えらいこと
桂米朝師匠が文化勲章を授与されたことを伝える朝日新聞の記事で、米朝師匠の談話として、
えらいこってんやろな
という見出しが出ていました。米朝師匠らしい、大阪弁の談話として見出しに取り入れられたのだろうと思いますが、しかしこれは大阪弁としては誤りだと思います。正しくは、
えらいこってんねやろな
だと思います。このフレーズ、丁寧に言うと、
えらいことですねんやろな
となり、これを共通語に翻訳しますと、
(きっと、世間的には)大変なことなのでしょうね
になります。「自分としては、それほど実感がないのだが」という師匠の戸惑いにもにた感情が表されています。
もとの見出しに抜けていた「ね」は「ねん」すなわち「のだ」にあたる形態素で、この文にとっては必須です。たとえ一音節でも、一瞬にして聞き取って解析できる、これが「母語」の能力というものなのでしょう。
ちなみに、
もう宿題だしてんやろな
(もう宿題をだしたのだろうね)
のように動詞につながる場合は、「てんやろ」という接続は可能です。最初の師匠の談話の中の「てん」は共通語「です」に当たるもの、上の動詞につながる「てん」は「~たのだ」に当たるもので、語源がことなるわけです。
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