書籍・雑誌

2010年3月13日 (土)

ロボット演劇

私のエッセーを含む下記図書が出版されました。とても綺麗な写真満載の、ビジュアルムックです。平田オリザさんのシナリオ、平田さんと石黒浩さんの対談、エッセーなど多彩な内容を含んでいます。

Isbn97848725935941

大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(編)(2010)『ロボット演劇』大阪大学出版会

私のエッセーを途中まで(けち!)貼り付けます。全部お読みになりたいかた、ぜひ本書をご購入ください(けち!)

「ええ、まぁ」の言語学―タケオと桃子は二つの"フェイス"の夢を見るか―

金水 敏

 私は「働く私」を見ていて、ロボットが口にした「ええ、まぁ……」という台詞を聞いた時、衝撃を受け、背筋に戦慄が走った。

*祐治、CDをセットしてスイッチを押す。
  「ロボコップ」のテーマが流れる。
郁恵  えぇ?
祐治  どう?
・・・
祐治  (ロボットBに)どう?
ロボB はぁ、
祐治  これ、元気でんじゃない?
ロボB えぇ、まぁ、
       (心なしか、リズムに合わせて、身体をかすかに回しはじめる)

 祐治は、働く気力を失ったロボットA(タケオ)を鼓舞しようとして「ロボコップ」のテーマを聞かせることを、ロボットB(桃子)に提案してみるのだが、ロボットBはその行為の有効性に確信が持てず、その上で、否定的反応によって祐治を傷つけることをおもんぱかり、その結果あえて発した返答がこの「ええ、まぁ」だったのである(この場所以外に、ロボットBは「まぁ、どうでしょう?」「はい・・・まぁ」というせりふを話し、いずれも、似たニュアンスで用いられている)。
 なぜ、私はこのせりふに衝撃を受けたのだろうか。それは、「ええ、まぁ」が、私にとって最も"ロボットらしくない"せりふであるように感じられたからであり、そしてそのことこそが平田さん(平田オリザ氏は私の勤務先の同僚なので、こう呼ばせていただきます)がこのロボット演劇に仕掛けた"わな"なのだろうと感じとった。
 私たちが想像するロボットの会話と言えば、だいたい次のようなものである(平板な、機械的音声を思い浮かべてください)。

  「はい、分かりました」
  「今お持ちします。しばらくお待ちください」
  「計算できません」
  「その単語は、私の知識にありません」

 すなわち、必要最小限の内容を直接的に伝える、よく言えば"効率的"な、悪く言えば"無味乾燥"な受け答えである。むろん、本当にロボットと会話した人はほとんどいなかったはずで、これはSF映画などに登場する、架空のステレオタイプなロボットのせりふである。こうしたSF作品の制作者は、どうせロボットには"人間的"なやりとりなど高度すぎて出来ない(と観客が思う)だろうと見積もった上で、むしろその愚直さ、たどたどしさを楽しむ"トリックスター"的なキャラクターとしてロボットを利用するのが通例であった。いわば、はやりの言葉で言えば、いささかKY(空気読めない)な道化師的存在としてロボットは扱われてきた。そのようなロボットに対する思い込みを、平田さんは冒頭から外しにかかった。そのことを最も象徴的に表したせりふが「ええ、まぁ」だったのである。
 ここで、問題の核心に迫るために、ロボットの会話と「ええ、まぁ」の機能について、語用論 (pragmatics) という一種の意味論の立場から考えてみたい。意味論学者のグライス(H. P. Grice)は、すべての会話の参加者は次のような協調の原理(cooperative principle)に従わなければならないと仮定した(Grice 1975)。

(以下略)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月10日 (日)

イトイ効果?

久々に、Amazon.co.jp で拙著『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』のセールス順位を見てみたら、総合で20,499位、「本 > 人文・思想 > 言語学 > 日本語・国語学 > 語彙・熟語」のカテゴリーでは14位、「本 > 語学・辞事典・年鑑 > 日本語学習 > 日本語研究」のカテゴリーでは180位でした。これは、近頃ない健闘です。

だいたい、総合で5桁って、なかなか行かないんですよね。普通は6桁止まりです。

ついでに、『役割語研究の地平』の方も見てみたら、総合で30,495位です。ある意味、こっちの方がすごいとも言えます。なんせ、専門家向けの論文集ですから。

ちなみに、私の博士論文『日本語存在表現の歴史』を見てみると、総合385,674位です。これが普通ってもんです。

これも、「ほぼ日刊イトイ新聞」で取りあげていただいた効果でしょうか?それとも、全国の学生がレポートを書くために買ってくれてるのかな?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年1月19日 (土)

