役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ2015報告論集
『役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ2015報告論集』が刊行されました。
さる 2015 年 2 月 16 日〜17 日、大阪大学会館(大阪大学豊中キャンパス)に おいて、「役割語・キャラクター言語研究国際ワークショップ」が開かれました。 基調講演 2 本、口頭発表 11 本、ポスター発表 10 本のエントリーがありました (うち口頭発表 1 本はインフルエンザのためキャンセル)。参加者の国籍および 所属地としては日本のほか韓国、中国、アメリカ、チェコ、台湾から参加があ り、日本国内では北海道から大分県までを含むさまざまな都道府県からご参加 いただきました。聴衆は両日で延べ 140 名になりました(本書巻末に当日のプ ログラムを掲載しています)。なお、このワークショップは下記科学研究費補助 金によって開催され、大阪大学大学院文学研究科の共催も得ております。
科学研究費「役割語の総合的研究」(研究代表者:金水敏 課題番号:23320087)
このワークショップの参加者に、発表内容に基づいた論文の寄稿を呼びかけ、 それに応じてくださった 16 名の方の寄稿を集めたのが本書です。単に提出され たものを掲載したのではなく、2015 年 12 月 9 日に「役割語研究会」席上で合 評会を行い、そこで出た意見に基づいて著者に修正・再提出を求めるというプ ロセスを経て、よりよい論文集となるように編集・著者一丸となって取り組み ました。書き手は若い研究者が多いですが、編集者の一人として、とても読み 応えのある論文集となったと自負しております。この論文集が、役割語・キャ ラクター言語研究のより一層の発展の礎となれば幸いです。
2016年2月1日 金水 敏
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目次
緒言....................................................... 金水 敏(大阪大学)2
1 役割語とキャラクター言語................................金水 敏(大阪大学)5
2 内言の役割語 ―ことばとキャラクタの新たな関わり― ...... 定延利之(神戸大学)14
3 役割語としての方言と標準語のハイブリッド現象...........中田一志(大阪大学)32
4 アルヨことばの周辺としての上海ピジン ....... 河崎みゆき(中国・上海交通大学)46
5 バラエティ番組に見られる文字テロップのキャラクタ構築の機能 ...................................................鄭 惠先(北海道大学)70
6 役割語としてのアフリカ系アメリカ人英語の文法について
................................................. 山木戸浩子(藤女子大学)91
7 タイ語の新しい人称代名詞pǒmの役割語的分析...........伊藤雄馬(京都大学)112 8 小説に見られる女性キャラクタの会話スタイルの変化
―女性的表現は今後衰退するのか― .............. 渡辺友香(恵泉女学園大学)118
9 翻訳書における役割語の変化 ―旧訳と新訳の狭間で―
.................................... 片山奈緒美(出版翻訳者・桜美林大学)129
10 ボーイズラブマンガにおけるセクシュアリティと役割語 -Linguistic Identity in Japanese Boys' Love Manga-..........Ryan Redmond(カリフォルニア大学デービス校)138
11 「おネエキャラ」の言語表現について ―バラエティ番組とフィクション作品を材料に― ............................................ 河野礼実(お茶の水女子大学)151
12 「ぼく」の世界、「わたし」の世界 ―ポップ音楽における日本人女性歌手のアイデンティ ティ流動性―..........................Hannah E. Dodd(オハイオ州立大学)165
13 メジャーリーガーはいつ自分のことを「私」と呼ぶか ―翻訳における役割語― ......................................高田 亮(立命館アジア太平洋大学)177
14 役割語分析の英語ライティングへの導入 .. 安田尚子(会津大学語学研究センター)186
15 日本統治下台湾の初等国語教科書における〈父〉〈母〉を表す名詞のバリエーション ―『赤い鳥』との比較から―.................... 山田実樹(台湾・世新大学)199
16 『団団珍聞』諷刺画の役割語分析 ―コミュニケーションツールとしてのマスメディア― .................................................... 松下恵子(大阪大学)209
大会プログラム............................................................... 221
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