2010年3月13日 (土)

夢ナビ

受験生対象のサイトで、私の役割語研究が紹介されています。私の名前(金水)で検索できます。

http://yumenavi.info/result.aspx?KeyWord=%e9%87%91%e6%b0%b4%e6%95%8f&OraSeq=2380984&Page=1&SearchMod=4

E-learning サイト

次のようなメールをいただきました。役割語の日本語教育への応用のようなものです。

金水敏先生

突然メールを差し上げる失礼をお許しください。

私、国際交流基金関西国際センター日本語教育専門員の熊野七絵と申す者です。

このたび、海外で人気の日本のアニメ・マンガに現れるキャラクターやジャンルの日本語表現を楽しく学べる日本語学習者向けEラーニングサイトを公開いたしました。

「アニメ・マンガの日本語」(http://anime-manga.jp)

公開したコンテンツには、「キャラクター表現」と「恋愛用語クイズ」があるのですが、このうち「キャラクター表現」は、金水先生の「役割語」の概念が大きなヒントとなり、制作したものです。

海外で人気のあるアニメ・マンガ168作品の実際のセリフからデータを抽出、分析し、アニメ・マンガの典型的な8人の人物像の特徴的表現「一言フレーズ」「文型・表現」「呼称」「発音」を取り上げ、解説したものです。

アニメ・マンガの日本語では、金水先生のご指摘にもあるよう、現実社会よりかなりステレオタイプ的な表現が使用されており、データを収集する段階でも大変興味深い点が多々ありました。

サイトをご高覧いただけましたら、幸いです。

突然のメール、失礼致しました。

2009年4月17日 (金)

演習のまとめ2題

国士舘大学の中村一夫先生より、下記2題を含む雑誌『国文学論輯』をお送りいただきました。2本とも、中村先生が担当された日本語学ゼミの内容をまとめたものです。役割語を介して、教育と研究が一体となりうることをお示しいただいた貴重な成果であると思います。

中村一夫ゼミ (2008.3.20) 「歌謡曲における歌詞の史的変遷」『国文学論輯』29:101-112, 国士舘大学国文学会

中村一夫ゼミ (2009.3.20) 「現代日本マンガにおける役割語―ステレオタイプを形成する表現をめぐって―」『国文学論輯』30:41-54, 国士舘大学国文学会

2008年3月22日 (土)

J川柳

日本語教育情報誌『J-Life』2008年4・5月号、アルク(無料)より。 

Photo 巻末(32頁)に「J川柳」というコーナーがあるのですが、その担当キャラクター(川柳のお師匠さん?)が〈老人語〉を使用しています。

読者のみなさん、元気かな。日本では卒業の季節なのじゃ。友達や先生との別れを寂しく思う人もいることじゃろう。でも、別れの後には、出会いがある。新しい旅立ちの気持ちを、川柳にして投稿するのじゃ!

投稿を待っておるぞ。応募はここからじゃ!

 中級以上の学習者なら、大意は問題なくつかめると思いますが、これが平常の教室や教科書で習っている言い方とはちょっと違う、ということには、どのぐらい気づかれるものなのでしょうか。
 「わし」は老人的、というふうに習っている人はけっこういるようですが、以前「~じゃ」を「~じゃん」として理解している人がいました(その場合、「ん」の聞き取りの問題も関わるようですが)。(SK、IT)

2007年11月 2日 (金)

聞いておぼえる関西弁入門

こちらでご紹介した本の新訂版です。

Photo_5真田信治(監修)
岡本牧子・氏原庸子(著)

