「かしら」「かな」における性差の史的変遷
未見ですが、ネット検索でヒットしました。
※kuzanさまのコメントにより、リポジトリからダウンロードできることが分かりましたので、付記しておきます。http://dspace.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/handle/2241/18675
『筑波日本語研究』
第十一号 2006年12月26日 発行
「かしら」「かな」における性差の史的変遷 | 任 利 |
キーワード:かしら、かな、性差、度合い、通時的
要 旨
従来の性差研究では、終助詞「かしら」はいわゆる「女性語」、終助詞「かな」はいわゆる「男性語」とされてきた。本稿では、明治以降現在までに発表された小説などの資料を調査し、終助詞「かしら」と「かな」における性差が通時的にどのように変化してきたかを検証する。 調査の結果から以下のことが明らかになった。 ①「かしら」は、明治期には男女ともに使用した。明治後期から昭和前期にかけてその女性性が強くなりつつある動きが見られる。昭和期以降は女性のみの使用となった。 ②「かな」は、明治から大正までは男性のみの使用であり、男性性の強い言語表現であった。昭和前期からは女性の使用例も見られ、その男性性が弱くなり、現在では男女ともに使用する中立的な言語表現である。 ③「かしら」は確かに現在でも女性性の強い言語表現として使われていることが確認されたが、その役割語的な機能が見られる。 史的変遷の視点から見てみると、「かしら」と「かな」の≪女性性・男性性≫は常に固定的なものではなく、時代の流れに伴った変化が見られる。言語における性差表現を捉えるために導入した≪女性性・男性性≫という度合いの概念が、通時的にも通用する概念であることが改めて検証できた。
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http://dspace.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/handle/2241/18675
今は、リポジトリで読めるようになりましたね。
投稿: kuzan | 2008年4月16日 (水) 15時29分