泰葉さんの話体
最近、泰葉さんという歌手の言動が芸能ニュースを賑わせていました。テレビに登場する彼女の発話を聞いていると、ことさらに“男性的”とされるスタイルを用いているようです。例えば、
あいつは金髪豚野郎だ!
における言い切りの「だ」の使用とか、
やめろー、こんな顔、撮るなー!
における命令形、禁止形の使用などです。
この発話スタイルに対して、いろいろな論評がありえますが、今は現象のメモにとどめます。
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最近、泰葉さんという歌手の言動が芸能ニュースを賑わせていました。テレビに登場する彼女の発話を聞いていると、ことさらに“男性的”とされるスタイルを用いているようです。例えば、
あいつは金髪豚野郎だ!
における言い切りの「だ」の使用とか、
やめろー、こんな顔、撮るなー!
における命令形、禁止形の使用などです。
この発話スタイルに対して、いろいろな論評がありえますが、今は現象のメモにとどめます。
天理大学の前田均先生から、〈アルヨことば〉に関係が深い論文・資料等をいただきました。
前田均「台湾:1945年で変わったもの、変わらなかったもの―言語と教育の面から―」大阪経済法科大学『大阪経済法科大学 東アジア研究』第49号、 2008年3月、21-31頁
前田均「旧満州国国歌の作曲者は山田耕筰か?―森脇佐喜子『山田耕筰さん、あなたたちに戦争責任はないのですか』の検討」天理大学学術研究会『天理大学学報』第50巻第2号第190輯、1999年2月20日、115-127頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(11)日本統治下台湾の教育の虚実」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.8、No.11、2007年11月、7頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(12)日本語教科書の中の虚構とその弊害」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.8、No.12、2007年12月、7頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(13)「日本人化」しない日本語教育」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.1、2008年1月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(14)国語改革と日本語教育」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.2、2008年2月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(15)さまざまな日本語」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.3、2008年3月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(16)和文漢読法」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.4、2008年4月、7頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(17)続・和文漢読法」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.5、2008年5月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(18)日本語の残存使用」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.6、2008年7月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(19)日本語教師の資質②」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.7、2008年7月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(20)対日戦のための日本語教育」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.8、2008年8月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(21)ローマ字運動と日本語教育」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.9、2008年9月、5頁
前田均「日本語教育の歴史、その光と陰(22)戦前・戦中・戦後を貫く歴史」 天理大学『月刊グローカル天理』、Vol.9、No.10、2008年10月、5頁
竹中憲一『大連歴史散歩』皓星社、2007年
小宮多美江「現代日本の音楽メモⅢ 満洲国国歌に誘い出されて」『クリティーク 80』No.26、10-17頁、2000年2月12日、音楽の世界社
女性歌手が歌う場合、男性の立場に立つときも、ジェンダー中立的な立場で歌うときも、「ぼく」は用いるが、「おれ」はもちいない(演歌は除く)、という仮説を持っています。
すると、最近テレビから流れてくるCMで、中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」が流れてきて、「もしおれがヒーローだったら……」という歌詞が聞こえてきました。
もとの歌詞は、これです。
つまり、これは女性の立場の歌で、「もしおれが……」は、ボーイフレンドの台詞を引用している訳ですね。主人公の自称詞は「あたし」です。
黒島傳治(伝治)「武装せる市街」に、アリマスことばの用例がありました。
底本
1978(昭和53)年12月20日(初版第1刷発行)
『筑摩現代文学大系38
小林多喜二 黒島傳治 徳永直 集』筑摩書房
初出
1930(昭和5)年11月、日本評論社より刊行
【※なお、ただちに発禁】
題材
1928(昭和3)年に発生した済南事件
★「早よ、S病院、去(チュイ)。あなたのお父ツぁん、負傷あります。日本太夫(リベンタイフ)、診(み)て、出血あります。クヮイクヮイデ。」
詰襟の善人らしい支那人は、日本語と、支那語を、ごちゃごちゃに使った。★「回々(フイ/\)教徒、人悪るい。よろしくない。冬、日が短い。暗くなる早い。電気つかない。工場暗い。われ/\顔見えない。男と女、いつもちちくる。始める。」鼻づまりの工人が分りかねる日本語で語りつゞけた。「回々教徒、人悪るい、ちちくりながら、ひとのツメたマッチ函、かッぱらって、自分のツメた函にする函多い。金多い。」
【追記】確認のため、以下参照しました。(IT)『日本プロレタリア文学集9 黒島伝治集』
新日本出版社、1984年
本年9月、九州大学に集中講義に伺った際、京谷啓徳さんという方に引き合わせていただくことが出来ました。京谷さんは、もともとイタリア・ルネサンス美術の若手の研究者ですが、戦前の芸能、映画、レコード等に対する造詣が深く、SPレコードの大変なコレクターでいらっしゃいます。ご自身の集中講義資料「もうひとつの近代芸能史」をいただきました。浅草オペラの発展を中心に、エノケンについても述べられていて、すばらしい充実度です。
今後、教えを請うこともあるものと、大いに期待しています。
下記の論文に、「発話キャラクター」に関する言及があります。
設樂 馨 (2007) 「テレビのトークコーナーを読む―同一の発話を伴わない文字テロップの実態―」『武庫川女子大学言語文化研究所年報』18: 37-61.
日高水穂氏より、『秋田大学ことばの調査』第4集(日高水穂(編)、秋田大学 教育文化学部 日本・アジア文化研究室)のご寄贈を賜りました。以下の、役割語に関する論文を含みます。
持田祐美子「談話における「かすらせ声」の特徴と機能」pp. 14-24.
佐々木浩太「「かくれた」ジェンダー観教育への適応と逸脱―ことばと人物イメージの性差・学部差に関する調査と分析―」(平成19年度卒業研究(抜粋版))pp. 70-89.
塩出大佑「「オネエことば」使用者のことばの使い分けと意識」(平成19年度卒業研究(抜粋版))pp. 90-102.
池田貴子氏のご教示によります。横浜ピジンについて示唆が得られました。
田中雅男 (1980) 「『ザ・ジャパン・パンチ』とハムレットの独白」『近代』55:41-72, 神戸大学近大発行会.
田中雅男 (1981)「「マー、モッテコイ。マー、シックシック。」―『横浜方言演習』の版をめぐって―」『近代』57: 117-134, 神戸大学近大発行会.
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