『新訂版
聞いておぼえる関西(大阪)弁入門



ひつじ書房、2006年
ISBN 489476296

【目次】


まえがき
テキストの使い方
用語・記号の説明

UNIT1 もう がまんでけへん 動詞の否定形
UNIT2 勉強せな あかん 義務・必要の表現
UNIT3 借りても ええか? 許可・禁止の表現
コラム1 関西人が共通語と思い込んでる「隠れ関西弁」
UNIT4 見ててや 依頼の表現
UNIT5 テレビ見んと 寝ぇ 命令の表現
コラム2 一拍語を二拍語的に話す
UNIT6 よう わからん 可能表現の否定
コラム3 「おばんざいやさん」に行こう!!
UNIT7 何してはるの? 尊敬の表現
UNIT8 行くんやったら 買《こ》うてきて 仮定・推量の表現
コラム4 イ形容詞の「イ」抜け
UNIT9 結婚しよってん 第三者の行為の表現
UNIT10 ついに0点《れぇてん》 とってしもた 残念・完了の表現
UNIT11 なんで? お金ないさかい 原因・理由の表現
UNIT12 そんなこと 言うかいな 疑問・強い否定の終助詞
UNIT13 何すんねん! 文末の表現Ⅰ
コラム5 大阪府言語地図
UNIT14 値札 つけとるわ 進行・状態の表現
UNIT15 いっぺん 食べてみ 軽い命令の表現
コラム6 意向形「V(よ)う」の「ウ」抜け
UNIT16 そんなん 買《こ》う たかて・・・ あきらめの表現
UNIT17 やめときぃ 準備・勧めの表現
コラム7 イ形容詞のウ音便
UNIT18 ええやんか 文末の表現Ⅱ
コラム8 ボケとツッコミ
UNIT19 何でも 買《こ》うたった やり・もらいの表現
UNIT20 なんも みみっちない 全否定の表現
コラム9 ネオ方言(真田信治)

問題のスクリプト
問題の解答
単語リスト
主要参考書
あとがき
UNIT18 

2007年10月10日 (水)

関西(大阪)弁入門

Photo_2 岡本牧子・氏原庸子・山口 修 著(1998)
真田信治 監修
『聞いておぼえる関西(大阪)弁入門』
アルク
ISBN 4872347838

2006年9月17日 (日)

私ということ

埼玉県の高校教員の、福田公明さんという方から、下記のような資料を送っていただきました。

埼玉県高等学校国語科教育研究会「音声言語指導事例集(第2集)」編集委員会 (編)(1999) 『高等学校国語科指導資料「音声言語指導事例集」第2集―言語の教育の場としての国語教室の活性化をめざして―』埼玉県高等学校国語科教育研究会.

福田さんの教案「22 私ということ 自分を何とよんでいますか」(pp. 276-277)には、一人称代名詞の反省を通じて、自己と社会とのつながりについて考察するきっかけを与えようという狙いがあるかと思います。次のような例が挙げられていました。

=========

【授業の展開】
1. 「みんなは、自分のことを何て言っていますか?」と生徒に問いかける。
 (身近なことから、言葉の問題を引きだし、問いかけたい。自分を何というかは、最も身近な問題である。身近な問題から言葉の本質に迫りたい。)

2. 次の文章を、生徒に示す。(模造紙に書いた文章を示す。)
[例1]
 先日、TV番組を見ていたら、吉田拓郎がこんなことを言っていた。

「新聞で(A)のことが出ているのを読むと、いつでも(B)はと書いてあるんだけど、(C)は自分のことを(D)と言ったことがないんだ。マスコミはそう思いこんでいるのかな?」

3. 「ABCDには、何が入りますか。どうして、そう考えましたか?」
 (TVでは、ACは僕、BDはおれと言っていた。)

[例2]
先日TV番組を見ていたら巨人の清原選手がこんなことを言っていた。

「(E)は自分のことを(F)とよんでいるのに、マスコミは(G)と書く。VTRで確認してもらえばわかる。どうして(H)はと書かれるのかな?」

4.  「EFGHには、何が入りますか。どうして、そう考えましたか?」
 (TVでは、EFは僕、GHはわしと言っていた。)

5. 生徒の意見を、黒板にまとめる。吉田拓郎と清原は、どんなイメージを持たれているのかを考える。言葉と人間のイメージが密接な関係にあることを理解させる。

==========

ここおよびここここをご参照下さい。

2006年8月14日 (月)

女性のことば

以下の論文を得たので、記録しておきます。

谷部弘子 (2006) 「「女性のことば・職場編」に見る終助詞「わ」の行方」『日本語教育』130号, pp. 60-69, 日本語教育学会.

