女ことばはどこへ消えたか?
『女ことばはどこへ消えたか?』
光文社新書・310
著書:小林千草
発行日:2007年7月20日
ISBN: 978-4-334-03411-5
発行所:株式会社 光文社
帯コピー:
「よくってよ」から
「ちげーよ」への100年の
大変化――その謎を解く
はじめに 「ちげーよ」と「おひや」「おかか」
――共存の不思議、それこそ現代日本語!
第一章 一〇〇年前、漱石『三四郎』の女ことばから
序 なぜ『三四郎』なのか
一 女の笑いの言語力
1§1 よし子の「ほほほ」
1§2 那美の「ほほほほ」
1§3 藤尾の「ホホホホ」
1§4 おほほほ
二 女は文末に何をこめる?
1 ~わ。
1§1 美禰子「雲は雲でなくっちゃいけないわ」
1§2 美禰子「歩きます」――「わ」を使わない時
1§3 よし子の「いらっしゃいますわ」
1§4 よし子の使ったたてつづけの「~わ」
1§5 美禰子・那美・藤尾・糸子・細君・雪江それぞれの女の「わ」
2 ~よ。――相手にくいこむ力
3 ~てよ。――若い女の表現形
4 流行語の決めゼリフ「よくってよ。知らないわ」
5 ~て。~って。――問いかけ、よりそう
6 ~ね。――念押しの諸相
6§1 名詞+ね。
6§2 随分ね。
6§3 文+ね。
7 ~の。――すり寄る余韻
8 ~こと。――事実を切りとる。
9 ~もの。――甘い言いわけ
三 存在をかけた女たちのことば
第二章 二〇〇年前の『浮世風呂』の女ことば
――『三四郎』および現代との距離を計りつつ
序 『浮世風呂』――銭湯に花咲く江戸の女たちのことば
1 少女のことば
1§1 「わ。」はなかった。
1§2 問いかけと返事
1§3 ただいま“粋”の練習中
2 若い女たちのことば
2§1 「おれ」「おら」は女ことばだった
2§2 どの時代の女も――うわさと悪口
3 奥さん・奥さまたちのことば
3§1 母親たちの「ございます」
3§2 笑い声
3§3 あそばせことば
3§4 「ええ」とは言わない
3§5 インテリ奥さまの教養談義
3§6 「さん」「ちゃん」の登場
3§7 江戸教養婦人の向学心の行方
4 『浮雲』の女ことば
――『浮世風呂』の“母”と『三四郎』の“娘”、共存の妙
第三章 「おことば」「もじことば」のルーツを遡る
1 『三四郎』『浮世風呂』の“おことば”
1§1 『三四郎』の「おあにいさん」
1§2 『浮世風呂』の“おことば”
1§3 おかちん・おむし
2 女房ことばの歴史(一)婉曲語法史から見た「女房ことば」
2§1 『徒然草』に書かれた「ふす猪の床」の効用
2§2 「女房ことば」のはじまりは室町時代
2§3 文字ことばによる造語法
2§4 ものの特性による造語法
2§5 「九献」「かちん」
2§6 「ヲメグリ」「ヲマハリ」「オカズ」
2§7 言い換えの言語文化
3 女房言葉の歴史(二) 別アングルより見た「女房ことば」
3§1 『海人藻芥』
3§2 『大上﨟御名之事』『お湯殿上日記』
3§3 おひやし――狂言「おひやし」の意味するところ
3§4 近世のお女中ことば
第四章 『三四郎』より一〇〇年後、現代女子学生の言語実態と言語感覚
序 中性化している若者のことば
1 二〇〇〇年代の「若者ことば」
1§1 下流の現代語はことばの“現場”
1§2 圧倒的に若者が使っている「じゃん」
1§3 「やはり」ではなく「やっぱ」
1§4 短大生の95%が使う「きもい」
2 増えている? すたれている? 若者ことば
2§1 「きれかった」「きれいかった」は、変かな?
2§2 「きもちかった」
2§3 「ちがくて」はもう普通
2§4 「……な人」への違和感
2§5 自分のことばを見つめなおそう
3 「ちげーよ」はなぜ使われるのか――使用心理と実態
3§1 データから見る「ちげーよ」
3§2 「ちげーよ」は生き残るのか――使用の深層と将来
3§3 乱暴にくずすことのない、きちっとした表現を!
第五章 女ことばの一〇〇年〈まとめ〉
1 昭和の女ことば――女優田中絹代さんのことば/『斜陽』のことば
2 ニューハーフのことば――現在、最も女らしい女ことば
3 現在――「地球防衛家」のヒトビト」のことば
おわりに 未来へ向けて――女であり、人間であることの表現史
注
「女ことば」に関する主要文献一覧
〈付録〉女ことばの歴史点描
あとがき
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