2016年3月22日 (火)

役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ2015報告論集

『役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ2015報告論集』が刊行されました。

こちらよりダウンロードできます。
Jpg
「緒言」より

さる 2015 2 16 日〜17 日、大阪大学会館(大阪大学豊中キャンパス)に おいて、「役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ」が開かれました。 基調講演 2 本、口頭発表 11 本、ポスター発表 10 本のエントリーがありました (うち口頭発表 1 本はインフルエンザのためキャンセル)。参加者の国籍および 所属地としては日本のほか韓国、中国、アメリカ、チェコ、台湾から参加があ り、日本国内では北海道から大分県までを含むさまざまな都道府県からご参加 いただきました。聴衆は両日で延べ 140 名になりました(本書巻末に当日のプ ログラムを掲載しています)。なお、このワークショップは下記科学研究費補助 金によって開催され、大阪大学大学院文学研究科の共催も得ております。

科学研究費「役割語の総合的研究」(研究代表者:金水敏 課題番号:23320087)

このワークショップの参加者に、発表内容に基づいた論文の寄稿を呼びかけ、 それに応じてくださった 16 名の方の寄稿を集めたのが本書です。単に提出され たものを掲載したのではなく、2015 年 12 9 日に「役割語研究会」席上で合 評会を行い、そこで出た意見に基づいて著者に修正・再提出を求めるというプ ロセスを経て、よりよい論文集となるように編集・著者一丸となって取り組み ました。書き手は若い研究者が多いですが、編集者の一人として、とても読み 応えのある論文集となったと自負しております。この論文集が、役割語・キャ ラクター言語研究のより一層の発展の礎となれば幸いです。

2016年2月1日 金水 敏

=====

目次

緒言....................................................... 金水 敏(大阪大学)2

1 役割語とキャラクター言語................................金水 敏(大阪大学)5

2 内言の役割語 ―ことばとキャラクタの新たな関わり― ...... 定延利之(神戸大学)14

3 役割語としての方言と標準語のハイブリッド現象...........中田一志(大阪大学)32

4 アルヨことばの周辺としての上海ピジン ....... 河崎みゆき(中国・上海交通大学)46

5 バラエティ番組に見られる文字テロップのキャラクタ構築の機能 ...................................................鄭 惠先(北海道大学)70

6 役割語としてのアフリカ系アメリカ人英語の文法について

................................................. 山木戸浩子(藤女子大学)91

7 タイ語の新しい人称代名詞pǒmの役割語的分析...........伊藤雄馬(京都大学)112 8 小説に見られる女性キャラクタの会話スタイルの変化

―女性的表現は今後衰退するのか― .............. 渡辺友香(恵泉女学園大学)118

9 翻訳書における役割語の変化 ―旧訳と新訳の狭間で―

.................................... 片山奈緒美(出版翻訳者・桜美林大学)129

10 ボーイズラブマンガにおけるセクシュアリティと役割語 -Linguistic Identity in Japanese Boys' Love Manga-..........Ryan Redmond(カリフォルニア大学デービス校)138

11 「おネエキャラ」の言語表現について ―バラエティ番組とフィクション作品を材料に― ............................................ 河野礼実(お茶の水女子大学)151

12 「ぼく」の世界、「わたし」の世界 ―ポップ音楽における日本人女性歌手のアイデンティ ティ流動性―..........................Hannah E. Dodd(オハイオ州立大学)165

13 メジャーリーガーはいつ自分のことを「私」と呼ぶか ―翻訳における役割語― ......................................高田 亮(立命館アジア太平洋大学)177

14 役割語分析の英語ライティングへの導入 .. 安田尚子(会津大学語学研究センター)186

15 日本統治下台湾の初等国語教科書における〈父〉〈母〉を表す名詞のバリエーション ―『赤い鳥』との比較から―.................... 山田実樹(台湾・世新大学)199

16 『団団珍聞』諷刺画の役割語分析 ―コミュニケーションツールとしてのマスメディア― .................................................... 松下恵子(大阪大学)209

大会プログラム............................................................... 221


2015年12月31日 (木)

Acta Linguistica Asiatica キャラクター特集 (2015)

リュブリャーナ大学のオンライン・ジャーナル Acta Linguistica Asiatica で「キャラクタ特集」が組まれました。オープンアクセスです。

定延 利之さん、アンドレイ・ベケシュさん、私(金水)と山木戸浩子さんの共著論文その他が掲載されています。
2015年年11月15日(日)に学習院女子大学で行われた日本語文法学会パネルセッション「日本語とキャラ」の内容に対応しています。

2010年11月28日 (日)