ご結論の部分を引用しておきます。

 以上、「女性のことば・職場編」という限られた資料の中で、終助詞「わ」の使用状況について見てきた。「わ」の使用率は全体として高くはなく、わずか91例を見たにすぎないが、相対的な傾向として以下の3点を見いだせた。
  (1) デス・マス体に接続する「わ」は皆無であり、「くつろいだ場面」で、同年齢層あるいは下の年齢層の日頃接触量の多い親しい関係にある空いてに対する発話に多くあらわれる。
  (2) 若年層の女性による「わ」の使用は40代、50代の女性に比べ、「ね」や「よ」を伴わない単独の形、引き延ばし音調を伴った形で現れることが多い。
  (3) 若年層女性において、恋愛感情にまつわる話題などある解く手の場面に「わ」が現れやすい。
 終助詞「わ」は、たしかに「衰退に向かっている」一方で、世代別の使用の傾向からみて、今後単純に消滅に向かうとはいえないようである。とくに若年層女性は規範的に女性が使うべき表現として「わ」を用いているというより、情意的な側面の伝達手段の一つとしてより積極的に選択使用しているのではないだろうか。
 日本語のことばの男女差を規範的に示すのも若年層では男女差がなくなったと固定的にとらえるのも実態に即していない。日本語教育においては、安易に使用につなげるのではなく、学習者自らがふさわしい表現形式を選択できるようにさまざまなバリエーションの提示を心がけることが必要であろう。そのためには、今後さらにデータ数を増やし、言語使用の実相をさまざまな手法によって多面的に観察し、音声面の特性も含めて記述することが重要であると考える。(pp. 67-68)

詳しい分析が必要ですが、若年層の女性が「積極的に選択使用している」というのは、定延さんのいう発話キャラクターの繰り出しということかもしれません。

なお、本論文に引かれた文献のなかで、未見のものを抜き書きしておきます。

尾崎喜光 (1997) 「第2章 女性専用の文末形式の今」『女性のことば・職場編』ひつじ書房、 pp. 33-58.
現代日本語研究会(編) (1997) 『女性のことば・職場編』ひつじ書房.
現代日本語研究会(編) (2002) 『男性のことば・職場編』ひつじ書房.

広東外語外貿大学

広東外語外貿大学・日本語科講師の池田貴子さんが、教室で役割語のクイズをしてみてくださり、その結果をご報告してくださいました。拙著の最初のところに出てくる、次のような選択問題です。

  • そうよ、あたしが知ってるわ( )
  • そうじゃ、わしが知っておる( )
  • そや、わてが知っとるでえ( )
  • そうじゃ、拙者が存じておる( )
  • そうですわよ、わたくしが存じておりますわ( )
  • そうだよ、ぼくが知ってるのさ( )
  • んだ、おら知ってるだ( )

お武家様、老博士、女の子、田舎者、男の子、お嬢様、関西人

上の話し方に当てはまる人格を、下のリストから選んで当てはめなさい、というものです。なお、拙著にはもう一つ「そうあるよ、わたしが知ってるあるよ」(ニセ中国人)というのがあるのですが、中国本土でこれを入れると、説明が難しいし、意図を誤解されるかもしれないということではずしたとのことです(事前に私が少しアドバイスしました)。

クイズに挑んだのは、同大学2年生85人で、日本語『会話授業」最終クラスにおいて実施されたとのことです。

全問正解は19人(約22%)、2箇所だけ入れ間違えたのは30人(約35%)とのことです。このうち、「老博士」と「お武家様」を入れ間違えた人が12人とのことで、たしかに「拙者」を知っているかどうかにかかっている点で、この間違いは無理もないかなと思います。

