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2007年2月12日 (月)

話者の性格印象

下記の文献に、「性格特性5因子モデル」というものが紹介されていて、興味を引かれました。

内田照久 (2006) 「未知のイントネーションから想起される話者の性格印象と方言地域の特徴」『音声研究』10-3:29-42
Uchida, Teruhisa (2006) "The effect of unfamiliar intonation in speech sounds on the images of personality impressions and dialectal regions," Journal of the Phonetic Society of Japan, 10-3:29-42

キーワード:韻律的特徴、発話速度、イントネーション、F0パターン、性格特性5因子モデル、Big Five, PICOLA, STRAIGHT

2.2節から引用します。

2.2 性格印象を測定するフレームワークとしての性格特性5因子モデル
 話者の人柄の印象といった情報を対象とする場合、対象となる概念が多面的で抽象性が高いため、その測定には困難を伴う。この問題に対して、1990年代以降、パーソナリティ心理学の領域で飛躍的な発展を遂げてきた。性格特性5因子モデル (Five Factor Model of Personality, FFM) に基づくフレームワークが有効であることがわかってきた(内田 2000, 内田 2002, Uchida 2002)。
 性格特性5因子モデルとは、人の性格を幅広い観点から捉えた場合、評価の次元として5つの特性が見いだされるとするものである。 (Goldberg, L. R. 1990, 辻・藤島・辻・夏野・向山・山田・森田・秦 1997)。 その性格特性は、外向性 (Extroversion, E)、情緒不安定性 (Neuroticism, N)、経験への開放性 (Openness to experience, O)、勤勉性 (Conscientiousness, C)、協調性 (Agreeableness, A) などと呼ばれ、 Big Five と総称される(柏木 1999)。このBig Five を測定する尺度項目の具体例を表1に示す。これは、和田 (1996) が作成した Big Five 尺度を基に、内田 (2002) が聴覚実験用に改訂した短縮版である。
 性格特性5因子モデルは、本来、人間の内面への探求を意図して研究がなされてきた。しかしその後、そこから見出された Big Five は、他者への評価も含み込んだ広い意味での対人認知の次元であると考えられるようになってきた。それを受けて、内田 (2002) は、音声から想起される話者の性格印象について、Big Five 尺度を用いた評定実験を行った。その結果、話者の印象は Big Five に対応した5つの観点ごとに独立に評価されることが見出され、性格印象の評価軸としての有効性が明らかになってきた。 (p. 31)

表1 Big Five Scale 短縮版の評価項目
性格特性 評定項目(各4項目)
外向性:E 話し好き、無口な†、陽気な、外向的
情緒不安定性:N 悩みがち、不安になりやすい、心配性、気苦労の多い
経験への開放性:O 独創的な、進歩的、洞察力のある、想像力に富んだ
勤勉性:C いい加減な†、ルーズな†、怠惰な†、計画性のある
協調性:A 穏和な、寛大な、親切な、協力的な
†逆転項目

関連する引用文献を抄出しておきます。

柏木繁男 (1999) 「性格特性5因子論 (FFM) による東大式エゴグラム (TEG) の評価」『心理学研究』69:6, 468-477.
辻平治郎・藤島 寛・辻 斉・夏野良司・向山康代・山田尚子・森田義宏・秦 一士 (1997) 「パーソナリティの特性論と5因子モデル:特性の概念、構造、および測定」『心理学評論』40, 239-259.
内田照久 (2000) 「音声の発話速度の制御がピッチ感および話者の性格印象に与える影響」『日本音響学会誌』56:6, 396-405.
内田照久 (2002) 「音声の発話速度が話者の性格印象に与える影響」『心理学研究』73:2, 131-139.
Uchida, T. (2002) "Effects of the speech rate on speakers' personality-trait impressions." In A. Alippi (ed.) Preceedings of the 17th International Congress on Acoustics. Vol. VIII. Music, Psychoacoustics, Speech. Roma: ICA Srl.
和田さゆり (1996) 「性格特性語を用いた Big Five 尺度の作成」『心理学研究』67:1, 61-67.

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