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2007年10月30日 (火)

訓読語と博士語

発表者ご本人よりいただきました。

高山倫明(2007)

「訓読語と博士語」

九州大学大学院人文科学研究院(文学部)平成19年度社会連携セミナーⅠ
「言語と文芸―和漢古典の世界―」第2回2007.8.17(於福岡市文学館)

【目次】
1 はじめに
2 漢文の訓読
 2.1 漢文は過去の中国語
 2.2 漢文を日本語として読み下す
 2.3 訓読のための方策―ヲコト点から仮名へ―
  2.3.1 ヲコト点
  2.3.2 仮名
 2.4 『論語』訓読の歴史
3 漢文訓読に特有の語法
4 『源氏物語』少女巻の博士
5 役割語

以下に、要旨を引用させていただきます。

 固有の文字を持っていなかった日本語にとって、論語をはじめとする先進文化を伝える漢文の《翻訳》は、《書き言葉》という新たな日本語を創造する営みでもあった。片仮名や句読点といった文字・記号の多くが漢文訓読の世界で生まれ、また、型にはまった逐語訳が訓法として固定化するにつれ、話し言葉にはない、新たな語法がつぎつぎに出現する。
 たとえば、キハム・ハタス・アフ・イタルという動詞からキハメテ・ハタシテ・アヘテ・イタッテといった副詞が新たに派生するのは、「極」「果」「敢」「至」の漢字の意味用法の媒介があってのことであるし、もともとホッス・ネガフ・オモフ・ムトスとのように文脈に応じて読み分けられていた「欲」の字の訓法がホッスに一本化されると、べつに日暮を待ち望んでいなくとも「日暮れむとほっす」と言うようになる。本来は場所を示す意味しかなかったトコロという語も、所謂・所望・所有のような、行為の対象を漠然と示す「所」字の用法にあわせて「~であるところの」「~するところの」といった抽象的な意味用法を獲得した(これが近代に至って西洋語の関係代名詞の翻訳後として定着することになる)。
 ところで、源氏物語・少女巻に、大学の博士たちの言動が皮肉たっぷりに戯画化された箇所がある(本文と訳は小学館日本古典文学大系による)。

「鳴り高し。鳴りやまむ。はなはだ非常(ひざう)なり。座を退(ひ)きて立ちたうびなん」
(騒々しい。静粛になされ。はなはだ無作法である。退席していただこう)

 ちょっと身につまされるものがあるが、それはさておき、彼らの言葉には漢文訓読語が散りばめられている。当時の博士たちはほんとうにこんな話し方を日常的にしていたのだろうか?
 ドラマやアニメ等には普通に現れるけれども、「そうじゃ、わしが博士じゃ」のようなしゃべり方をしたり、「御茶の水博士!」「財前教授!」のように博士や教授を付けて呼び掛けられたりする人は現実には(たぶん)いない。こういった、特定の人物像をステレオタイプ化する言葉は「役割語」と総称され、博士らしさを演出するものは「博士語」と呼ばれている。
 この講座では、近年盛んになってきた役割語研究の観点も交えながら、漢文訓読語の来歴や位相を一緒に考えてみたいと思う。

文字資料から見る在日韓国・朝鮮人の言語変種

Mさまにご教授いただきました。

 文 春琴(2007)
 「文字資料から見る在日韓国・朝鮮人の言語変種」
 姫路獨協大学外国語学部『姫路獨協大学外国語学部紀要』第20号、pp.165-185

【目次】
1. はじめに
2. 文字資料の分析方法と対象範囲
3. 日本文学に見る言語変種
 3.1. 植民地下の朝鮮における言語生活
 3.2. 植民地下の日本における言語生活
  3.2.1. 壺井繁治の『十五円五〇銭』
  3.2.2. 江口渙の『車内の出来事』
  3.3.3. 桂米団治の『代書』
 3.3. 小田 実の「オモニ太平記」
4. 在日文学にみる言語変種
 4.1. 金鶴永の『錯迷』
 4.2. 元秀一の『猪飼野物語』
 4.3. クレオールとしての在日言語
5. おわりに

現代の位相研究

Photo 佐藤喜代治(編)(2002)

