「女ことば」は作られる
中村桃子(2007)『「女ことば」はつくられる』ひつじ書房
ISBN9784894763524
*目次*
はじめに
序章 「女ことば」に対する二つのアプローチ
1 本質主義・進化論的アプローチ
2 本質主義・進化論的アプローチの問題点
3 構築主義・イデオロギー的アプローチ
第一部 規範の対象としての女の言葉づかい
一章 「女の話し方」イデオロギーの創生
1 鎌倉・室町時代の女訓書
2 江戸時代の女訓書
3 「女の話し方」イデオロギー―管理・支配されるべき女と言語の関係
二章 「女房詞」の規範化―「女の話し方」に回収される女の創造的な言語行為
1 女房詞を示す言説
2 女房詞に対する批判
3 高い地位を表象する女房詞―メディアが与えた価値
4 男が使う女房詞
5 男は女房詞を使うなという言説
6 規範となった女房詞―辞書・女訓書
第二部 ジェンダーと「国語」―明治の国民国家成立と「女ことば」
三章 「男の国語」の創生
1 言文一致論争が問題にしなかった言葉の性差
2 「男子の標準語」の創生―「国語」にはジェンダーがあった
四章 「女の話し方」イデオロギーの完成
1 江戸時代の教訓を増幅する女訓書
2 女訓書において「女の話し方」イデオロギーを維持するために使われた論拠
3 修身教科書において「女の話し方」イデオロギーを維持するために使われた論拠
五章 「女学生ことば」の構築―セクシュアリティに回収される女の創造的な言語行為
1 服装に見る「女子学生」から「女学生」への変遷
2 性別化―「書生言葉」の否定
3 選択―「てよ・だわ言葉」と西洋語を選んだ言文一致小説
4 否定―〈軽薄さ〉との結び付き
5 セクシュアリティー化―「てよ・だわ言葉」から「女学生ことば」へ
6 「女学生ことば」という言語イデオロギー
7 指標性の構築―「ジェンダー化された国民化」と女の創造的言語行為
六章 「国語」の男性化―「内なる他者」としての女子国民
1 メタ言語的実践としての口語文典・国語読本
2 女の言語的要素の構築と排除
3 「書生言葉」の「国語」への採用―「女学生ことば」の排除
4 「国語」の創生とジェンダー
第三部 女の国民化と「国語」―近代総力戦の「女ことば」
七章 天皇制国家の伝統となった「女ことば」―植民地支配の正当化
1 「女ことば」の起源は女房詞と敬語である
2 日本の誇りとしての「女ことば」
3 「国語」の守護者としての女子国民―天皇制国家伝統の継承者
4 植民地の「国語」と「女ことば」
八章 「ジェンダー化された国語」の創生―ジェンダーが担う伝統の相克
1 「女ことば」を標準語の周縁に位置付ける
2 「国語」のジェンダー化
3 国語読本によることばの性差の教授
4 「女ことば」と女の国民化
第四部 「女ことば」の脱政治化・本質化―「女らしさ」の戦後
九章 自然な「女らしさ」の象徴となった「女ことば」
1 「女ことば」をめぐる言説の闘争
2 「女ことば」本質化の言説
一〇章 「ジェンダー化された国語」の再生産―天皇制からの切り離し
1 敗戦・占領と無縁だった文法書
2 天皇制国家の伝統から切り離された「女ことば」
3 「墨ぬり教科書」における「国語」の性差の教授
4 国語教科書における「国語」の性差の教授
5 米国占領による民主化とジェンダーの本質化
まとめ―ジェンダー化された言語イデオロギーを超えて
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