そうかもしれない

先日、NHK BSで映画「そうかもしれない」を見ました。

この映画も、原作者の耕治人も知らなかったのですが、淡々としてしかし叙情的な映像にいつしか引き込まれました。桂春團治と雪村いづみの演技がすばらしかったです。

ほとんど救いのない映画ですが、現実に私の身の回りで起こっていることと重ね合わされて、身にしみました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 6日 (土)

モスラの精神史

31921523モスラの精神史
小野俊太郎 (2007.7.20)
講談社現代新書
ISBN978-4-06-287901-9

帯コピー:

なぜ蛾の姿なのか?
あの歌の意味はなにか?
ゴジラとどこが違うのか?

多くの謎が、いま解き明かされる!

内容:

プロローグ―モスラの飛んだ日
第一章……三人の原作者たち
第二章……モスラはなぜ蛾なのか
第三章……主人公はいったい誰か
第四章……インファント島と南方幻想
第五章……モスラ神話と安保条約
第六章……見世物にされた小美人と悪徳興行師
第七章……『モスラ』とインドネシア
第八章……小河内ダムから出現したわけ
第九章……国会議事堂か、東京タワーか
第十章……同盟国を襲うモスラ
第十一章…平和主義と大阪万博
第十二章…後継者としての王蟲
エピローグ…「もうひとつの主題歌」

「モスラ」(1961、東宝)は、私が劇場で見たことを記憶している、最も古い映画です(当時5歳)。大変大きなショックを受けて、未だにいくつかのシーンが脳裏に焼き付いています。特に、今でも東京タワーを見るたび、巨大な繭がかかってへし折れたタワーの姿を幻視してしまうのです。

この本は、そんな私にとって、出会うべくして出会った惠みの書でありました。膨大な資料を縦横に駆使し、映画の成り立ちを当時の社会情勢の中にくっきりと浮かび上がらせています。思いもしなかった知識もありますし、何となく気にかかっていたことがはっきりと示され、胸の空く思いがした部分もあります。例えば、東京のミニチュアの見事さに比べて、ラストのロリシカ国ニュー・カーク・シティー(アメリカのニューヨークが重ね合わされている)のミニチュアが妙に出来が悪く、ずっと残念に思っていたのですが、これは一旦撮られたラストシーンが共同制作のコロンビア映画のクレームにより廃棄され、急遽撮り直されたことによるものだったのです。

文化的、社会的、政治的視点をバランスよく配した、良質なサブカルチャー分析で、この種の仕事のなかではお手本となるべき書のように思われました。映画「モスラ」をもう一度見直したくなりました。

D0030942

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年5月22日 (火)

春の雪

仕事をしながら、期待せずにBSフジでやっていた「春の雪」(監督:行定勲、出演:妻夫木聡、竹内結子)を見ました。

原作は読んでいません。三島由紀夫が、食わず嫌いなもので。

案外、良かったです。丁寧に作ってあったと思います。

許されざる恋という設定に、少し胸がうずきました。少年時代、そういうシチュエーションにちょっとだけ憧れていました。

見ていて思いましたが、清顕(妻夫木聡)の役どころは、

ツンデレ男

ですね……

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月20日 (日)

日本文学 二重の顔

Isbn9784872592351 日本文学 二重の顔
〈成る〉ことの詩学へ

荒木浩 著
(大阪大学大学院文学研究科教授)

大阪大学出版会
四六判・並製・350頁 
定価2,100円(税込) 本体2,000円
ISBN978-4-87259-235-1[2007]

同僚のA先生、柳風子こと荒木浩氏の、上記の著作が、第2594回「日本図書館協会選定図書」に選ばれました。

「日本図書館協会選定図書」とは、日本図書館協会より任命された各専門分野の選定委員約 50 名が、現物一冊一冊に必ず目を通し、公共図書館に適している本として選択するもので、年間 6 万点以上の新刊本のなかから平均 16 パーセントの書籍が選定図書に選ばれているとのことです。

慶賀の至りです。これを機に、一人でも多くの方がこの本を手に取られることを祈念します。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年5月13日 (日)

こんなに面白い日本文学

31828689_1  『こんなにも面白い日本の古典』
角川ソフィア文庫 SP347
著者/訳者名 山口博/〔著〕
出版社名 角川学芸出版 (ISBN:978-4-04-406901-8)
発行年月 2007年02月
サイズ 251P 15cm
価格  700円(税込)