『国語論究 第9集 現代の位相研究』

明治書院
ISBN 9784625433122

【目次】

・菊沢季生と位相論(佐藤喜代治)
  一 菊沢氏の経歴
  二 『国語研究』
  三 音素論
  四 位相論
  五 代名詞・万葉集の研究
  六 連歌 

・ことば論議にみる位相差の諸相(田中章夫)
  はじめに
  一 国字問題をめぐるキャンペーン
  二 言文一致運動と近代口語文体
  三 標準語普及運動の諸相
  四 ネサヨことばとネハイ運動
  五 外来語排斥運動から英語公用語論へ

・ポナペ語における日本語からの借用語の位相―ミクロネシアでの現地調査から(真田信治)
  一 はじめに
  二 日本語からの借用語
  三 音の代用

・万葉語「朝+~」の考察(佐藤武義)
  一 はじめに
  二 「朝+~」の実態
  三 「朝+~」A群の分析
  四 「朝+~」B群の分析
  五 まとめ

・男性使用の自称「わらは」(染谷裕子)
  一 はじめに
  二 国語辞典の「わらは」
  三 女性の自称「わらは」
  四 お伽草子の「わらは」
  五 男性使用の「わらは」の問題点
  六 まとめ

・お屋敷奉公と江戸町人女性のことばのしつけ(神戸和昭)
  はじめに
  一 江戸戯作中の描写
  二 随筆中の記述
  三 文書・日記類の記述
  おわりに

・『錦嚢万家節用宝』考―合冊という形式的特徴を中心に(佐藤貴裕)
  一 はじめに
  二 『錦襄万家節用宝』概観
  三 合冊四書概観
  四 合冊の利点 
  五 吉文字屋による合冊体節用集の展開 
  六 十九世紀における合冊
  七 おわりに
   
・明治期口語研究の新展開に向けて―標準語と保科孝一、尾崎紅葉、そして「トル・ヨル」(増井典夫)
  一 はじめに
  二 保科孝一の業績について
  三 近代文学作品の校訂、、漢字の字体などの問題について
  四 言文一致体と現代口語体の成立について
  五 尾崎紅葉の文章・用語などの研究課題について
  六 『多情多恨』の会話文と「~トル」
  七 「~ヨル」をめぐって
  八 終わりに

・現代の「枕詞」―「嬉しい初優勝」という表現について(揚妻祐樹)
  一 はじめに
  二 一人称制限(およびその解除)を把握する三つの立場
  三 枕詞的用法が用いられる場面性
  四 まとめ―「語り手」の混同について―

・テレビの単語使用―番組と話者からみた多様性(石井正彦)
  一 目的
  二 データ
  三 方法・準備
  四 番組=話者グループの特徴語
  五 まとめに代えて

・「少しも」と「ちっとも」について(漆谷広樹)
  一 はじめに
  二 近代文学作品における「少しも」と「ちっとも」について
  三 「少しも」と「ちっとも」の語誌
  四 まとめと課題

・日本語方言における意志・推量表現の交渉と分化―『方言文法全国地図』の解釈(彦坂佳宣)
  はじめに
  一 意志・推量表現の分布の分析から
  二 文献による地域語史の視点から
  三 方言文献とGAJとの総合から

・方言の係り結び(大西拓一郎)
  一 はじめに
  二 こそ~已然形
  三 疑問詞~已然形
  四 疑問と連体形
  五 むすび

・上方語の伝播と庄内(遠藤 仁)
  一 はじめに
  二 海上の道と言語の伝播
  三 海上の道による伝播はその根拠を見出せるか
  四 おわりに

・岩手県盛岡市方言における形容詞活用体系(斉藤孝滋)
  一 はじめに
  二 目的・方法
  三 活用体系
  四 形態レベルでの活用形の統合
  五 音現象が形容詞活用体系に及ぼす影響力の検証
  六 まとめ

2007年10月25日 (木)

〈性〉と日本語

著者よりいただきました。

Photo

中村桃子(2007)

『〈性〉と日本語』

NHKブックス
ISBN 9784140910962

【目次】

はじめに  
 日本語ブームの背景
 言語資源という視点
 「女ことば」と「男ことば」に見る創造性
 本書の全体像

Ⅰ 「わたし」はことばでつくられる

第一章 ことばとアイデンティティ 

 1 アイデンティティはどこから来るか
     「女らしい」藤原先生
     不自然な「女ことば」
     本質主義のアイデンティティ
     構造主義のアイデンティティ
     言語資源としての「ことば」
     フィクションの会話と現実の会話
     メディアがつくる言語資源
     「ずれた言語行為」の創造性

