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2006年7月22日 (土)

「ぼく」から「おれ」へ

布施英利『マンガを解剖する』ちくま新書(2004.11, ISBN4-480-06206-8)から、気になった部分を引用しておきます。

 そもそも、はじめに「子供の世界」などという絶対的なものがあって、それを描くのではない。子供だって「創られた」世界に染まるのだ。ぼくの息子が、四歳のとき、自分のことを「オレ」と言うようになった。我が家では「ぼく」と言うように躾けていたのだが、家庭の教育に対する反抗か、親への挑戦か。だが、そもそも、どうして「オレ」などというボキャブラリーを覚えたのか。誰か友だちで、自分のことをオレという子供がいて、その影響なのか。

 息子に問いただすと、ひとこと「ジャイアン!」という。どうやら『ドラえもん』のジャイアンに憧れて、その真似をしているらしい。息子はまだ文字が読めない年齢だからマンガではなくアニメのほうの『ドラえもん』の影響だ。ジャイアンという理想のモデルがあって、それに近づこうとする。このモデルを作ったのは、子供ではなく、マンガ家、つまり大人である。(160頁)

拙著第四章3「ペルソナ(仮面)としての役割語」(127頁)に関わる内容であると思います。この例以外にも、幼児から少年に成長する過程で「ぼく」から「おれ」に一人称を切り替える話は時々耳にします。私はずっと「ぼく」のままでしたが。

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