萩原朔太郎あるネ
萩原朔太郎「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」に<アルヨことば>の用例が出てきました。
「やい。チャンチャン坊主奴(め)!」
重吉は夢中で怒鳴った、そして門の閂(かんぬき)に双手(もろて)をかけ、総身の力を入れて引きぬいた。門の扉(とびら)は左右に開き、喚声をあげて突撃して来る味方の兵士が、そこの隙間(すきま)から遠く見えた。彼は閂を両手に握って、盲目滅法(めくらめっぽう)に振り廻した。そいつが支那人の身体(からだ)に当り、頭や腕をヘシ折るのだった。
「それ、あなた。すこし、乱暴あるネ。」
と叫びながら、可憫(かわい)そうな支那兵が逃げ腰になったところで、味方の日本兵が洪水(こうずい)のように侵入して来た。
「支那ペケ、それ、逃げろ、逃げろ、よろしい。」
こうして平壌は占領され、原田重吉は金鵄勲章(きんしくんしょう)をもらったのである。
(http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/1771.html)
以上は、青空文庫でご覧になれます。(IT)
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