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2006年8月14日 (月)

女性のことば

以下の論文を得たので、記録しておきます。

谷部弘子 (2006) 「「女性のことば・職場編」に見る終助詞「わ」の行方」『日本語教育』130号, pp. 60-69, 日本語教育学会.

ご結論の部分を引用しておきます。

 以上、「女性のことば・職場編」という限られた資料の中で、終助詞「わ」の使用状況について見てきた。「わ」の使用率は全体として高くはなく、わずか91例を見たにすぎないが、相対的な傾向として以下の3点を見いだせた。
  (1) デス・マス体に接続する「わ」は皆無であり、「くつろいだ場面」で、同年齢層あるいは下の年齢層の日頃接触量の多い親しい関係にある空いてに対する発話に多くあらわれる。
  (2) 若年層の女性による「わ」の使用は40代、50代の女性に比べ、「ね」や「よ」を伴わない単独の形、引き延ばし音調を伴った形で現れることが多い。
  (3) 若年層女性において、恋愛感情にまつわる話題などある解く手の場面に「わ」が現れやすい。
 終助詞「わ」は、たしかに「衰退に向かっている」一方で、世代別の使用の傾向からみて、今後単純に消滅に向かうとはいえないようである。とくに若年層女性は規範的に女性が使うべき表現として「わ」を用いているというより、情意的な側面の伝達手段の一つとしてより積極的に選択使用しているのではないだろうか。
 日本語のことばの男女差を規範的に示すのも若年層では男女差がなくなったと固定的にとらえるのも実態に即していない。日本語教育においては、安易に使用につなげるのではなく、学習者自らがふさわしい表現形式を選択できるようにさまざまなバリエーションの提示を心がけることが必要であろう。そのためには、今後さらにデータ数を増やし、言語使用の実相をさまざまな手法によって多面的に観察し、音声面の特性も含めて記述することが重要であると考える。(pp. 67-68)

詳しい分析が必要ですが、若年層の女性が「積極的に選択使用している」というのは、定延さんのいう発話キャラクターの繰り出しということかもしれません。

なお、本論文に引かれた文献のなかで、未見のものを抜き書きしておきます。

尾崎喜光 (1997) 「第2章 女性専用の文末形式の今」『女性のことば・職場編』ひつじ書房、 pp. 33-58.
現代日本語研究会(編) (1997) 『女性のことば・職場編』ひつじ書房.
現代日本語研究会(編) (2002) 『男性のことば・職場編』ひつじ書房.

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