 2 非対称的な「女ことば」と「男ことば」
     標準語としての「女/男ことば」
     インフォーマルな「女/男ことば」
     「女/男ことば」が描く人物像の違い
     「女ことば」とはルールである

 3 言語資源が切り開く地平
     繰り返される「ついて語る」言説
     女訓書からエチケット本まで
     「標準語」に隠された男性性
     「標準語」「女/男ことば」を分けるもの
     言語資源が明かす三つの点

第二章 「翻訳」のことばを読む―再生産される言語資源
       『ハリー・ポッター』の中の「女ことば」
       複数の声が聞こえる

 1 翻訳がつくるアイデンティティ
     翻訳小説の中の擬似方言
     「方言」の誕生
     正しい「標準語」・劣った「方言」
     再生産される差別  

 2 新しい「男ことば」の登場―「です・ます」から「ス」へ
     「擬似方言」の消滅
     変わる翻訳の標準語
     「ぼく」から「おれ」へ
     「おれ」は熱血ヒーロー
     貴様と俺
     近すぎる「おれ」と「おまえ」
     『スラムダンク』の新敬語
     上下関係から親疎関係へ   

 3 変わりゆく「親しさ」の表現
     スターの語る「ぼく・きみ・さ」
     「きみ」と「ぼく」がつくる男の絆
     「旧男ことば」はどこへ行く
     区別しつづける言語資源
     「女ことば」は絆と結びつくか    

Ⅱ 日本語に刻まれた〈性〉

第三章 セクシュアリティと日本語

 1 恋愛小説の言語資源
     ハーレクイン・ロマンスの恋愛描写
     日本の恋愛小説に身体描写の少ない理由
     近づくほどに遠ざかる男女のことば

 2 異性愛はことばに宿る
     古代ローマのセクシュアリティ
     なぜ異性愛は規範となったのか
     〈女〉と〈男〉の中間に位置する人びと
     セックスとジェンダー

 3 〈男〉は中心、〈女〉は例外―異性愛から見た言語資源
     「おれ」と「あたし」のエロス
     「女/男ことば」とジェンダーの結びつき
     「ていねいな言葉づかい」という規範
     言葉づかいが左右する自己イメージ
     男のスカート姿はなぜ目立つ?
     男女で異なる規範性
     「おネエことば」の反対は?

第四章 変わりゆく異性愛のことば
      ―「スパムメール」「スポーツ新聞」「恋愛小説」


 1 スパムメールに刻まれた異性愛の構造
     スパムメールの修辞学
     「女=受動的」がもたらす悲劇

 2 男たちの共同体
     向かい合えない男たち
     ホモソーシャルな社会とは
     女性同性愛に対する視点
     「男になる」ことの意味
     異性愛への強迫観念
     スパムメールの中の「おれ」
     恋愛資本主義の台頭
     スポーツ新聞のホモソーシャル・ファンタジー

 3 親しさを希求することばの格闘
     母子関係に還元される恋愛
     あらたな関係としての家族
     血縁を超えた家族の模索
     母親になりたい

Ⅲ 創造する言語行為

第五章 なぜ少女は自分を「ぼく」と呼ぶのか

 1 少女は言葉づかいの規範を破りつづけてきた
     幻想と現実の再生産
     「ぼく」と言い始めた明治の女子大生

 2 新しい〈少女性〉の創造
     男女に押しつけられた成長過程の違い
     異性愛市場の子どもたち
     〈おませ〉か〈おくて〉か
     〈男装〉への憧れ
     さまざまな自称詞の創造

 3 押しつけられる自称詞
     「わたし」と自称することへの抵抗感
     ひそかに埋め込まれる異性愛規範
     二重の抑圧
    
 4 「言葉づかいへの批判」今昔
     なぜ「女ことば」は伝統なのか
     生き延びるために選ばれることば
     「最近の乱れ」説の効用
     なぜ女のことばづかいが気になるのか

