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2007年10月 3日 (水)

〈役割語〉と〈気づかない新語〉

20079 『日本語学』2007年9月号(26巻9号)  明治書院
ISSN 02880822

◆特集 日本語とは何か

○私の日本語学・語彙研究から(橋本行洋) pp.44-52
   1 はじめに
   2 新語の史的研究
   3 〈気づかない新語〉について
   4 〈語彙体系のささえ〉による安定
    5 形態論的考察
   6 新語成立における漢字表記の介在
   7 おわりに

 上記論文の「3 新語の史的研究」の段に「役割語」のことが書かれています。該当箇所を引用させていただきます。

 「気づかない~」という術語は、近年、方言研究の分野で盛んに用いられるようになったもので、共通語との意味や語形の異なりが認識されないまま使用されることばを、〈気づかない方言〉と称している。この〈気づかない方言〉に対する通時的な存在を、〈気づかない新語〉ということができるだろう。(pp.45-46)

 なお、〈気づかない新語〉に関連するものとして、金水敏氏の提唱した〈役割語〉(金水2003)をあげておきたい。〈役割語〉とは、「博士語」「お嬢様ことば」「田舎ことば」等、必ずしも現実の言語使用とは一致しない、しかしながらいかにもそれらしく感じるという、“ヴァーチャル日本語”を指す。この〈役割語〉も、それと気づかずに日常語の中に入り込んで定着しており、その意味では〈気づかない新語〉と共通の性格を持つものと見ることができるだろう。金水氏はこれら〈役割語〉の源泉とそれが定着するまでの経緯を実証的に分析しており、現代語の史的研究における一つの指針を示すものとなっている。(p.48)

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