使ってみたい武士の日本語
p> 約200項目。時代小説の実例付き。
用例集としても、読み物としても、楽しく読めます。 ただ、宣伝文句に「会話で・メールで・手紙文で、ひとことうまく使ってみたい」とありますが、もし本当に使ったら“お武家キャラ”な人になってしまわないのか、そういうところも興味深いです(IT)。
野火 迅
『使ってみたい武士の日本語』
草思社、2007年
ISBN:9784794216366
【目次】
1章 武士の決まり文句
2章 春夏秋冬が薫る言葉
3章 武家社会の言葉―切腹という「しきたり」
4章 武家社会の言葉―敵討という「義務」
5章 剣術の醍醐味を伝える言葉
6章 行動・しぐさを表す言葉
7章 人物を評する言葉
8章 酒と色を語る言葉
【本文より】
片腹痛い
「片腹痛い弥次郎め」
「たわけ! その弥次郎の心が分からぬうぬのほうがよほど片腹痛いわ」
(山岡荘八『越後騒動』光文社時代小説文庫)
はたで見ていても苦々しい
「片腹痛い」の語源は、「傍ら痛し」。もともとは「傍ら」であったのが、中世以降「おかしくて片方の腹が痛い」の意を表すことばに転化したのである。(後略、36頁)
お恐(こわ)にかける
「なにさ、人をおこわにかけようったってそうはいかないよ。言ってごらんな。いったい誰に頼まれてあたしをからかいに来たのさ。言ってごらんよ、え?」
(宮部みゆき「器量のぞみ」『幻色江戸ごよみ』新潮文庫)ペテンにかける
江戸時代では、詐欺、ペテンのことを「お恐」といった。「お恐にかける」で、「人をだます、詐欺にかける」の意になる。『風流志道軒伝』には、「蓬莱山に至りて、不死の薬を求めんとて、おこわにかけしためしも有れば」との一節がある。 (後略、184頁)
【補】
より詳しい目次(収録項目一覧)については、ぜひこちらをご参照下さい。
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