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2007年4月28日 (土)

12人の優しい日本人

Pibd1003 日高水穂・伊藤美樹子 (2007) 「スピーチレベルシフトの表現効果―シナリオ「12人の優しい日本人」を題材に―」『秋田大学教育文化学部研究紀要』人文・社会科学第62集, pp. 1-12.

結論部分を引用します。

5. おわりに
 以上で見てきたように、「12人の優しい日本人」の登場人物は、それぞれのキャラクター設定に応じたスピーチレベルを選択し、ストーリー展開に応じてスピーチレベルを巧みに切り換えている。この作品で設定された場面は、丁寧体が基調となって現れることが期待される公的な話し合いの場面であることから、特に普通体への切り換えにおいて、特殊な表現効果が生じる事例が多く見られた。そこで見られた表現効果は、丁寧体と普通体という文末の述語形式の丁寧さだけでなく、自称詞、対称詞、上品な語とぞんざいな語の選択など、位相語全般の選択とも深く関わっている。そうしたスピーチレベルを決定するさまざまな言語形式を巧みに組み合わせることで、登場人物のキャラクターが、演出されるのである。
 このようなキャラクターを特徴づける言葉づかいは、金水 (2000, 2003) の提唱する「役割語」としての機能を持つものといえる。「役割語」とは、「ある特定の言葉づかい(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像(年齢、性別、職業、階層、時代、容姿・風貌、性格等)を思い浮かべることができるとき、あるいはある特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使用しそうな言葉づかいを思い浮かべることができるとき、その言葉づかいを「役割語」と呼ぶ」(金水 2003)と定義づけられるものである。本稿では、映画のシナリオという「虚構」の世界の登場人物の発話を分析することにより、スピーチレベルシフトという談話レベルの現象に、「役割語」的な機能を持つ表現が現れるkとを見た。(p. 11)

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