 5 少女の「男ことば」に萌える男たち
     「無垢な少女」幻想
     未熟なエロスの商品化

第六章 欲望を創造する―消費社会と〈性〉
 
 1 ファッション誌という共同体
     消費と結びついたアイデンティティ
     雑誌がつくる書き手と読者
     雑誌共同体をつくる三つの手法
     イデオロギーによる支配
     欲望を煽り、達成感を抱かせる

 2 女性誌と男性誌―親しみの相違
     女性誌は平等・男性誌は階層的
     上下関係にもとづくホモソーシャリティ
     ファッションは課題、雑誌はカウンセラー
     ファッションはいかに男性化されたか

 3 新しい男性雑誌共同体
     男性も「着まわし」の時代
     ファッションを「大研究」する
     男性誌は学校、読者は生徒
     モノローグによるコミュニケーション
     異性愛を求める消費社会

終章 「日本語=伝統」観の閉塞を超える
 
 1 日本語という不安
     あるがままに愛でるべき日本語?
     日本語本ブームのメカニズム
     「正しい日本語」の問題点
     「ずれた言語行為」の可能性

 2 日本語をみがくために
     言語イデオロギー
     メタ言説の権力
     「正しい日本語」がつくる分断
     矛盾ゆえに強化される言語イデオロギー
     「男ことばの乱れ」はなぜ意識されないのか

 3 開かれた伝統にむけて
     「専門家」のメタ言説を相対化する
     「乱れ」言説から自由になる
     ことばに対する「常識」に問いを発する

参考文献
あとがき

2007年10月24日 (水)

ページェント、俗曲

京都府 京都文化博物館(2007)
『京都文化博物館研究紀要 朱雀』第19集
ISSN 0916-1716

【目次】抜粋

尾上松之助のページェント公演に関する考察(大矢敦子)pp.39-56
俗曲考―花街五番町の元芸妓よりの聞き取り―(森 雅樹)pp.109-117

「少女」文化研究

Photo 「少女」文化研究会(2007)
『年報「少女」文化研究 「少女」文化の友』 第2号

*特集・女の子二人もの

2007年10月19日 (金)

集団語辞典

Photo 米川明彦編(2000)
『集団語辞典』
東京堂出版
ISBN 449010538X

沖縄ナンクル読本

Photo 下川裕治・篠原 章 編著(2002)
『沖縄ナンクル読本』
講談社文庫
ISBN 4062734699

海外における日本のポップカルチャー受容

伊藤公雄(編集責任者・プロジェクトリーダー) 2004年
『海外における日本のポップカルチャー受容をめぐる研究』
大阪大学21世紀COEプログラム『インターフェイスの人文学』
「イメージとしての<日本>」研究プロジェクト
(ポピュラーカルチャー分野報告書)

【目次】

・はじめに(伊藤公雄)pp.5-6
・越境するポピュラーカルチャー(表智之)pp.7-14

第一部 共同研究報告「海外における日本研究と日本文化受容」

・韓国で研究されている「日本」 pp.17-27
 (韓国班=山中千恵、李康煕、チョン・ヨンア、アン・ジヒョン、パク・ヤンスン、堀江有里)
・台湾におけるジャパナイゼーション pp.29-40
 (台湾班=屋葺素子、江佩容、洪国財、米田幸弘)
・中国における日本研究と日本文化受容状況 pp.41-59
 (中国班=佐倉智美、藤田嘉代子、李婉寧、屋葺素子、井出口彰典、岡本和恵、国枝有実子、柳沼典子)
・アメリカにおける日本のサブ・カルチャー受容について pp.61-73
 (アメリカ班:前田雅司、岡田正、松本竜馬)
・ヨーロッパにおける日本研究とアニメ・マンガ受容状況 pp.75-86
 (ヨーロッパ班:Jessica Bauwens、太田健二、西村久美子、北野樹、高橋のり子)
・Images of Japan inThailand pp.87-92
 (Rungthip Chotnapalai)

第二部 研究論文「イメージとしての〈日本〉」

・「テクノ(ロジー)ミュージック」から見る「日本」(太田健二)pp.95-100
・欧米のヤオイの人気(Jessica Bauwens)pp.101-111
・日本のポピュラー音楽の外国における受容―中国・北京での状況報告―(屋葺素子)pp.113-121