中国語の「役割語」を考える―中国方言ドラマを例に

中国語の役割語について、研究論文が出ました。著者からのお知らせをいただきました。

著者:河崎みゆき(深雪)
掲載誌:『現代語文』2010年10月下旬刊, 80-84頁
論文名:漢語”角色語言”探討―以中国方言電視劇為範本
(中国語の「役割語」を考える―中国方言ドラマを例に)
出版社:現代語文雑誌社

「ここに目次があり名前が載っています。
もうしばらくすれば電子版になって図書館などからダウンロードできるようになると思います。

http://www.modernchinese.org/lmu/lmu201010.htm

」とのことです。

2008年10月20日 (月)

マンガのなかの〈他者〉

伊藤公雄編(2008)『マンガのなかの〈他者〉』臨川書店が出版されましたbook
以下は詳細です。

『マンガのなかの〈他者〉』 《ビジュアル文化シリーズ》
 編者 伊藤公雄
 発行 臨川書店

 ISBN 978-4-653-04014-9
 四六判上製/約250頁/定価2,520円
 

【内容】

はじめに……………………………………………………………伊藤公雄
第1章 マンガにおける異人ことば……………………………… 金水 敏
第2章 歴史的表象としての視覚的「日本人」像…………………吉村和真
第3章 『ドラゴンボール』と出会った韓国
       ―暴力的で扇情的な〈他者〉としてのマンガ…………山中千恵
第4章 日本のマンガにおける他者との遭遇…………………… 梁 仁實
第5章 戦後少年マンガのなかの「敵」イメージをめぐって………伊藤公雄
第6章 「他者」としての「ヒットラー」
       ―『アドルフに告ぐ』とドイツ娯楽メディアにおけるヒットラー像の諸相
        ……………………………………………………… ベディーナ・ギルデンハルト
おわりに……………………………………………………………金水 敏

2007年12月29日 (土)

月刊言語「日本語のスタイル」

月刊『言語』2008年1月号 (Vol. 37, No. 1)  ISSN: 0287-1696
 
特集名:  日本語のスタイル――その表現力と創造性 
 
定価:  980 円 (A5判・128頁) 

特集内容:
日本語には方言や若者言葉、敬語といった多様性が見られるが、一人の人が用いる日本語の中でも様々なスタイルが使い分けられ、特に自己表現やコミュニケーションなどの対人戦略において効果を発揮している。それぞれのスタイルは言語構造にどのように現われているのか、またその使い分けが担う機能とは何か。その実態に光を当て、明示的に分析することから、言語の本質に迫る新たな研究領野が拓かれる。 

主要目次:

スタイルの使い分けとコミュニケーション(渋谷勝己) pp. 18-25

一人の人が使い分けるさまざまな日本語のスタイルは、コミュニケーションや自己表現において大きな役割を果たしている。スタイルの形式と機能、その切り換えの実態を整理し、言語現象としての本質に迫る。

依頼と謝罪における働きかけのスタイル(熊谷智子) pp. 26-33

日本人はすぐ謝るとよく言われる。これは理論的には自分を不利な立場に置くが、実は一種の対人行動スタイルとして機能している。外国人との対照もふまえて、日本人のコミュニケーション特性を浮かび上がらせる。

新聞にみる話しことばの変遷(土屋礼子) pp. 34-39

明治期以降、新聞は知識人から庶民へと読者層を拡大していく努力の中で、記事に口語体を取り入れるようになった。マスメディアにおける言文一致の経緯をたどり、そこで試みられたさまざまな文体を紹介する。

ケータイ/ウェブの表現スタイル(松田美佐) pp. 40-45

ケータイ・メールやウェブでやり取りされている見慣れない日本語の実態とは? 入力方法の特性ややり取りの作法、受け手との関係性といった条件の下でカスタマイズされていく新しい表現スタイルの背景を探る。

関西若年層にみる東京語の使用(高木千恵) pp. 46-51

現代の若者の方言使用においては、二次元的なコード切り換えにとどまらず、より複雑な構造と繊細な機微に通じたスタイル切り換えが見られる。そのリアルな使用状況を捉えることから、方言研究の新たな可能性が見出せる。

コミュニケーション・文法とキャラクタの関わり(金田純平・澤田浩子・定延利之) pp. 52-59

話し手の心内に潜むキャラクタは、みなそれぞれの得意技を持っており、話し手はその得意技に応じて、発話キャラクタを発動する。コミュニケーションと文法の両面に顔をのぞかせるキャラクタたちの実態を観察する。

