的概念の場合は、「しじゅうしちし」と字音で読まれてきています(ヨンジュウナナシはまだ聞いたことがない)。先日見たクイズ娯楽番組(新ヘキサゴン)で、聖徳太子の「十七条憲法」を、

じゅうななじょうのけんぽう

と読んでいたので、いささか違和感を覚えました。私には、「じゅうしちじょう(の)けんぽう」の方がはるかにしっくりきます。まあ、今時のテレビ番組に「読みのふさわしさ」を求めてもむなしいだけではありますが。

皆さんは、「十七条憲法」をどう読みますか。

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コメント

私は小学校で「じゅうななじょう憲法」と習い、
その後もずっとそう言っています
むしろ「じゅうしちじょう」の方が違和感を持ってしまいます
世代差なんかがあるのでしょうか…?

投稿: IT | 2008年10月 5日 (日) 13時45分

ITさま、ありがとうございます。

たぶん、だんだん「じゅうななじょう」派が増えてくるはずで、世代差があっても不思議ではないと思います。

投稿: SKinsui | 2008年10月 5日 (日) 14時55分

京都のバスでのアナウンスに「次は東山七条(ひがしやまななじょう)」というのを聞いた記憶があります。観光客が多いので、「いちじょう」と混同されるのを避けるためかとその時は思いましたが。

投稿: 忘却散人 | 2008年10月 5日 (日) 15時40分

忘却散人さま、ありがとうございます。

>ひがしやまななじょう

それもなかなか、気持ち悪いですね

投稿: SKinsui | 2008年10月 5日 (日) 16時10分

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