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2007年2月12日 (月)

日本語の「口調」

役割語に大変近いところにある研究論文が出ました。

郡 史郎 (2006) 「日本語の「口調」にはどんな種類があるか」『音声研究』10-3:52-68
Kori, Shiro (2006) "What are the major speech styles in Japanese?" Journal of the Phonetic Society of Japan, 10-3:52-68.

キーワード:口調、発話スタイル、イントネーション、音調規定余韻、パラ言語、非言語情報

1. 音調を規定する要因と、そこから見たイントネーション研究の課題
2. 日本語の「口調」
2.1 日本語の発話スタイルについての従来の研究
2.2 研究方法
3. 「口調」を含む表現の収集と整理
4. 「口調」の分類
5. 主要な口調の抽出
5.1 方法
5.2 結果
  5.2.1 GoogleとYahoo! 検索による同時期の検索結果
  5.2.2 Google による約一年前の検索結果との比較
  5.2.3 16の「主要な」口調
6. 「主要な口調」の構造
6.1 分類
6.2 「主要な口調」の音声表現としての類似性イメージとグループ分け
7. 特定場面に定まった話し方の型を表す口調表現
8. まとめ

第8節「まとめ」の部分を引用しておきます。

 冒頭で、音調規定要因という観点から見た広い意味でのイントネーション研究の現代的課題として、現在得られている知見を実際の話しことばで確認する作業、談話標識や間投詞、あいさつなど話しことば特有の形式の研究、話し手と聞き手の社会的・心理的関係についての研究、そして場面限定的な発話スタイルの研究の必要性について述べた。
 次いで、発話スタイル一般の研究の試みとして、日本語にはどのような発話スタイルがあるか、そして代表的なものは何かを、インターネットのウェブページの「口調」の用例検索を通じて探った。
 基礎資料の分析に基づいて、インターネット上で一定以上の使用度数があると思われた396種の口調表現を選び、その内容を分類したところ、「話し手の心理的状態、身体的状態、社会的属性」と「話し手と聞き手の社会的・心理的関係」を表すものが多く、これに次ぐのが「特定場面に定まった型」であった。
 この396の表現の検索件数を検討したところ、安定的に高頻度で出現する表現として16の「主要な」口調表現が取り出された。それらは短期的・臨時的な対人態度か話し手の心理状態を表すものがほとんどであるが、上位のものは前者であり、対人態度が音声コミュニケーションのありかたを大きく左右することが示唆された。
 さらに、「主要な口調」どうしのイメージ上の類似度を多次元尺度法を用いて検討したところ、それらは大きく3つのグループに分かれると見ることができた。しかし、そこまでの単純化は現時点では差し控え、この結果と上述の理論的分類を考え合わせることで、「主要な口調」を6節末に示した12の口調群にまとめてみた。
 今後はこの12の主要な口調群ごとに、それぞれの音調的特徴を探ることにしたい。また、場面限定的な話し方の型として得られた「重々しい口調」「宝塚口調」「講義口調」など15口調についても、音調的特徴を探る予定である。

12の口調群というのは、次のようなものです。

「命令口調」「厳しい・きつい・強い口調」「怒り・激しい口調」「断定口調」「説明口調」「冷静な口調」「静かな・落ち着いた口調」「丁寧な口調」「優しい口調」「穏やかな口調」「淡々とした口調」「軽い口調」

また、場面限定的な発話スタイルとして取り出された15種の口調とは、次のようなものです。

「重々しい口調」「宝塚口調」「講義口調」「アナウンサー口調」「歌舞伎口調」「狂言口調」「電話口調」「ナレーター口調」「読み口調」「厳粛な口調」「バスガイド口調」「ロック口調」「ニュースキャスター口調」「エレベーターガールのような口調」「車内放送口調」

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