第三部 「イメージとしての〈日本〉」(ポピュラーカルチャー分野)研究プロジェクトのあゆみ

・ポップカルチャーの輸出をめぐって(伊藤遊)pp.125-132
・「イメージとしての〈日本〉」(ポピュラーカルチャー分野)研究プロジェクト 2003年度活動彙報 pp.133-138

ゲームにおける女性

『朝日新聞』(大阪版)2007年10月14日(木)朝刊・22面の記事です。

研究に「ゲーム」、成果着々
 東大で国際会議「良い影響にも注目を」

 コンピュータゲームを学際的に研究する国際会議「DiGRA2007」が、先月末、5日間にわたり、東京・本郷の東京大学で開かれた。29の国と地域から350人余りが参加、初開催の日本で178の研究・開発の成果を発表した。
 (中略)
 たとえば「ゲームにおける女性」セッションではゲームをめぐるステレオタイプについての発表が相次いだ。英国の大学の文化学部講師はアクションゲームの女性主人公を研究し、「ゲーム内の女性は脇役が多く、主人公になっても男性的であることを要求されている」と指摘。カナダの教育学者は、男女約90人ずつの生徒を対象にした3年間の調査で、「ゲームに向かう際の男子は競争的、女子は協調的」といった決めつけが、実は初心者と熟練者の違いにすぎず、ゲーム経験が少ない初心者に女性が多いことから生まれた偏見ではないか、と述べた。
 (後略)

 なお、DiGRA2007についてはこちらをご参照ください。

2007年10月10日 (水)

『風の谷のナウシカ』と役割語

大阪大学大学院文学研究科の米井力也先生から、下記の論文をいただきました。

米井力也「『風の谷のナウシカ』と役割語―映像翻訳論覚書―」
 『日本語講座年報』第3号、pp.3-6、大阪外国語大学日本語講座、2005年12月

以下に、ファイルを掲載させていただきます。

「komei2005.pdf」をダウンロード

また、下記の研究をご紹介いただきました。

梅崎麻衣「ドイツにおける日本アニメーションの映像翻訳に関する調査研究」
(財団法人徳間記念アニメーション文化財団年報 2006-2007)


こちらの論文は、三鷹の森ジブリ美術館のホームページ
(→「美術館について」→「年報別冊 平成17 年度 アニメーション文化調査研究活動助成制度 研究成果発表」)
からダウンロードできます。

「わしは孔子じゃ」

Mさまにご教授いただきました。引用させていただきます。

 私が思わず吹き出してしまうのは、大川総裁に呼び出された人たちの霊がおかしな言葉を口にすることである。たとえば、孔子を呼び出すと、孔子は「わしは孔子じゃ」と言って現れる。孔子が日本語を話すのがおかしいというわけではない。なんせ霊なのだから、古代支那語を現代日本語に翻訳するぐらい、別に難しくはなかろう。私がおかしいと思うのは、孔子が自ら「孔子じゃ」と名乗ることである。
 孔子の「子」というのは敬称で、普通「先生」と訳す。「孔子」とは「孔先生」という意味である。我々は便宜的に「孔子先生」「孔子様」と言うけれど、孔子は自ら「わしは孔子じゃ」と名乗って出現することはありえない。
 現に『論語』の中では、孔子は自ら「丘(きゅう)」と名乗っている。姓が孔、名が丘だからだ。

(呉智英2004『言葉の常備薬』双葉社、pp.60-61)

ことばの歴史学

Photo_4 小林千草(1998)
『ことばの歴史学 源氏物語から若者ことばまで』
丸善ライブラリー
ISBN 4621052802

トニー谷ざんす

Photo_3 村松友視(1999)
『トニー谷ざんす』
幻冬舎アウトロー文庫
ISBN 4877288252

SF映画選集

Sf 北島明弘(2000)
『何回でもみたくなるSF映画選集』
講談社+α文庫
ISBN 4062564211

関西(大阪)弁入門

Photo_2 岡本牧子・氏原庸子・山口 修 著(1998)
真田信治 監修
『聞いておぼえる関西(大阪)弁入門』
アルク
ISBN 4872347838

江戸語・東京語・標準語

Photo 水原明人(1994)
『江戸語・東京語・標準語』
講談社現代新書
ISBN 4061492160

桃尻娘

Photo 橋本 治(1981)
『桃尻娘』
講談社文庫
ISBN 406131713X 

2007年10月 8日 (月)