名前を知っていても、だれもちゃんと読んだことのない日本の古典を、現代的な問題に引き付けながら魅力たっぷりに紹介しています。目次をご紹介します。

プロローグ――伏字にくらんだ少年
万葉集      生活のアンソロジー
竹取物語     ガンダーラの秘宝
宇津保物語   王朝アラビアンナイト
大和物語     老人介護地獄
源氏物語     姦通そして老人ホーム
枕草子      虚構の家
池亭記      平安土地白書
栄花物語     王朝ホスピス
今昔物語集   女の魔性
小倉百人一首  和歌は世につれ
撰集抄      アンドロイド閣僚
宇治拾遺物語  知恵者の恋
能         戦いは悪業
奥の細道     覗機関奥之細道
好色一代男   雪江戸郭夜話
懐硯        帰ってきた夫
浮世風呂     教育ママにゆとりのパパ
エピローグ――華氏四五一度

なかなか魅力的なタイトルだと思いませんか。筆者の筆力はなかなかのもので、どんどん引き込まれました。古典に縁遠い人も「一度読んでみたい」と思うかも知れないし、知ってる人でも、あらためて作品の魅力に気付かせられることでしょう。すぐ読めるから、ぜひどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年3月24日 (土)

宜保愛子

下記の本を読みました。

Book_07 『と学会レポート ギボギボ90分!』
著者:永瀬唯・植木不等式・志水一夫・本郷ゆき緒・皆神龍太郎(楽工社 06/11)
四六判(188㎜×130㎜)ソフトカバー。208ページ。本文1色刷。
ISBN4-903063-06-2 C0095
定価(本体1600円+税)
(楽工社サイト)

表題はふざけた感じですが、かつて人気霊能者としてテレビや出版物でもてはやされた宜保愛子氏(故人)の、霊視番組のからくりをまじめに綿密に検証した本です。今日の「あるある」騒ぎへの批判にも通じるところが大いにあります。

私がポイントだと思ったところは、宜保愛子氏はホット・リーディング(事前調査)やコールド・リーディング(錯覚を利用したその場での情報の引き出し)に秀でており、とくに非常に高い調査能力を持っていた、というところです。英語も、人に教えるほど堪能だったようで、その能力を十二分に生かしていたようです。しかも、見た目に「こんなおばちゃんが、こんなことを知っているはずがない」という回りの人間の偏見(とくに学界関係者の)があるために、意外な情報を宜保氏が口にすると、余計にうろたえて錯覚してしまうということでした。この辺り、ジェンダー・バイアスもかかっているのですね。

あと、テレビ局の番組の作り方も大変雑であり、そこに宜保氏のつけいる隙があったということも書かれていました。

主たる著者である永瀬氏の発言として、我々研究者・教育者にとっても大変有益であると思われるところがありましたので、引用しておきます。

永瀬 私は専門学校の講師をしているんですが、いつも学生に教えるんですよ。インターネットを使う時に、これはまず「情報の入り口」だと考えることだって。インターネットで何か調べたいときにはいきなり google で検索ワードを引っ張るのではなく、近くの図書館の蔵書を検索してみなさい。次は都立の中央図書館とか日比谷図書館などを検索して、今度は国立図書館の方から取り寄せてもらいなさい。最初にそういうことを教えています。そして図書館で見つけた資料を押さえた上で、補足的なものとしてインターネットのデータは使いなさいと。
 このあいだ、学生に「コカコーラの歴史」という文章を書かせるという課題を出しました。検索をかけると、新宿区立中央図書館に、テーマに関したかなり分厚い翻訳の本が二冊は確実にある。都立中央図書館あたりに行くともっと多くて、経営史とかそのあたりがある。まずこれを読んでみなさいと。その後に念のため google でチェックしてみたら、コカコーラとコカの実のあやしい関係なんかのかなり詳しいページがありますが、ちゃんと末尾の方にクレジットが載っていました。その、さっき図書館にあると言った本から、全部引用しているんです。(176頁)

テレビの、科学やスピリチュアルに関わる番組作りに疑問を持っている人、また逆にそういう番組が好きな人にも、おすすめできます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年2月12日 (月)

『ベルばら』WS in マンガミュージアム

こちらに、記事を書きましたのでご覧下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年1月 7日 (日)

くらしにきのこを

kuzan氏に教えていただきました。ぜひ入手したいと思います。

Img317b3439zik5zj_1 ●『きのこ第6号』Dr.マダラーノフ編・日本キノコ協会刊・B5判・72頁・840円

http://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/diary/200701050002/

| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