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2009年8月 9日 (日)

音声の韻律的特徴と話者パーソナリティ印象の関係性

『音声研究』第13巻第1号(2009年4月)は「音声が伝達する感性領域の情報の諸相」(Feature Articles:: Recent Studies on Expressive Speech and Surrounding Issues)という特集でした。

目次は以下の通り。

  1. まえがき 内田照久 1
  2. 音声が内包する話者の特徴情報の記憶 木戸浩・柏谷英樹 4
  3. 音声の韻律的特徴と話者のパーソナリティ印象の関係性 内田照久 17
  4. TANDEM-STRAIGHT と音声モーフィング:感情音声と歌唱への応用 川原英樹・森勢将雅 29
  5. コミュニケーションにおける「間」の感性情報心理学 中村敏枝 40
  6. 音声コミュニケーションにおける避流暢性の機能 伝康晴・渡辺美知子 53

このうち3の論文を紹介しておきます。(pp. 17-28)

(英文タイトル)Proposing the PROSPECT Model: Relationship between the Prosodic Features of Speech Sound and the Personality Imporessions

Teruhisa Uchida

(英文概要)

SUMMARY: From a series of the experiments on the expressive speech in terms of the information of personality impressions, quantitative relations between speech sounds and personality impressions were found. Prosodic features such as a speech rate, pauses, and intonations were manipulated to synthesize the continua of speech stimuli. Participants were asked to rate their impressions on these stimuli using Big Five personality traits. The results indicated that each trait had a distinctive change pattern, while reversed U-shape patterns were their common characteristics. In other words, each personality trait could be estimated with a quadratic regression equation. in this equation, use of sensory scales converted from physical scales leads more accurate estimates. Further, by integrating these five equations, the whole personality impression could be re-constructed. This procedure can be useful to synthesize speech sounds with artificial personalities, and summarized as a model.

キーワード:韻律的特徴、発話速度、イントネーション、性格特性5因子モデル、Big Five, STRAIGHT, 感覚尺度

「1. はじめに」を引用します。

 本稿では、音声から想起される話し手の人柄の印象といった、話者の個性や特徴に係わる心理的な感性領域の情報を取り扱う。ここではまず、音声の韻律的特徴 (prosodic feature) と、話し手のパーソナリティ印象 (personality impression) の関係について、心理学的な実験から得られた知見を紹介する。その上で、韻律的な特徴量と話者の性格印象の間の関係性を表現するモデルの提案を試みる。

 さて、話す速さやポーズ、声の高さやイントネーションといった韻律的な特徴の違いによって、話し手の人柄の印象はどのように変わるのだろうか。そもそも、話者の人柄、パーソナリティの様々な側面は、一体どのようにしたら整理して捉えることができるのだろうか。さらに、パーソナリティの各側面は、韻律的特徴の違いによって、どのような形で印象が変わるものなのだろうか。

 この個々に物理的な属性を持つ韻律的特徴量と、話者のパーソナリティ印象の関係性を記述できれば、話し手の特徴に係わる情報が、表現豊かな音声 (expressive speech) の中にどのような形で織り込まれているのかを解明するための手がかりとなる。それによって、
(1) 心理学的な観点からは、音声コミュニケーション場面での対人認知における印象形成 (impression formation) のメカニズムの解明につながる。
(2) 聞き手が抱くであろう話し手の人柄の印象が予測可能になることから、韻律的特徴に留意した話し方を工夫することで、音声を介した自己表現をより豊かにできる。
(3) さらに応用面では、言語的な意味内容に留まらず、人柄まで感じさせるリアルな合成音声を生成するための、基礎的なモデルの提案が可能となる。

 このように、韻律的特徴と性格印象の関係性の解明は、音声をめぐる人間そのものの理解を深めると共に、音声を介して営まれる生活を、より豊かにするのに役立つと考えられる。(pp. 17-18)

性格特性5因子モデル (Big Five) についてはこちらを参照。

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