韓国人日本語学習者の役割語の習得

鄭惠先さんから、研究発表の予稿集原稿をいただきました。

鄭 惠先(長崎外国語大学)
「韓国人日本語学習者の役割語の習得―文末形式と方言に注目して-」
2007年度日本語教育学会 第8回研究集会・関西地区
日時:2007年9月29日(土) 14:00~17:00
場所:独立行政法人日本学生支援機構 大阪日本語教育センター

「jung200709.pdf」をダウンロード

2007年10月 6日 (土)

サイエンスカフェ「博士とは何もの?-科学者の虚像と実像」

「中之島コミュニケーションカフェ2007 ex-station 可能性の駅」開催!!
10/13(金)、14(土)、15(日)の3日間、大阪・中之島公園内「なにわ橋駅」工事現場にて、「中之島コミュニケーションカフェ2007 ex-station 可能性の駅」が開催されます。
http://nakanoshima-cc.net/

5 10/14(日)18:00-20:00
  サイエンスカフェ「博士とは何もの?-科学者の虚像と実像」
  ゲスト=金水敏(CSCD教授・センター長)
  コーディネーター=小林傳司(CSCD教授)
日本のマンガ、アニメ、ドラマ、映画などのポピュラーカルチャーには、実に多くの「博士」と称される“科学者”が登場します。このステレオタイプな「博士」への視覚的・言語的・役割的特徴を分析し、その歴史的起源をたどりながら、現実とのずれや、我々の科学者像に与える影響について検討していきます。

東北弁の農夫

くうざん氏のブログに、下記のような記事がありました(ただしリンク先はこの先消えるかもしれません)。

http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20071005/1191598715

2007年10月 3日 (水)

女子のための礼儀作法本

Photo_5 女子作法研究會(1928)
『現代式禮儀作法一切乃心得』
春江堂

古本で買いました。昭和3年に出版されたもので、定価は「1圓」です。
以下に少し引用します。

朝夕の挨拶

 目上に對する時は・・・・・・『お早うござゐます。』
 同輩に對しては・・・・・・『お早う。』
 目下に對しては・・・・・・『お早いですね。』
 召使などに對しては・・・・・・『お早いことね。』(pp.31-32)

あの頃マンガは思春期だった

Photo 夏目房之介(2000)
『あの頃マンガは思春期だった』
ちくま文庫
ISBN 4480035869

ユリイカ J-コミック特集

19974 『ユリイカ 臨時増刊号』第29巻4号
1997年 青土社
ISBN 4791700139

【内容紹介】
★抜粋
特集=J-コミック’97

執筆・対談者陣
 ・よしもとよしとも
 ・古屋兎丸
 ・業田良家
 ・高田祐子
 ・楳図かずお
 ・荒木飛呂彦
 ・伊藤潤二
 ・吉田戦車
 ・黒鉄ヒロシ
 ・伊藤理佐
 ・くらもちふさこ
 ・安野モヨコ
 ・南Q太
 ・山本直樹
 ・町野変丸
 ・村田ひろゆき
 ・東陽片岡

ユリイカ 少女マンガ特集

Photo_3 『ユリイカ 4月号』第13巻9号
1981年 青土社
雑誌 6893146

【内容紹介】

総特集=少女マンガ

・秋山さとこ「ソフィアの涙―少女漫画の内的世界」pp.8-19
・鈴木志郎康「少女マンガ―気分の擁立」pp.126-130
・中野収「少女漫画の構造分析」pp.20-31
・萩尾望都・吉本隆明「対話 自己表現としての少女マンガ」pp.82-119
・橋本治「吉田秋生―ヒーローの秋」pp.32-49
・飯田耕一郎「山岸凉子―無限なるものへ」pp.50-61
・小泉文子「池田理代子―白雪姫はどこに目覚めるか」pp.131-137
・岩下誠徳「倉多江美―少女はインテリジェンスの扉を叩く」pp.72-81
・有川優「やまだ紫―主婦のいる風景」pp.62-71
・大原えりか「萩尾望都―愛のために凍結した時間」pp.138-147
・望月典子「大島弓子―かくも赤裸々な葦の群」pp.148-158
・西嶋憲生「竹宮恵子―交わりあう意思」pp.159-167
・伊藤比呂美「青池保子―男の肉体って何だ」pp.120-125
・榊原淳子「高野文子―おひさまがさしてるまんがを読みたい」pp.175-181
・諏訪優「樹村みのり―菜の花畑のむこうのむこう」pp.168-174

