キャラ語尾「です」の特徴と位置付け
川瀬卓 (2010. 3. 31) 「キャラ語尾「です」の特徴と位置付け」『文献探求』48号、一~一四頁
「5. まとめ」を引用します。
本稿では、要素の側からキャラクタを見ようという立場にたち、キャラ語尾「です」について考察した結果、次のようなことがあきらかとなった。
(12) a. キャラ語尾の「です」は、通常の「です」の使い方とちがって、意識的にあるキャラクタを表現するために、意図的に規範をズラして用いられている。キャラ語尾「です」の成立には、話し言葉における「です」の拡大が背景にあるものと思われる。
b. 文中での位置に注目すると、終助詞との承接順序は「です+終助詞」である。また、従属節の中にも現れることがある。ただし、キャラ助詞的なふるまいを見せることもある。
c. 表されるキャラクタは、「です」の文法が標準とずれている人物である、という程度しか規定できない。それを利用して、幼さ、かわいさを前面に出したり、編である、あるいは、頼りないといった性格的な特徴を表現する。
d. キャラ語尾「です」は基本的にキャラコピュラと考えられるが、キャラ助詞的なふるまいも見せる中間的な存在であるといえる。
e. 定延 (2007)、定延・張 (2007) で提案された、形態的特徴、キャラクタとの結びつき、統語的特徴の 3 つの基準のうち、重要なものは形態的に類似しているかどうかであり、それが統語的特徴やキャラクタモデルの有無に影響を与えていると考えられる。
今回は、要素の側から考察を行ったが、社会的ステレオタイプといった全体的な枠組みからの考察も重要なのは言うまでもない。また、キャラ語尾「です」についても、社会的な属性と性格的な属性との絡みなどについて、まだ考察の余地があると思われる。今後の課題としたい。 (p. 10)
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