音声による人物像の表現と知覚(勅使河原三保子) pp. 60-65

我々の話し声の音声的特徴は聞き手に様々な印象を与えるが、その印象は必ずしも話し手の特徴と一致しない。話し手と印象の対応を扱った研究を通して、音声スタイルが日常生活やアニメ作品で果たす役割を考察する。

汗と涙のシンデレラ――サクセス・ストーリーの語り方(山口治彦) pp. 66-71

体験談のような「物語」にも、定型的な語り方のスタイルが存在する。その「型」は、どのように立ち現れ、どのような効果を上げるのか。成功物語を例に、語り手と聞き手が共同するスタイル生成の実態を探る。

2007年12月27日 (木)

ゲス、ゴス、ガス

来嶋靖生編『岩本素白随筆集―東海道品川宿』(ウェッジ文庫)について紹介されている、「黌門客」さんの記事をご紹介しておきます。

2007年11月 2日 (金)

わきまえの語用論

Photo 井出祥子(2006)

『わきまえの語用論』

大修館書店
ISBN 9784469221862

【目次】

序章 日本語はいかに日本文化と関わるか
第1章 「言うという行為」とモダリティ
第2章 ポライトネスの普遍理論
第3章 わきまえのポライトネス
第4章 敬語のダイナミックな動き
第5章 敬意表現と円滑なコミュニケーション
第6章 女性語はなぜ丁寧か
第7章 ホロン構造型社会の言語使用
第8章 “複雑系”社会の日本語

聞いておぼえる関西弁入門

こちらでご紹介した本の新訂版です。

Photo_5真田信治(監修)
岡本牧子・氏原庸子(著)

『新訂版
聞いておぼえる関西(大阪)弁入門



ひつじ書房、2006年
ISBN 489476296

【目次】


まえがき
テキストの使い方
用語・記号の説明

UNIT1 もう がまんでけへん 動詞の否定形
UNIT2 勉強せな あかん 義務・必要の表現
UNIT3 借りても ええか? 許可・禁止の表現
コラム1 関西人が共通語と思い込んでる「隠れ関西弁」
UNIT4 見ててや 依頼の表現
UNIT5 テレビ見んと 寝ぇ 命令の表現
コラム2 一拍語を二拍語的に話す
UNIT6 よう わからん 可能表現の否定
コラム3 「おばんざいやさん」に行こう!!
UNIT7 何してはるの? 尊敬の表現
UNIT8 行くんやったら 買《こ》うてきて 仮定・推量の表現
コラム4 イ形容詞の「イ」抜け
UNIT9 結婚しよってん 第三者の行為の表現
UNIT10 ついに0点《れぇてん》 とってしもた 残念・完了の表現
UNIT11 なんで? お金ないさかい 原因・理由の表現
UNIT12 そんなこと 言うかいな 疑問・強い否定の終助詞
UNIT13 何すんねん! 文末の表現Ⅰ
コラム5 大阪府言語地図
UNIT14 値札 つけとるわ 進行・状態の表現
UNIT15 いっぺん 食べてみ 軽い命令の表現
コラム6 意向形「V(よ)う」の「ウ」抜け
UNIT16 そんなん 買《こ》う たかて・・・ あきらめの表現
UNIT17 やめときぃ 準備・勧めの表現
コラム7 イ形容詞のウ音便
UNIT18 ええやんか 文末の表現Ⅱ
コラム8 ボケとツッコミ
UNIT19 何でも 買《こ》うたった やり・もらいの表現
UNIT20 なんも みみっちない 全否定の表現
コラム9 ネオ方言(真田信治)

問題のスクリプト
問題の解答
単語リスト
主要参考書
あとがき
UNIT18 

2007年10月30日 (火)

現代の位相研究

Photo 佐藤喜代治(編)(2002)

『国語論究 第9集 現代の位相研究』

明治書院
ISBN 9784625433122

【目次】

・菊沢季生と位相論(佐藤喜代治)
  一 菊沢氏の経歴
  二 『国語研究』
  三 音素論
  四 位相論
  五 代名詞・万葉集の研究
  六 連歌 

・ことば論議にみる位相差の諸相(田中章夫)
  はじめに
  一 国字問題をめぐるキャンペーン
  二 言文一致運動と近代口語文体
  三 標準語普及運動の諸相
  四 ネサヨことばとネハイ運動
  五 外来語排斥運動から英語公用語論へ

