日韓両言語学習者間の役割語相互学習−オンライン協働翻訳活動の分析と評価−
北海道大学国際本部留学生センターの鄭 惠先さんから役割語に関する論文をお送りいただきましたのでご紹介します。
- 鄭惠先・恩塚千代(2012)「日韓両言語学習者間の役割語相互学習-オンライン協働翻訳活動の分析と評価-」『日語日文學研究』第82輯1巻 韓国日語日文学会 pp.517-538
(要旨)
本稿は、韓国人日本語学習者と日本人韓国語学習者が、SNS(Social Network Service)コミュニティ上のCMC(Computer-Mediated Communication)活動を通して行った相互学習について観察、分析したものである。本実践の中核である大衆文化作品の「役割語」翻訳作業では、学習者同士の積極的なピア・レビュー活動が見られ、目標言語のみならず母語においても、参加者が持っていた役割語知識が再考、修正されていく姿が観察された。その結果、本実践は言語知識と社会文化知識の両面で、学習者に気づきと満足感を与えたことがわかった。本実践の参加者はさまざまな学習背景をもち、全員が言語学習者であり他参加者の目標言語を支援できる母語話者でもある。こうした「学習&支援」者間での相互学習体制には、教室活動だけでは得られない経験的な言語学習効果が期待できる。今後は、教室活動においても、教材作成や会話指導を行う際に、常に学習者が役割語を意識するように配慮すべきである。
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