明治大正翻訳ワンダーランド
鴻巣友季子(2005)『明治大正翻訳ワンダーランド』(新潮新書、ISBN4-10-610138-6)を読みました。
鴻巣さんはプロの翻訳家で、自分自身の経験を生かしながら、日本の西洋文学翻訳の黎明期に焦点をあて、作品紹介をしています。
新書という性質上、作品の取り上げ方が散発的で体系性が感じられなかったのが物足りない点ですが、いろいろな手がかりを得るにはいい本だと思います。
もう一ついいところは、鴻巣さんは全集などではなく、国会図書館に通って原典をしっかり読んでいる点です。ある意味、行き当たりばったり的な調査であったらしいことはご本人も書いていますが、調べる楽しさが伝わってくる点もいいと思います。
役割語の点からいえば、若松賤子訳『小公子』(明治23~25)がやっぱり圧倒的におもしろそうです。少し私も調べたことがありますが、また見直してみたいところです。
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