あと、3~5問正解というのが42人、なぜか1問のみ不正解が1人、1問のみ正解2人、全問不正解2人となっています。

全体に、男女の違いに関しては誤りが少なく、あとは古い、新しい、丁寧、乱暴等の印象で答えた人が多いようです。

正解率の高い学生は、普段から優秀な学生さんが多いようですが、日本のドラマ、アニメ、テレビ、ゲーム等に親しんでいることが正答につながっているらしいとの見方もできるようです。また関西弁については、「関ジャニ∞」を通じて正解した人もいるそうです。

さらに詳しい分析を池田さんにお願いしていますので、そのうちご報告いただけるものと思います。

2006年7月22日 (土)

日本語の教室より(続)

2月24日に引用させていただいた、「た」さんのコメントに関連して、少し書いておきます。

一つの問題は

  • 日本語教育において、日本語の表現に現れる性差をどう教えるか

ということなのだろうと思います。初級の段階だと、「です・ます」体だけで性差があまり出ないので、さして問題はないのですが、中級に入ると、プライベートな対話が入ってくるし、終助詞も使うようになるので、いろいろ問題が起きてくると思います。代名詞の問題ももちろんあって、男性の場合は、「ぼく・おれ」問題が発生することになりますが(この記事参照)。

困るのは、

  • メディアに現れる表現と、現実の対話の間に、大きな乖離がある

ことです。即ち、「今日は雨だわ」「あら、すてきな指輪ね」それに「これ、いただいてもいいかしら」といった女性特有表現は、日常的にテレビやら読み物やらに現れているわけですが、現実にこういった話し方をする人は、少数派になりつつあるのですね。不正確な直感ですが、東京方言圏でも、40代と30代の間あたりに、大きな溝がありそうです。年配の人でも、いつも使うわけでなく、また人によってよく使う人、使わない人、さまざまです。

ですから、若い学生が「このティッシュ、使ってもいいかしら」というと、大変滑稽に聞こえる。ところが、受容のための知識としては、まだまだ必要だと思います。つまり「ダブル・スタンダード」状態になっているのです。

ソウルの大学で現役で日本語を教えていらっしゃる、40代の女性に聞いた話では、教材を作るときに「今日は雨だわ」的な表現を入れるか入れないかで、同僚の30代の教師ともめたそうです。その40代の先生は、「絶対入れるべき」と主張されたのですが、30代の教師に「『だわ』はやめてよ~」と強く抵抗されたのだとか。

性差を示す表現以外にも、場に合わせて適切なスタイルを使い分けるというのは、かなり微妙な感覚が必要で、教科書的に整理するというのは素人考えでは極めて難しいことに思われます。一昨年、ゼミ旅行に行ったとき、女子学生同士で雑談している中で、中国から来た留学生が

「さあ皆さん、お茶の時間にしましょう!」

と言ったら、そこにいた日本人学生たち全員が笑ってしまったそうです。この留学生は日本語が大変上手だし、この表現自体、文法的・意味的にパーフェクトなのですが、会話の雰囲気の中では、すごく浮いて聞こえてしまうのですね。関西方言コミュニティーであったというせいもあるのでしょうが。

もちろん、上の表現でも、それにふさわしい場が与えられれば不自然でなくなるでしょう。会話場面のカジュアルさ、フォーマルさをどのように見積もるか、またそのカジュアルな度合いによって、どのようなスタイルを使うか、ノン・ネイティブに教えるのはすごく難しい気がします。あるいは「どのスタイル」という風に分類すること自体が可能なのかどうか、私にはよく分かりません。

というわけで、結局、「た」さんのご質問には、まともに答えられないわけです。ごめんなさい。日本語教師の方、いっぱい悩んでね。

なお、「た」さんが指摘している「『役割語』の意図的な『習得』または『利用』」の問題については、後日書きます。

より以前の記事一覧

最近のトラックバック

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31