・ポナペ語における日本語からの借用語の位相―ミクロネシアでの現地調査から(真田信治)
  一 はじめに
  二 日本語からの借用語
  三 音の代用

・万葉語「朝+~」の考察(佐藤武義)
  一 はじめに
  二 「朝+~」の実態
  三 「朝+~」A群の分析
  四 「朝+~」B群の分析
  五 まとめ

・男性使用の自称「わらは」(染谷裕子)
  一 はじめに
  二 国語辞典の「わらは」
  三 女性の自称「わらは」
  四 お伽草子の「わらは」
  五 男性使用の「わらは」の問題点
  六 まとめ

・お屋敷奉公と江戸町人女性のことばのしつけ(神戸和昭)
  はじめに
  一 江戸戯作中の描写
  二 随筆中の記述
  三 文書・日記類の記述
  おわりに

・『錦嚢万家節用宝』考―合冊という形式的特徴を中心に(佐藤貴裕)
  一 はじめに
  二 『錦襄万家節用宝』概観
  三 合冊四書概観
  四 合冊の利点 
  五 吉文字屋による合冊体節用集の展開 
  六 十九世紀における合冊
  七 おわりに
   
・明治期口語研究の新展開に向けて―標準語と保科孝一、尾崎紅葉、そして「トル・ヨル」(増井典夫)
  一 はじめに
  二 保科孝一の業績について
  三 近代文学作品の校訂、、漢字の字体などの問題について
  四 言文一致体と現代口語体の成立について
  五 尾崎紅葉の文章・用語などの研究課題について
  六 『多情多恨』の会話文と「~トル」
  七 「~ヨル」をめぐって
  八 終わりに

・現代の「枕詞」―「嬉しい初優勝」という表現について(揚妻祐樹)
  一 はじめに
  二 一人称制限(およびその解除)を把握する三つの立場
  三 枕詞的用法が用いられる場面性
  四 まとめ―「語り手」の混同について―

・テレビの単語使用―番組と話者からみた多様性(石井正彦)
  一 目的
  二 データ
  三 方法・準備
  四 番組=話者グループの特徴語
  五 まとめに代えて

・「少しも」と「ちっとも」について(漆谷広樹)
  一 はじめに
  二 近代文学作品における「少しも」と「ちっとも」について
  三 「少しも」と「ちっとも」の語誌
  四 まとめと課題

・日本語方言における意志・推量表現の交渉と分化―『方言文法全国地図』の解釈(彦坂佳宣)
  はじめに
  一 意志・推量表現の分布の分析から
  二 文献による地域語史の視点から
  三 方言文献とGAJとの総合から

・方言の係り結び(大西拓一郎)
  一 はじめに
  二 こそ~已然形
  三 疑問詞~已然形
  四 疑問と連体形
  五 むすび

・上方語の伝播と庄内(遠藤 仁)
  一 はじめに
  二 海上の道と言語の伝播
  三 海上の道による伝播はその根拠を見出せるか
  四 おわりに

・岩手県盛岡市方言における形容詞活用体系(斉藤孝滋)
  一 はじめに
  二 目的・方法
  三 活用体系
  四 形態レベルでの活用形の統合
  五 音現象が形容詞活用体系に及ぼす影響力の検証
  六 まとめ

2007年10月25日 (木)

〈性〉と日本語

著者よりいただきました。

Photo

中村桃子(2007)

『〈性〉と日本語』

NHKブックス
ISBN 9784140910962

【目次】

はじめに  
 日本語ブームの背景
 言語資源という視点
 「女ことば」と「男ことば」に見る創造性
 本書の全体像

Ⅰ 「わたし」はことばでつくられる

第一章 ことばとアイデンティティ 

 1 アイデンティティはどこから来るか
     「女らしい」藤原先生
     不自然な「女ことば」
     本質主義のアイデンティティ
     構造主義のアイデンティティ
     言語資源としての「ことば」
     フィクションの会話と現実の会話
     メディアがつくる言語資源
     「ずれた言語行為」の創造性

 2 非対称的な「女ことば」と「男ことば」
     標準語としての「女/男ことば」
     インフォーマルな「女/男ことば」
     「女/男ことば」が描く人物像の違い
     「女ことば」とはルールである

 3 言語資源が切り開く地平
     繰り返される「ついて語る」言説
     女訓書からエチケット本まで
     「標準語」に隠された男性性
     「標準語」「女/男ことば」を分けるもの
     言語資源が明かす三つの点

第二章 「翻訳」のことばを読む―再生産される言語資源
       『ハリー・ポッター』の中の「女ことば」
       複数の声が聞こえる

 1 翻訳がつくるアイデンティティ
     翻訳小説の中の擬似方言
     「方言」の誕生
     正しい「標準語」・劣った「方言」
     再生産される差別  

