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2016年1月

2016年1月 2日 (土)

2015年のふりかえりと2016年の展望

皆様、明けましておめでとうござる(さる年だけに)。

年男となりました。いやな響きですが、「還暦」です。本厄でもあります(息子も本厄で、家族ダブル厄。携帯電話の割引みたい)。
 公私ともに慌ただしい年となりそうですが、健康に留意しつつ、乗り切りたいと思います。日本の政治・外交も正念場にさしかかりますが、微力ながらよい方向に向かうよう、行動したいと思います。
さて、昨年1年のふりかえりと今年1年の展望を、「研究」「教育」「社会貢献」「大学運営」「プライベート」に分け、まとめて見ました。長文ですが、斜め読みしていただければ幸いです。
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2015年のふりかえりと2016年の展望

○研究(役割語・キャラクター研究)

[ふりかえり]

 2015年2月に大阪大学会館で「役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ」を開催しました。現在、その報告論集を編集中です。

 2015年11月、日本語文法学会パネルセッション「キャラと文法」で発表しました。その成果を反映した論文が Acta Linguistica Asiatica に公開されました。

 3月で4年間の科研費が終了し、新たな基盤研究(B)を申請しましたが、残念ながら落ちました。現在、平成28年度から3年間の挑戦的萌芽研究を申請中です。

 また、月1回ペースで「役割語研究会」を実施しました。

・主たる論文その他執筆

金水 敏 (2015) 「役割語とその翻訳について」定延利之(編)『私たちの日本語研究:問題のありかと研究のあり方』pp. 128-132、朝倉書店.

金水 敏 (2015) 「役割語」※項目執筆、齋藤純男・田口喜久・西村義樹(編)『明解言語学辞典』p. 224、三省堂.

Kinsui, Satoshi and Hiroko Yamakido (2015) “Role Language and Character Language,” Acta Linguistica Asiatica 5-2: 29-41, Ljubljana: Ljubljana University Press, Faculty of Arts, Online ISSN: 2232-3317.

・主たる口頭発表・講演

金水 敏 (2015/2/11)「役割語研究とは何であったか」同志社ことばの会2014年度年次大会、同志社ことばの会、同志社大学今出川キャンパス寒梅館6F 大会議室

金水 敏 (2015/2/17) 「キャラクター言語から役割語へ」、役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ、主催:科学研究費「役割語の総合的研究」研究代表者:金水敏 課題番号 23320087、共催:大阪大学大学院文学研究科、大阪大学会館講堂.

金水 敏 (2015/3/21)「「のらくろ」について」マンガ・アニメで日本研究、国際日本文化研究センター.

菅さやか, 松井智子, 金水敏 (2015/3/21)「音声の抑揚が役割語理解に及ぼす影響の発達的比較」日本発達心理学会第26回大会, 日本発達心理学会、東京大学本郷キャンパス.

金水 敏 (2015/7/4)「役割語にも文法化は存在するか/Is there any grammaticalization in role language?」国立国語研究所国際シンポジウム :「文法化:日本語研究と類型論的研究」NINJAL International Symposium: Grammaticalization In Japanese and Across Languages, 国立国語研究所.

金水 敏 (2015/9/26)「マンガと役割語研究」第 7 回国際学術会議「コミコロジー: 理論と実践を絡み合わせる新《研究》」, 京都精華大学国際マンガ研究センター、京都国際マンガミュージアム.

金水 敏 (2015/11/15)「「役割語」からみた日本語とキャラ」、パネルセッション「日本語とキャラ」、日本語文法学会第16回大会、学習院女子大学.

[展望]

 「役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ」報告書を1月中を目指してオンライン刊行します。

 引き続き、月1回ペースで役割語研究会を実施します。

 単著『キャラクター言語論(仮称)』(大阪大学出版会)の刊行を目指します。

 『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』英訳、韓国語訳のプロジェクトを推進します。

○研究(文法・文献学)

[ふりかえり]

 国立国語研究所・基幹型プロジェクト「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」の最終年度を迎え、3月に報告論文集を刊行、年3回の研究発表会を実施しました。また、2015年9月には国立国語研究所共同研究プロジェクト「日本列島と周辺諸言語の類型論的・比較歴史的研究」と「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」との共催イベントとして、国際ワークショップ : 「比較的観点から見た係り結び」が開催されました。

 疑問文プロジェクトからの展開として、名詞句・コピュラ文の統語論・意味論に興味を持ち、口頭発表や論文執筆を行いました。

 また、関西言語学会その他で機会を得て、指示詞研究を少し再開しました。

 文献学としては、山田昇平氏・中野直樹氏と共著で岩屋寺蔵『高僧伝』についての報告を書きました。
[展望]

 「疑問文」プロジェクトの最終報告論文集を2月に刊行の予定です。

 名詞句・コピュラ文、指示詞の研究は機会を捉えてさらに続行する予定です。

 文献学としては、山田昇平氏、中野直樹氏との共著で、岩屋寺蔵『高僧伝』の刊行をめざします。

・主たる論文その他執筆

金水 敏 (2015)「日本語の疑問文の歴史素描」『国語研プロジェクトレビュー』5-3: 108-121, 国立国語研究所.

