再考 オリンピック放送の「役割語」
NHK放送文化研究所の太田眞希恵さんが、『放送研究と調査』3月号に、新しいご論文を掲載されました。
http://www.nhk.or.jp/bunken/book/monthly/index.html?p=201703
~"日本人選手を主人公とした「物語」"という視点から~
刊行物『放送研究と調査』2017年3月号 掲載
公開:2017年3月1日
リオデジャネイロオリンピックのテレビ放送に出た外国人選手インタビューが、どのような日本語に翻訳されたかについて「役割語」という観点を導入して分析した。2008年北京オリンピックの際におこなった研究の続編である。
分析の対象としたのは、外国人選手のインタビューに付けられた翻訳テロップ。役割語が使われるのは、どのようなときなのかについて分析するとともに、ノンフィクションの分野であるオリンピック放送に役割語が出現する理由について考察した。
ウサイン・ボルト選手は、北京オリンピック時の分析と同様に「俺」や男性役割語の使用が目立つ一方で、「これが最後のオリンピック」と話しているときには「私」や「です・ます体」が使われることも多かった。このことから、役割語の使われ方には「話の内容」も関係してくることがわかった。その他、“ライバル”の発話や“感情”を伝える発話では役割語が使われやすいこともわかった。
また、メディア研究でこれまで指摘されてきた知見をふまえ、「オリンピック放送は“日本人選手が主人公の『物語』”である」という視点から、オリンピック放送の外国人選手インタビューの翻訳に「役割語」が出現しやすい理由について考察した。
メディア研究部 太田眞希恵
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