 2 新しい「男ことば」の登場―「です・ます」から「ス」へ
     「擬似方言」の消滅
     変わる翻訳の標準語
     「ぼく」から「おれ」へ
     「おれ」は熱血ヒーロー
     貴様と俺
     近すぎる「おれ」と「おまえ」
     『スラムダンク』の新敬語
     上下関係から親疎関係へ   

 3 変わりゆく「親しさ」の表現
     スターの語る「ぼく・きみ・さ」
     「きみ」と「ぼく」がつくる男の絆
     「旧男ことば」はどこへ行く
     区別しつづける言語資源
     「女ことば」は絆と結びつくか    

Ⅱ 日本語に刻まれた〈性〉

第三章 セクシュアリティと日本語

 1 恋愛小説の言語資源
     ハーレクイン・ロマンスの恋愛描写
     日本の恋愛小説に身体描写の少ない理由
     近づくほどに遠ざかる男女のことば

 2 異性愛はことばに宿る
     古代ローマのセクシュアリティ
     なぜ異性愛は規範となったのか
     〈女〉と〈男〉の中間に位置する人びと
     セックスとジェンダー

 3 〈男〉は中心、〈女〉は例外―異性愛から見た言語資源
     「おれ」と「あたし」のエロス
     「女/男ことば」とジェンダーの結びつき
     「ていねいな言葉づかい」という規範
     言葉づかいが左右する自己イメージ
     男のスカート姿はなぜ目立つ?
     男女で異なる規範性
     「おネエことば」の反対は?

第四章 変わりゆく異性愛のことば
      ―「スパムメール」「スポーツ新聞」「恋愛小説」


 1 スパムメールに刻まれた異性愛の構造
     スパムメールの修辞学
     「女=受動的」がもたらす悲劇

 2 男たちの共同体
     向かい合えない男たち
     ホモソーシャルな社会とは
     女性同性愛に対する視点
     「男になる」ことの意味
     異性愛への強迫観念
     スパムメールの中の「おれ」
     恋愛資本主義の台頭
     スポーツ新聞のホモソーシャル・ファンタジー

 3 親しさを希求することばの格闘
     母子関係に還元される恋愛
     あらたな関係としての家族
     血縁を超えた家族の模索
     母親になりたい

Ⅲ 創造する言語行為

第五章 なぜ少女は自分を「ぼく」と呼ぶのか

 1 少女は言葉づかいの規範を破りつづけてきた
     幻想と現実の再生産
     「ぼく」と言い始めた明治の女子大生

 2 新しい〈少女性〉の創造
     男女に押しつけられた成長過程の違い
     異性愛市場の子どもたち
     〈おませ〉か〈おくて〉か
     〈男装〉への憧れ
     さまざまな自称詞の創造

 3 押しつけられる自称詞
     「わたし」と自称することへの抵抗感
     ひそかに埋め込まれる異性愛規範
     二重の抑圧
    
 4 「言葉づかいへの批判」今昔
     なぜ「女ことば」は伝統なのか
     生き延びるために選ばれることば
     「最近の乱れ」説の効用
     なぜ女のことばづかいが気になるのか

 5 少女の「男ことば」に萌える男たち
     「無垢な少女」幻想
     未熟なエロスの商品化

第六章 欲望を創造する―消費社会と〈性〉
 
 1 ファッション誌という共同体
     消費と結びついたアイデンティティ
     雑誌がつくる書き手と読者
     雑誌共同体をつくる三つの手法
     イデオロギーによる支配
     欲望を煽り、達成感を抱かせる

 2 女性誌と男性誌―親しみの相違
     女性誌は平等・男性誌は階層的
     上下関係にもとづくホモソーシャリティ
     ファッションは課題、雑誌はカウンセラー
     ファッションはいかに男性化されたか

 3 新しい男性雑誌共同体
     男性も「着まわし」の時代
     ファッションを「大研究」する
     男性誌は学校、読者は生徒
     モノローグによるコミュニケーション
     異性愛を求める消費社会

終章 「日本語=伝統」観の閉塞を超える
 
 1 日本語という不安
     あるがままに愛でるべき日本語?
     日本語本ブームのメカニズム
     「正しい日本語」の問題点
     「ずれた言語行為」の可能性

 2 日本語をみがくために
     言語イデオロギー
     メタ言説の権力
     「正しい日本語」がつくる分断
     矛盾ゆえに強化される言語イデオロギー
     「男ことばの乱れ」はなぜ意識されないのか

 3 開かれた伝統にむけて
     「専門家」のメタ言説を相対化する
     「乱れ」言説から自由になる
     ことばに対する「常識」に問いを発する

参考文献
あとがき

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