『「鎌倉遺文」にみる中世のことば辞典
約150項目。関連語と合わせると約500語。
ことばの中世史研究会(編)
『「鎌倉遺文」にみる中世のことば辞典』
東京堂出版、2007年
ISBN:9784490107296
【目次】
1章 きまり
2章 人
3章 しきたり
4章 くらし
5章 負担
6章 闘い
【本文より】
越度 おつど・おちど(現)
現代語では、「落度」と書き、「おちど」と読んで、あやまち、過失を意味するが、古代では、「越度」と書き、関所を許可なく破る行為を指した。「越度あるに至りては、重きは刑罰を以てす」(『三代格』十八)とあるように越度は重罰とされた。『平安遺文』では用例がない。
嘉禄年間(一二二五~一二二七)のものと推定される僧行海陳状案(『鎌』三四九三号)は、伊賀国黒田新荘内名田一町二段に関するもので、相論の一つの争点となっている当該名田の券契状が、本来は封印された箱に入れ衆徒の管理下に置かれるはずであったのに、封印が無かったことは「衆徒の越度也」とある。この例が、現代語の落度に近い意味として使用される『鎌倉遺文』早期の例といえよう。(後半略、5頁)
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