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2007年2月12日 (月)

『ベルばら』WS in マンガミュージアム

07158743 『ベルサイユのばら』に関するワークショップが、京都国際マンガミュージアムで行われたので、行ってきました。

えむえむ連続講座 第1期 第3回

テーマ「『ベルばら』ブームとは何だったのか ―1970年代・女性・革命」

講師:藤本由香里 氏×伊藤公雄 氏×川村邦光 氏

1972年から連載された池田理代子の少女マンガ「ベルサイユのばら」は、社会現象とまで呼ばれるほどの人気を博した。この「ベルばら」ブームには、1970年代という時代背景も大きく影響しているだろう。1970年代は、少女マンガが黄金期を迎えたと言われ、少女文化が発展した。また、社会的にも、「政治の季節」の終息や消費社会化など、現代につながる時代の転換点であったと言われている。

こと女性に関する状況については、ウーマン・リブなどの新しい女性運動の出現、専業主婦化のピーク、出生率の低下の始まりなど、注目すべき変化があった。 このような時代に、なぜ「ベルサイユのばら」が広く支持されたのだろうか。ジェンダー論の視点を取り入れながら、当時の少女マンガの流れと社会的背景に注目することで、解明を試みる。

開催日 2007年2月11日(日) 午後2時~4時
会場(研究室1)の開場時間は13時30分
会 場 京都国際マンガミュージアム 3階 研究室1
参加費 無料
マンガミュージアムに入館いただくためには、別途料金が必要です。
ミュージアム入場料:大人300円,中高生200円

定 員 当日 先着50名様

主催:京都国際マンガミュージアム、大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」

第1部 講演「『ベルばら』の時代」
出演:藤本由香里 氏
第2部 パネルディスカッション
出演:藤本由香里 氏・伊藤公雄 氏・川村邦光 氏
総合司会:東園子 氏

藤本由香里(ふじもと ゆかり)
1959年熊本生まれ。東京大学教養学科卒。筑摩書房で編集者として働くかたわら、コミック・女性・セクシュアリティなどを中心に評論活動を行う。明治学院大学・法政大学兼任講師でもある。著書に少女マンガ論『私の居場所はどこにあるの?』(河出書房新社)、マンガ家へのインタビュー&コラム集『少女マンガ魂』(白泉社)、編集担当本に『竹宮惠子のマンガ教室』(筑摩書房)などがある。

伊藤公雄(いとう きみお)
1951年生まれ。京都大学教授。専門は社会学。『<男らしさ>のゆくえ-男性文化の文化社会学』(新曜社、1993年)『男性学入門』(作品社、1996年)などジェンダーに関する著作多数。またポピュラーカルチャー研究の確立にも力を入れている。

川村邦光(かわむら くにみつ)
1950年生まれ。大阪大学教授。専門は宗教学、民俗学。大正時代の婦人雑誌を分析した『オトメの身体』(紀伊国屋書店、1994年)ほか「オトメ3部作」など、女性文化に関する研究でも知られる。

国際マンガミュージアムは初めてだったので、楽しみでした。場所は、地下鉄烏丸御池からすぐの小学校を改造したもので、なかなか雰囲気があります。連休で、「ガンダム展」をやっていたこともあり、大変な人出でごったがえしていました。あらゆる壁面が書架になっていて、マンガの単行本がぎっしりつまっており、300円の入場料を払って入った客が思い思いに好きなマンガを棚から取って廊下や階段に座り込んで読みふけっていました。ちょっと、異様な風景です。

ワークショップは、藤本由香里さんの同時代的な思い入れたっぷりの、しかし冷静な視線を失わないご講演が非常に面白かったです。また、編集者独特の目線で、コミックス版、文庫版の丁付けが雑誌版と異なっていたという事実をご披露して下さり、目からウロコの思いがしました。雑誌連載時は、当然作家は丁付けを意識して、見開きが美しく見えるように作画しているわけですが、コミックス版に収録する際、編集者が追い込みにしていったため、丁付けが狂ってしまったそうです。文庫版も、コミックス版を踏襲していますが、完全版において初めて雑誌連載時の状態に復元されたそうです。実例を見せてもらいましたが、確かにまったく印象が異なりました。

伊藤先生、川村先生のコメント、ディスカッションも加わり、政治、雑誌編集の実態と当時の社会的状況、作家性の問題、ジェンダー・イデオロギーなど、多彩な視点から『ベルばら』とそれを取り巻く状況について語られ、大変有意義なワークショップでした。少女マンガについてはどうしても知識が不足しているので、ありがたかったです。会場(教室を改造したもの)がやや狭く、熱気はむんむんでしたが、少し窮屈だったのが残念でした。

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