言語生活

『言語生活』1965年8月号
筑摩書房
IBM 3315

【内容紹介】
★抜粋

特集=まんが

・現代まんが論(加藤秀俊・山本明)pp.2-11
・まんがの文体(寿岳章子)pp.14-22
・まんがの用字用語(吉沢典男・倉持保男)pp.24-29
・まがのおもしろさ(学生座談会) (南不二男)pp.30-39
・まんがの世 界(近藤日出造)pp.42-45
・まんがの限界(杉浦幸雄)pp.48-52
・現代のまんが生活(アンケート調査)pp.53-60
・子どものまんがの分析 pp.61-68

ぱふ

Photo_4 『まんが専門誌 ぱふ』雑草社
1982年1月号(通巻61号)
雑誌 17561-1

【内容紹介】
★抜粋

・特集 聖悠紀 pp.8-49
・雑誌の表情 Part1「ぶ~け」 pp.88-120

〈役割語〉と〈気づかない新語〉

20079 『日本語学』2007年9月号(26巻9号)  明治書院
ISSN 02880822

◆特集 日本語とは何か

○私の日本語学・語彙研究から(橋本行洋) pp.44-52
   1 はじめに
   2 新語の史的研究
   3 〈気づかない新語〉について
   4 〈語彙体系のささえ〉による安定
    5 形態論的考察
   6 新語成立における漢字表記の介在
   7 おわりに

 上記論文の「3 新語の史的研究」の段に「役割語」のことが書かれています。該当箇所を引用させていただきます。

 「気づかない~」という術語は、近年、方言研究の分野で盛んに用いられるようになったもので、共通語との意味や語形の異なりが認識されないまま使用されることばを、〈気づかない方言〉と称している。この〈気づかない方言〉に対する通時的な存在を、〈気づかない新語〉ということができるだろう。(pp.45-46)

 なお、〈気づかない新語〉に関連するものとして、金水敏氏の提唱した〈役割語〉(金水2003)をあげておきたい。〈役割語〉とは、「博士語」「お嬢様ことば」「田舎ことば」等、必ずしも現実の言語使用とは一致しない、しかしながらいかにもそれらしく感じるという、“ヴァーチャル日本語”を指す。この〈役割語〉も、それと気づかずに日常語の中に入り込んで定着しており、その意味では〈気づかない新語〉と共通の性格を持つものと見ることができるだろう。金水氏はこれら〈役割語〉の源泉とそれが定着するまでの経緯を実証的に分析しており、現代語の史的研究における一つの指針を示すものとなっている。(p.48)

磯野家の謎 1&2

Photo_3 東京サザエさん学会編(1995)
『磯野家の謎』 
集英社文庫
ISBN 4087482642

Photo_7 東京サザエさん学会編(1995)
『磯野家の謎・おかわり』
集英社文庫
ISBN 4087482650

手塚治虫物語

Photo_5 伴 俊男+手塚プロダクション(1994)
『手塚治虫物語 オサムシ登場 1928~1959』
朝日文庫
ISBN 4022610549





Photo_6 伴 俊男+手塚プロダクション(1994)
『手塚治虫物語 漫画の夢、アニメの夢 1960~1989』
朝日文庫
ISBN 4022610557

2007年10月 2日 (火)

音声文法の対照

Photo_3定延利之・中川正之編(2007)『音声文法の対照』シリーズ言語対照〈外から見る日本語〉第1巻 

くろしお出版 (ISBN978-4874243831)

*目次より抜粋

第8章 音声コミュニケーションにみられる発話キャラクタ 中川明子、澤田浩子(pp.149-168)

第9章 外国語発話音声に見られるキャラクタの習得―外国人力士のインタビュー分析を通して― 林良子(pp.169-182)

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