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2009年8月23日 (日)

無呼吸レポート

ここここで「睡眠時無呼吸症候群」のことに触れたら、案外反響が大きかったので、少し詳しく書きます。

6月に、近くの内科医で自覚症状を訴えたら、「睡眠時無呼吸症候群」ではないかと言われ、さっそく検査用の機器を借りて着けて寝たわけです。

自覚症状としては、「起きてから夜寝るまで、一日中眠い」ということなのですが、細かく言うと、次のような事例になります。

  1. 大きないびきをかく。そのいびきがときどき止まる。これはもちろん、自覚症状というよりは、家族の観察によります。
  2. 車を運転している時、がくっと眠くなって、一瞬意識を失う。午前中からそうなる。とても危険で、ひやひやします。
  3. 会議中、すぐにまぶたが重くなって、寝てしまう。“会議が退屈”ということはもちろんあるのですが、自分が招集した会議でもそうなるので困ります。
  4. 授業中も寝る。これは、自分がしている授業で、学生の発表を聞いていると寝てしまいます。これはずっと前からそうだったのですが(学生ごめん)、眠くなり方が格段にひどくなりました。
  5. 家に帰るとくたくた。風呂に入ると、すぐに意識を失って風呂桶の中で寝てしまう。家族に“おぼれているのではないか”と疑われる。
  6. 夜、10時くらいから、堪えきれないほどの眠気に襲われて、倒れ込むように寝てしまう。それまでは、夜、12時ごろまで原稿書きなどの仕事をしていたので、夜仕事にならないと、とても困ります。

こういう症状が、一年以上続いていたかもしれません。

検査というのは、携帯ラジオくらいの小さな装置から出ているチューブを鼻に装着し、また電極のコードを左手の人差し指の先に固定して、一晩寝るのです。チューブは鼻の呼吸を調べます。電極は、酸素の血中濃度を調べます。血中濃度は95~97パーセントが正常ですが、無呼吸があると80%台に落ち込むそうです。

病院によっては、検査入院をさせるところもあるようですが、装置が小型化されたので、私のように家庭でも調べられるようになったのです。

検査後、機器を業者に返し、解析結果を医者に聞きに行きました。“デブの病気”という通念があり、私もそう思っていたので、中年太りしたとはいえ、ぽっちゃり型とは言えない自分がまさかという思いでした。検査を受けたときも半信半疑でした。その夜も、家族によればいびきが出ていなかったので、結果は出てないのではないかと思っていました。

ところが、お医者さんは、私が入るなり「典型的な無呼吸です」と告げました。一晩に139回無呼吸低呼吸が起こっており、無呼吸低呼吸時間は最小で10秒、最大で123秒でした。酸素の血中濃度は、90~95%が就眠時間の30.4%を占め、85~90%濃度も就眠時間の3.6%ありました。

治療方針としては、毎晩、器具をつけて寝るということしかないということでしたので、そうしました。機器は業者からのリースになり、医者を通して治療行為と見なされるので、保険によって費用が一部まかなわれ、月額4,750円の支払いとなります。機器は、呼吸の記録を取る機能もあるので、毎月、記録用の磁気カードを提出、交換し、前回の解析結果を聞くというサイクルになります。

かなりたいそうな器具を顔面に固定しますので(娘には「ダースベイダーみたい」と言われました)、慣れるまではやはり違和感があります。夜中に、半ば無意識に外してしまうこともあります。しかし、効果はてきめんです。昼間、少しは眠くなりますが、上に書いた1~6までの症状はほとんどすべてなくなりました。

鼻に着けるマスクは、柔らかいシリコンのパッキングで顔面にぴったり設置しますが、この部分がうまくくっつかなかったり、かぶれたりする人もいるようです。私の場合は、不快感以外は特に問題はありませんでした。顔面に接触させず、パイプを鼻の穴の入り口に装着するタイプの器具もあるそうで、そちらを試してみたいのですが、人気が高く、品薄だそうです。

機器の本題は、昔に比べるとずいぶん小型になったそうです。家庭用テレビゲーム機より少し小さい程度で、キャリングケースも付いていて、旅行に持って出ることができます。それでも出張時の荷物が結構重くなりますし、合宿や団体旅行などでは、同室の方にご迷惑をかけることもあるかもしれません。そういう意味では、生活にも若干の影響があるかもしれません。それでも、翌日の生活の質を考えると、機器は持って出ざるを得ないでしょう。

もう一つの問題として、気圧が高すぎるせいか、空気が胃にたまるという現象が、かなりの頻度で起こります。目が覚めると、胃が異様に張った感じになっていて、起きると大きな“げっぷ”が出ます。胃から腸に回ってしまった空気は、(尾籠な話で恐縮ですが)おならとなって日中排出されるようです。しかしこのことは、不快なだけで、健康を害するようなものではないと思います。

“無呼吸”そのものの原因はよく分かりません。太ったために症状が出る人は、痩せると改善するといいますが、上に書いたように私はもともとどちらかというとやせ形なので、そのような効果は期待できません。朝起きたとき、鼻が詰まっている自覚があることがあるので、鼻の構造として横になると閉鎖しやすい形状になっているのかもしれません。

ブログを見た人や、話を聞いた人が、自分や自分の家族もそうだ、あるいは疑いがもたれている、とおっしゃるのをしょっちゅう聞くようになりました。ある学生さんのお父さんは、検査の結果「重度の無呼吸」と言われ、このままだとほどなく死んでしまうとも言われたそうです。知らない間に、国民病になりつつある気配です。

これから冬に向かって、一晩中強制的に鼻に空気を通すと、乾燥しすぎないかという危惧があります。部屋の加湿など施す必要があるかもしれません。また、季節が変わったら報告します。

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