金水 敏 (2015) 「文献と言語変種:文献に残されたことばの多様性が意味するところ」高田博行・渋谷勝己・家入葉子(編著)『歴史社会言語学入門』pp. 43-52, 大修館書店.

金水 敏 (2015) 「古代日本語の主格・対格の語順について」江頭浩樹・北原久嗣・中沢和夫・野村忠央・大石正幸・西前明・鈴木泉子(編)『より良き代案を絶えず求めて』pp. 37-45, 開拓社.

金水 敏・山田昇平・中野直樹 (2015) 「日本語史資料として見た岩屋寺蔵『高僧伝』について」『国際シンポジウム報告書2014東アジア仏教写本研究』pp. 143-156, 国際仏教学大学院大学・日本古写経研究所・文科省戦略プロジェクト実行委員会.

金水 敏 (2015)「「変項名詞句」の意味解釈について」『日中言語研究と日本語教育』8: 1-11, 日中言語研究と日本語教育研究会・好文出版.

・主たる口頭発表・講演

志波彩子・金水 敏 (2015/3/7)「古典語・現代語資料の場合:コーパスからデータへ」JLVC2015(国立国語研究所 時空間変異研究系 合同研究発表会)「データの整備と活用」, 国立国語研究所時空間変異研究系、国立国語研究所.

金水 敏 (2015/3/15)「歴史から見た現代共通語の疑問標識分布」国立国語研究所プロジェクト「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」研究会、国立国語研究所プロジェクト「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」、国立国語研究所.

金水 敏 (2015/3/16)「知っているようで知らない「指示詞」」大阪YWCA日本語教師養成講座45周年・日本語教師会25周年記念事業.

金水 敏 (2015/6/14)「指示詞の記述に関する一試案」関西言語学会 第40回大会特別研究発表(B会場), 関西言語学会, 神戸大学国際文化研究科 K-401教室.

金水 敏 (2015/11/18)「直示とは何か:日本語を例に、その体系と歴史について」第34回応用言語学講座公開講演会, 名古屋大学国際言語文化研究科応用言語学講座, 名古屋大学東山キャンパス文系総合館7階624室カンファレンスホール.

金水 敏 (2015/11/30) 「コピュラ文のいろいろ」愛知県立大学・外国語学部「言語研究入門」愛知県立大学外国語学部.

金水 敏・山田昇平 (2015/12/19)「上代・中古の「や」について」国立国語研究所プロジェクト「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」研究会国立国語研究所プロジェクト「日本語疑問文の通時的・対照言語学的研究」、国立国語研究所.

○教育

[ふりかえり]

 今年度担当した授業は下記の通りです。

・大阪大学

専門基礎「国語学」(全学共通教育)

「国語学演習:キャラクターについて」(文学部)

「国語史演習:日本語疑問文」(文学研究科)

「キャラクターとは何か」「片言中国人キャラクターの発生」(共通教育・リレー講義で担当)

「国語学演習」(文学研究科・修論・博論演習)

・関西学院大学文学部(非常勤)

春学期、秋学期にそれぞれ学部1コマ、院1コマを担当。

[展望]

 来年度は、10年以上勤めた関西学院大学から引くこととなりました。美しいキャンパスで教えることは毎週金曜日の楽しみでした。

○社会貢献

[ふりかえり]

 2015年4月より、日本言語学会編集委員長を拝命しました。3年間の任期をいただいています。2015年9月号を刊行しました(ただし刊行が遅れて12月になってしまいましたが)。

 日本語学会の副会長・理事は2015年3月で任期が終了しました。現在引き続き評議員を務めています。

 2015年12月13日(日)に、毎年恒例の「マンガカフェ」を「ラボカフェ」の一環として実施しました(アートエリアB1: 京阪電車なにわ橋駅コンコース地下1階)。

 各種社会人講座、一般向け講演、出前授業、放送番組出演等を行いました。

(主な社会人講座・講演先)

OSAKAN CAFÉ 第5回「近松っぁんの大阪弁」、京都国際文化協会、ダイヤモンド経営者倶楽部、リーガロイヤルホテル、朝日カルチャーセンター新宿教室、Handai-Asahi 中之島塾、三重県高等学校国語教育研究会

(出前授業出講先)

大阪府立天王寺高等学校、兵庫県立篠山鳳鳴高校、夢ナビライブ2015 in 名古屋、大阪府立北野高等学校

(放送番組出演)

秘密のケンミンSHOW、午後のマリアージュ(NHK ラジオ第1放送)、久米宏 ラジオなんですけど(TBSラジオ)

[展望]

 すでに Handai-Asahi 中之島塾、大阪YWCAでの講演などが決まっています。時間がきゅうくつになってきますが、できるだけ合間を見つけて社会貢献事業に努めていきたいと思います。

○大学運営

[ふりかえり]

 文学研究科の副研究科長の2年目となりました。2016年3月で任期終了となります。

 大学の予算を使って教員の著書の英訳をする「文系部局の国際情報発信プロジェクト」のとりまとめをし、5冊の採用を得ました(うち1冊は拙著『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』)。

 大阪大学出版会の編集担当理事を務め、多くの図書の刊行に関わりました。

 大学の総長選挙に関わりました。

[展望]

 2015年12月の教授会で行われた選挙により、2016年4月からの文学研究科長兼文学部長に就任することとなりました。ますますの予算減、文系学部軽視の逆風が吹き荒れる中、微力ながら、文学研究科・文学部と大阪大学の維持・発展の一翼を担えればと思います。3月には名古屋大学文学部と合同で公開イベント「文学部の逆襲2(仮題)」を実施します。

○プライベート

[ふりかえり]

・家族:娘は結婚足かけ3年目となり、仲よく共働きで暮らしているようです。息子は就職2年目、いろいろつらいこともあるようですが、何とか続いています。父は入院3年目となり、足が動きづらく難渋していますが、時々は家に帰ったり、外出して家族と食事を取ったりしています。母は自宅で一人暮らしをしていますが、心臓が悪く、近所の病院の通院にも私がつき合うようにしています。転んで歯を折るなど、なかなか目が離せません。

・健康:急激な変化は幸いありませんでした。去年の人間ドックで尿酸値が上昇していましたが、服薬のおかげか、正常値に戻りました。

 しかし今年は、一年中、足のトラブルが絶えませんでした。春先には足の裏が硬くなり、皮膚が割れて血がにじんだりして歩きにくくなりました。夏には右足が肉離れになり、2,3日満足に歩けませんでした。最近は膝が痛くて、階段を下りる時にがくっとなったりします。座り仕事が多すぎて足が弱っているのでしょう。

・趣味:高校の後輩に誘われて、演奏会に出ることになり、フルートを再開しました。楽器をオーバーホールに出しました。なかなか思うように演奏できませんが、楽しんでいます。

 妻に引きずり込まれて宝塚歌劇を観劇するようになりました。「新源氏物語」(花組)「舞音(マノン)」(月組)その他を鑑賞しました。

 文楽公演にできるだけ行くように心がけました。2015年初春文楽公演「冥途の飛脚」、4月文楽公演「一谷嫩軍記」、夏休み文楽特別講演「正写朝顔話」、錦秋文楽公演「玉藻前曦袂等を鑑賞しました。

 天満天神繁昌亭の「天神寄席」、「笑福亭福笑独演会」を中心に、上方落語の席も鑑賞することができました。

 仲野徹先生、久坂部羊先生、高島幸次先生、江弘毅さん、大竹文雄先生、山村若静紀師、釈徹宗先生、西靖さんらのご厚誼を得て(マタンゴの会)頻繁に公演や宴席に同席させていただきました。出張のため、天神祭の奉拝船に乗船できなかったのは残念でした。

[展望]

・家族:校務が厳しくなるため、なかなか家族のために時間をさくことがむずかしくなるのが最大の問題です。なんとか、家族で助け合い、また介護制度など活用して乗り切りたいと思います。

・健康:食生活、服薬、運動に留意して、何とか健康を維持したいと思います。

・趣味:10月に「ブンランデンブルグ協奏曲第4番」の本番があります。何とかよい状態に持っていって、乗り切りたいと思います。

 宝塚歌劇はすでに3つほど見に行くことが決まっています。文楽も落語会もマタンゴの会も積極的に参加する所存です。

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